【TVCM】ハッピーターンリニューアル 変わってないわよ!(亀田製菓公式チャンネルより)

あなたのお気に入りのCMは、何位にランクインしているだろうか?

CM総合研究所が毎月2回実施しているCM好感度調査は、東京キー5局でオンエアされたすべてのCMを対象として、関東在住の男女モニターが、好きなCM・印象に残ったCMをヒントなしに思い出して回答するものだ。

最新の2019年9月前期(2019年8月20日〜2019年9月4日)調査結果から、作品別CM好感度ランキングTOP30を発表。その中から、CM総研が注目するCMをピックアップして、ヒットの理由に迫る。

「ハッピーターン」の新作が4位に

今期のCM好感度調査では、LINEモバイル『LINEモバイル』と亀田製菓『ハッピーターン』の新作がそれぞれ作品別ランキングのトップ5に入った。

LINEモバイルは、本田翼が「いい湯だな」のメロディーに合わせて歌い踊るという昨年からのヒットフレームを応用し、途中で本田がテレビ画面から飛び出して同サービスのユーザーに利用した感想をインタビューする内容だ。

過去のCMでは「スマホの基本料が月額300円から」という格安の価格設定を訴求しながら、本田自身が「ほんとに、ほんとだよ!」と合いの手を入れていたが、今作ではユーザーが「ほんとに明細見たら安くなっててびっくりしました」と証言する。

企業のメッセンジャーによる宣伝文句よりも消費者側の感想のほうが信頼されやすいと踏んでの演出だろう。さらに「※あくまでも個人の感想です」とチャーミングに強調する点にも、不信感を与えないための工夫が光る。

ハッピーターンは4年ぶりのリニューアルに合わせ、マツコ・デラックスをイメージキャラクターに起用した。CMではマツコが2人の子どもを前後に乗せて自転車をこぐ“ママツコ”に扮する。一度は画面から走り去るが折り返して再度登場し、「ターンよターン、ハッピーターン」と真顔でダジャレを披露。

マツコが自転車に乗るという視覚的なインパクトに加え、リニューアルした商品については「食べたわよ、変わってないわよ」と一刀両断するという想定外の展開だ。

リニューアルの際に改良点を説明するCMは多く見受けられるが、そのほとんどは企業視点の“自画自賛”ともいえる表現だ。とくに製法の開発・改良といった水面下の話はエンドユーザーには関心の薄い情報だろう。今回のハッピーターンはまさに製法のリニューアルで商品のニュース性が弱い分、あえて「変わってないわよ」と言わせることでCM自体にフックを作り、ユーモラスに誠実な企業姿勢を印象づけている。

テレビやCMに対する視聴者の目が厳しくなる中、上記のCMは視聴者の感覚と視点を取り入れた構成で、本来伝えたい企業のメッセージが好意的に受け止められた好事例だ。

信頼感を演出するためにアスリートを起用することも効果的な手法の1つだ。話題の人物をいち早く起用して注目を集めたのはソフトバンク『SoftBank』だ。アメリカのプロバスケットボールリーグであるNBAのドラフト会議で日本人初となる一巡目指名という快挙を成し遂げた八村塁選手が「5G」(第5世代移動通信システム)のブランド「SoftBank 5G」のイメージキャラクターとして登場した。

「世界は変わる。準備はいいか?」「次の世界は、期待以上だ。」という力強いキャッチコピーのもと、8月22日から八村が超速ドリブルや迫力満点のダンクシュートを披露するCMをオンエア。さらに25日からはバスケが得意だという田中圭も加わり、息の合ったアリウープを決めてハイタッチを交わすCMもスタートし、それぞれ21位と28位に入った。

次世代のヒーローとして活躍が期待される八村と、通信業界の新たな歴史を切り拓く通信技術である5Gを重ね合わせたクリエーティブを展開し、同社の意欲と先進性をアピールした。

CM好感度調査のモニターからは「時代の先をいっている感じがした」「新しい時代を感じる」「最新性とスピード感が伝わってくる」といった感想が寄せられ、出演者の持つイメージと起用のタイミングが相乗効果を発揮した。

視聴者感覚がコミュニケーション成功のカギ

CMの情報が信用されにくく、また疎ましがられやすい今だからこそ、いかに視聴者が見たいと思える情報に変換するかが以前にも増して重要になっている。視聴者は誰の言葉なら信用してくれるのか、今見たい映像はどういったものなのか。宣伝担当者や制作者の“視聴者感覚”がコミュニケーション成功のカギといえる。

テレビ番組での「やらせ」が報じられ、放送局が謝罪するだけでなく時には番組の放送終了という事態に発展することもある。視聴できるコンテンツやデバイスの選択肢が多様化し、視聴者の奪い合いが激化する現状において、制作費が縮小されて限られた予算、タイトなスケジュールとあればなおさらだ。

一方で、視聴者が得られる情報の量とスピードが飛躍的にアップしたために「ウソ」がすぐに暴かれる時代でもある。だからこそ人々は情報の真偽に非常に厳しく、「真実」や「本音」をより求めるようになっているのではないだろうか。