by NomadSoul1

プロスポーツ選手らの飲食習慣とオーラルケアの頻度を調べた研究により、アスリートが人一倍歯の健康に気を遣っているにもかかわらず虫歯が多い実態と、その原因が明らかになったとの論文が発表されました。

Oral health-related behaviours reported by elite and professional athletes | British Dental Journal

https://www.nature.com/articles/s41415-019-0617-8

Oral health and performance impacts in elite and professional athletes - Gallagher - 2018 - Community Dentistry and Oral Epidemiology - Wiley Online Library

https://onlinelibrary.wiley.com/doi/abs/10.1111/cdoe.12392

Elite athletes have poor oral health despite brushing twice daily -- ScienceDaily

https://www.sciencedaily.com/releases/2019/08/190823080012.htm

Athletes have poor teeth despite brushing twice a day, study finds | Society | The Guardian

https://www.theguardian.com/society/2019/aug/24/athletes-are-damaging-their-teeth-with-energy-drinks-study-finds

過去の研究により、「オリンピック選手の歯の健康具合は一般人以下」ということがつきとめられていますが、その理由については「口中の乾燥や、トレーニングにかまけて歯科診療所に通えていないことなどが関係しているのではないか」との推論が示されただけでした。

オリンピック選手の歯の健康具合は一般人以下 - GIGAZINE



そこで、ロンドン大学イーストマン歯科研究所に勤めるジュリー・ギャラガー氏らの研究チームは、陸上競技・ラグビー・フットボール・水泳など11種目のスポーツで活躍しているプロスポーツ選手やオリンピック選手ら352人を対象に、歯のケアについての習慣や食生活についてのアンケートを実施しました。

その結果、アスリートの94%が1日に2回以上歯磨きをしていることや、44%が定期的にデンタルフロスで歯を掃除していることが分かりました。一方、アスリートではない一般人では1日2回以上歯磨きしている人は75%、定期的にデンタルフロスを使っている人は21%しかいませんでした。

ギャラガー氏は「ほとんどのアスリートが1日に2回以上歯を磨き、定期的に歯科診療所に通っていて、喫煙もせず、健康的な食事をとっていることが分かりました」と話し、アスリートの大多数が良好なオーラルケアの習慣を持っているとの見方を示しました。

しかし、ギャラガー氏らが実際にアスリートの歯の健康状態を調べたところ、アスリートの49.1%が未治療の虫歯を抱えているほか、大多数が初期の歯肉炎を患っていることが判明。スポーツのパフォーマンスに関する調査でも、アスリートの32%が「歯の健康に起因する問題がスポーツの成績に影響を及ぼしている」と回答しています。

ギャラガー氏は、アスリートが積極的なオーラルケアを実施しているにもかかわらず歯の健康状態が悪いのは、競技中に飲食しているドリンクなどが原因だと見ています。というのも、前述のアンケートでは、アスリートの87%が習慣的にスポーツドリンクを飲み、59%がスナックバーを食べ、70%がゼリー飲料を摂取していることも判明しているからです。



by Jana Wersch

「これらの飲食物に含まれる糖類が虫歯リスクを高めるているだけでなく、多くは酸性の食品なので、歯が酸で溶かされるう蝕の原因にもなります」とギャラガー氏は述べています。

研究チームは今後、フッ化物入り洗口液の使用や、より頻繁な歯科検診、スポーツドリンクの摂取量を減らすといった行動により、アスリートの歯の健康状態が改善するかの追跡調査を実施する予定だそうです。