カンボジア代表を実質的に指揮するMF本田圭佑【写真:AP】

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「君たちが恐れているなら、それに対しては怒るだろう」とチャレンジを求める

 カンボジア代表を実質的に指揮する元日本代表MF本田圭佑のモチベーション・スピーチが話題を呼んでいる。

 衛星放送「FOXスポーツ」アジア版は、ワールドカップ(W杯)アジア2次予選のバーレーン戦の前に、選手たちの前でスピーチする本田の姿を報じている。

 本田はバーレーン戦を前にした選手たちに対し「このスタイルを諦めるべきではない。このスタイルを全ての試合でやる。これが君たちのスタイルであり、君たちの未来だ。このやり方を続ければ、誰もが君たちに注目すると確信している」とスピーチを始めた。

 そのうえで、本田は強敵が相手でも自分たちのスタイルを貫くことを選手たちの前で宣言している。

カンボジアは変わりつつある。これまでの良いプレーをしてきた君たちについて多くの人々が僕にコンタクトを取ってきている。そして誰もが、次なるステージで強敵と対戦した時に、90分間のほとんどを11人で守って1回か2回のカウンターを狙うのかと聞いてくる。僕は彼らに、そんなことはしないと言った」

 何よりも本田が力説したのは、チャレンジを推奨してミスを恐れないことだった。

「繰り返すが、僕は質について話していない。ミスについても話していない。僕は君たちに、ミスについて話すことはない。だが、君たちが恐れているなら、それに対しては怒るだろう。もし君たちがこのスタイルでプレーすることを恐れないなら、僕は君たちをリスペクトする」

 そして本田は、「それが我々であり、我々の規律だ」と締めた。

バーレーンに敗戦後、本田が選手たちにかけた言葉

 カンボジアはバーレーン戦で0-1の惜敗を喫した。アジア最終予選の常連とも言えるバーレーンを相手に、ホームで力及ばずに敗れて肩を落とす選手たちに対し、本田はまたしても精神的な部分で言葉を重ねた。その模様は、豪スポーツ専門局「SBS」が公開している。

「僕は君たちに大きなリスペクトを払う。それはサポーターも同じだ。だから君たちは、来てくれたサポーターに感謝を伝えるべきだ。君たちは彼らの夢なんだ。負けてしまったと、顔を下げて肩を落としているんじゃない。サポーターの前に出て拍手して感謝を示すんだ。誇りを持て。それがチームだ」

 こうして本田が声を掛け、カンボジアのイレブンとともにサポーターの下へ手を叩きながら歩み寄ると、大きな歓声が浴びせられていた。カンボジア代表に対する“本田流”の指導は、まずはメンタル面から大きな変化をもたらしつつあるようだ。今後、イランやイラクといった強豪との対戦が待つが、カンボジアの戦いにも注目したい。(Football ZONE web編集部)