阪神の本拠地・甲子園球場

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阪神・鳥谷敬内野手(38)の起用法が波紋を広げている。阪神は2019年8月28日、甲子園で中日と対戦し0−1の完封負け。先発・青柳晃洋投手(25)が7回1失点の好投を見せたが、打線が得点出来ず今シーズン12度目の完封負けを喫した。これで中日には2連続で負け越しが決定。残り23試合で3位・広島との差は3.5ゲームのままで、Aクラス入りが厳しい状況になってきた。

打点0のベテラン起用に疑問の声...

疑問視されている采配は7回。2死2、3塁の場面で、矢野燿大監督(50)が梅野隆太郎捕手(28)に代えて代打に送ったのが鳥谷だった。一打逆転の絶好機に今シーズン打点0のベテランを起用。逆転を期待する甲子園のボルテージは頂点に達したが、結果は2ゴロで得点ならず。代打の切り札は指揮官の期待に応えることが出来ず、打率をわずかに下げ.208とした。

指揮官は鳥谷を起用した理由を「あそこはトリと決めていたんでね」と説明。9番・青柳の打席を待たずして梅野に代えてまで勝負に出る戦略だったことを明かした。Aクラス入りには落とせない下位チームとの一戦。1点を争う場面での鳥谷の起用に虎党からは疑問の声が相次ぎ、ネット上では「温情采配はやめろ」、「本当に理解できない」など、矢野采配に厳しい声が寄せられている。

今シーズン、代打要員での起用が続く鳥谷だが、得点圏打率は1割にも満たない。今年は5年契約の最終年となり、来シーズンの去就に注目される中、8月25日のヤクルト戦後に意味深発言。神宮球場での今シーズン最終試合にかけて「自分もこれが最後になるかもしれないので」と発言。球団サイドは慎重な姿勢を見せており、タイミングを見計らい今後、話し合いの場を持つとみられる。

「戦友への同情」指揮官批判の引き金に

矢野監督にとって鳥谷は阪神の後輩でもあり、「戦友」でもある。長らくチームをけん引してきた功労者に対するリスペクトもあるだろうが、一部の虎党からは「私情を捨てて勝負に徹してほしい」との反応も。現在チームはクライマックスシリーズ(CS)進出をかけての戦いが続き、3位・広島との差は3.5ゲーム。残り試合を考えれば1つも負けは許されない状態にあり、ひとつの敗戦がペナントレースの行方を大きく左右しかねない。

今シーズン、指揮官は序盤戦に鳥谷をスタメンで起用しチャンスを与えた。ショートのレギュラーの座をルーキー木浪聖也内野手(25)、北條史也内野手(25)と争う形になったが、若手が躍動する一方で鳥谷は結果を残すことが出来ずに代打要員に。元来、一発勝負の代打向きとされない打者だけに、チャンスの場面でことごとく凡退。得点圏では33打数1安打と、まったく数字を残せていない。

指揮官が鳥谷起用にこだわり続ける理由はどこにあるのか。今シーズンの鳥谷を見る限り、ここ一番の勝負強さはなく、それを求めるのは酷かもしれない。虎党からも鳥谷に対して同情的な声が多く、鳥谷への同情が指揮官批判への引き金になっている。残り23試合、阪神のAクラス入りは指揮官の手腕にかかっている。