【明るく美しく長寿命なのになぜフルLED化しない?】1台のクルマにLEDと電球の場所が混在するワケ
フルLEDは大衆車にはあまり普及していない
圧倒的な長寿命と、消費電力の少なさ、そして高輝度と、いいことづくめのLEDランプ。建物内の照明から、自転車のライト、懐中電灯まで、LED化され、かなり身近な存在になってきたにもかかわらず、クルマでは一部の高級車以外、フルLEDランプが普及しないのはなぜなのか?
これはもう簡単にいえば、コストパフォーマンスの問題。一番光量が必要なヘッドライトに関しては、LEDを採用するクルマがセダン、ミニバン、軽自動車と車種を問わず増えてきている。それは、前述のようなメリットがあるため。
しかし、それ以外のテールライト、ブレーキランプ、バックランプ、ナンバー灯、ウインカー、室内灯については、LED化するメリットがあまりコストに見合わないというのが現状だ。
テールランプで比較してみると、一般的な電球なら1個150〜200円ぐらいとかなり安価。しかも滅多に切れることがなく、消費電力もたかが知れている。それに対し、LEDは半導体なので、1個1000円前後とかなり高価。LEDの光は濁りがなく、高級感があるという特徴もあるが、このコスト差を埋める魅力があるかというとかなり疑問……。またウインカーに関しては、ハイフラッシャー化を防止するのに、専用リレーなども必要になる。
これらのコストはすべて車両価格に跳ね返ってくるので、「ヘッドライトも含め、フルLED化がこのクルマの特徴なんですが、ライバル車よりも2万円高いんです」といって、ユーザーが選んでくれるかどうかが大きな問題。高級車なら、数万円の違いで上品なLEDランプになるのなら、それはむしろ商品力につながるだろうが、大衆車ではフルLEDが即購買力につながるとは思えない。
社外品ではもっと安いLEDもあるが、安価なものは明るさが均一でなかったり、品質面でイマイチというのもあったので、信頼性の高いもの、保安基準に適合するもの、なによりメーカーの納入基準に見合うLEDとなると、電球よりも価格はかなり高くつく。
もっと量産化が進み、明るさや色の均一性が増し、コストが下がればフルLED化も進むだろうが、そうなるにはもう少し時間がかかりそうだ。
一方で、電球からLEDへの交換はわりと簡単なので、気になる人は社外のLEDを購入し、カスタマイズを楽しんでみよう。