緊急事態宣言・休業要請「解除」の盲点! 施設や店舗の感染スポット自衛策
「世田谷(東京)の有名衣料・雑貨店に行ったら、まだ緊急事態宣言も解除されていないのに、店頭には消毒液もなく、マスク着用の指示もなかったです。店内は密でレジにも行列ができていました。大丈夫なんでしょうか?」(40代の主婦)
緊急事態宣言が各地で次々と解除され、それに伴い店舗の休業要請も緩和して、街に活気が戻っているが、さっそく“ゆるみ”も出てきているようだ。
服の試着で気をつけるべきこと
NPO法人『医療ガバナンス研究所』の上昌広理事長は懸念を示す。
「中国や韓国では、再び新型コロナウイルスの感染が発生して、第2波が懸念されています。屋内では特に換気と飛沫、そして手洗いには気をつけるべきです」
どの施設や店舗への要請を解除するかは、各知事が決定するので、ばらつきはあるが、上理事長が注意点を続ける。
「とにかく、“3密”を避ける。ほかの人と2メートルの社会的距離を保ち、マスクをすることですね。また、飛沫とともに、トイレの大便や尿から多数の人が感染しているというデータがあるので、外で使用するトイレは要注意です」
店舗のトイレはこまめに掃除されているだろうが、公衆トイレはなるべく避けたほうがいいようだ。
渡航医学が専門の関西福祉大学の勝田吉彰教授も、
「これからはガチガチの自粛生活から抜け出して、コロナと共生していくための新しい生活様式になっていきます。そこを強く認識して、これまで体験してきたことを生かしていくことが大切です」
と語る。東北大学病院・感染管理室の徳田浩一室長も、
「どこへ行くにもマスクはもちろん、ウエットティッシュや、消毒液を持ち歩くこともいいでしょう」
とすすめる。
これ以上、経済活動を滞らせず、日常を取り戻すためには、新しい生活様式が必要だけれど、具体的にはどこをどう気をつければいいのだろうか─。
夏が近づき衣替えの季節となり、洋服を買いたいところだが「ちょっと待ってほしい」と警告するのは、東京・品川の『KARADA内科クリニック』の感染症専門医・佐藤昭裕院長。
「頭からかぶるタイプの服の試着は、マスクをしていてもマスクの表面に飛沫がつくおそれがあるので、この時期はやめたほうがいい。ボタン式の服なら大丈夫でしょう。寸法直しが必要な場合は、マスクをつけて店員さんと会話をしましょう。ほかの人も触れている服ですから、最後は手洗いをすべきです」
洋服店だけではなく、さまざまな施設や店舗にも“盲点”はある。前出の勝田教授は、こう説明する。
「郊外型の一極集中のショッピングモールは、とりわけ注意が必要です。飲食店やさまざまな店舗、映画館、カラオケ、ゲームセンターなど、あちこちでゲリラ的に密の状態が起こりうる。もし行くのなら、混んでいない時間帯を選んで行くべきですね」
解除が難しい場所
そんななか、飲食店は特に注意が必要だと話すのは、日本医科大学の北村義浩特任教授(ウイルス学)。
「店頭に消毒液が置いてないところや、マスクなしで入れるところは、やめたほうがいい。隣や向かいの席に衝立や、カウンターなどにビニールの仕切りがないところも、避けたほうがいいでしょう。
大人数は避け、もし2人連れで行く際には、対面ではなく、横並びに座ることですね。飛沫を防ぐためです」
美容室やエステで巣ごもり生活の“デトックス”をと考える女性も多いだろうが、
「待合室が密になるので、予約制の店にするべき。ハサミなどの道具は共用なので、店側が注意して消毒しているはずですが、なにしろ美容師さんとの距離が近い。なるべくマスクは着用して、会話は控えてください」(勝田教授)
そろそろプールや海の季節だが、コロナは水で流されるので、水を通しての感染はないようだが油断はできない。
「プールは屋外のほうがいいですが、密になるので、すいている時間帯に利用すべきです。更衣室のロッカーやドアのノブは共用ですから、手洗いが欠かせません。屋外の海は基本的には安心ですが、県をまたがない場所にすること。密になりやすい公共交通機関は使わないで、自家用車がいいでしょう。その際に利用する飲食店やコンビニなども密になりやすいので、要注意です」(前出・徳田室長)
一部では再開したが、しばらく休業が続きそうなのは、ライブハウスやクラブ、スポーツジムやパチンコ店だ。
「パチンコ店は基本的には、会話をする場所ではないので、換気をして、ゴム手袋をすれば大丈夫だとは思います。しかし、ライブハウス、クラブなどは声を出したり、会話をするところなので、飛沫が非常に危険です。スポーツクラブも密集しやすいし、器具や更衣室を共用するので、解除はなかなか難しいかもしれませんね」(佐藤院長)
スナックやカラオケ喫茶などもハードルが高そうだ。
「狭い密閉空間で近距離のうえ、会話をしたり歌ったりする場所なので、極めて危険。行かないほうがいいと思います」(徳田室長)
ひと口に“新生活様式”といっても大変で、煩わしいことだらけだが、コロナと共生するためにも、ぜひ実践していきたいものだ。
【識者PROFILE】
◎KARADA内科クリニック 佐藤昭裕院長
東京都品川区西五反田1−2−8 FUNDES五反田10階
電話……03-3495-0192