話題の統一QR「JPQR」の実際をローンチ初日の和歌山で見てきた:モバイル決済最前線
経済産業省などが推進し、キャッシュレス推進協議会によって統一仕様がまとめられたコード決済のための統一QR事業「JPQR」が8月1日よりスタートした。当初は日本全国ではなく、岩手県、長野県、和歌山県、福岡県ら4地域からの展開となるが、このうちJPQRのキックオフイベントが開催された和歌山県白浜町を中心とした地域を8月1日から2日にかけて取材してきたので、周辺事情を紹介する。
▲8月1日、共通QRコード仕様のJPQRがスタート
▲和歌山市を見下ろせる位置に建つ和歌山城。徳川吉宗などで有名な紀州徳川家の居城だった場所だ
JPQRでは顧客が手持ちのスマートフォンにQRコードやバーコードを表示させてそれを店舗側が読み取る「CPM」と、店舗側がQRコードを提示することでそれを顧客が手持ちのスマートフォンのカメラで読み取る「MPM」の2つの方式が定義されているが、ここで重要になるのがMPMの方だ。
CPMの場合、店舗が顧客がスマートフォンアプリで表示させているコードを読み取るために、POSやタブレットの操作でターゲットとなる決済サービスを選択しているが、こうしたサービスの違いは多くの場合「ゲートウェイ」と呼ばれるコード決済を処理する中間業者の仕組みによって自動で吸収される。そのため、実はCPMでの仕様統一は利便性こそ向上するものの、体制に大きな影響を与えない。
逆にMPMが統一された場合、店舗側はサービスごとにQRコードを用意する必要がなく、ただ1つのJPQRのコードを掲示しておくだけでよく、店舗の会計まわりのスペースが節約されるだけでなく、利用者によっての利便性も高い。これがJPQR本来の意義といえる。
8月1日のJPQRローンチとは、このJPQRに準拠したMPM方式のQRコードが店舗に飾られることを意味する。今回は8月最初の2日間を使って和歌山市内と白浜町を往復し、実際どのように展開されているのかを確かめることが目的だった。だが白浜町周辺を中心にまわった8月1日は対応店舗は発見できず、翌2日目に取材した和歌山市内の商店街にある老舗のお茶屋「諏訪園」が最初の店舗となった。
▲和歌山市内の商店街にある老舗のお茶屋「諏訪園」
▲喫茶コーナーもあり、若い人たちや観光客もよく立ち寄るという。写真は抹茶フロート
同店はもともとOrigami Payを導入するなどコード決済にも理解があり、クレジットカードや電子マネー対応を進める形でリクルートのAirレジ、Airペイを導入している。実際、クレジットカードは近くにゲストハウスがあることで、欧米系の旅行客に利用されることも多いようだ。
そうした形で和歌山市の商工会議所らが取り組みを進めるJPQRの導入へと相成ったわけだが、当初8月1日の開店時点ではJPQRのコードやポスターは出しておらず、店舗の視察に来たOrigamiの関係者に指摘されたタイミングで初めて掲示したようだ。
JPQR利用の第1号はこのOrigamiの関係者で、この時点では何も問題がなかった。だが今度はJPQR推進の関係者が来店してJ-Coin Payを試してみたところ上手く動作せず、J-Coin Payを同地区で展開している紀陽銀行からの連絡でまだJPQR経由で利用できないことがわかった。また当初問題ないと思っていたOrigami Payも、後になって諏訪園の店主自身が試したところ、やはり動作しなかったという。
調べたところ、Origami Payについては8月1日のローンチ直前にアプリのアップデートがあり、これを適用した状態でないとJPQRが利用できないことがわかった。Origami関係者はアプリを最新状態で保っていた一方、諏訪園店主を含む多くの人はまだ最新バージョンを導入していない状態で、これが差になって表れたとみられる。
また2日目の訪問時にメルペイを試してみたところ、こちらも動作しなかった。メルペイに確認したところ、JPQR利用にあたってメルペイ内部で利用者登録のプロセスがあり、諏訪園はまだこの時点でプロセスが未完了だったという。つまりローンチ時に利用できたのはJPQR 3種類のコード決済のうちOrigami Payのみで、なかなかにバタバタした印象だ。
実際、和歌山市内で中小小売店舗のJPQR登録窓口として機能している商工会議所の話によれば、同市内で200以上の申請店舗のうち、ローンチ時点でJPQRに対応する店舗はわずか10軒前後だという。そのうちの1店である諏訪園がようやくQRコードを掲示できている状況なので、想像以上にスロースタートという感じだ。
▲JPQRだけでなくAirペイを導入して中国系QRコード決済やクレジットカード決済にも対応している
▲諏訪園のJPQR。実際には取材時点で利用可能だったのはOrigami Payだけだった
このバタバタぶりを象徴するエピソードがもう1つある。白浜町で取材していてたところ、なかなかJPQR対応店舗を見つけられないなと思っていたところ、豊店(とよみせ)という酒屋でJPQRのキットが届いていたことを確認した。
1日に同店を訪問したところ、その前には届いていたという東京から発送されたJPQRの封筒ならびに、J-Coin Payを展開している紀陽銀行の封筒の2つを見せてくれた。組み立てるとJPQRのコードを表示する"のぼり"になるキットで、ローンチタイミングの異なる複数のサービスに対応するために日付が書かれて3つに分かれたアクセプタンスマーク入りシールと、それを貼り付けるためのJPQRコードの印刷された台紙(これもシール)の組み合わせだ。
予想だが、白浜町内でもすでにいくつかの店舗にはJPQRキットが届いており、この店舗のように「まだ掲出していない」という状態だったのかもしれない。もっとも、諏訪園の例のように利用できたのはOrigami Payだけだった可能性があるわけで、本格始動にはまだまだ時間がかかりそうだ。
▲南紀白浜の豊店(とよみせ)という酒屋にもJPQRを利用するためのキットが届いていた
▲JPQRの封筒と同時にJ-Coin Payの関連書類が紀陽銀行からも届いていた
![JPQRキットの中身](ph09.jpg)
▲店舗カウンターに掲出するためのJPQRとアクセプタンスのシール。サービスによって開始時期が異なるため、分離式のシールになっている
JPQR自体はスロースタートだが、QRコードやバーコードを使ったモバイル決済は和歌山の地に少しずつ根付いている。もともとキャッシュレス決済比率が低いといわれる和歌山県だが、大阪都市圏で交通系電子マネーもよく利用されている和歌山市内を除けば、やはり現金決済が主流の土地柄だ。
一方で、今回のJPQRキックオフイベントが南紀白浜で行われたように、これを根本から変えていこうという試みがあり、前述の商工会議所をはじめ、関係各所が連携してキャッシュレスな決済の導入を進めている。
1つはNECが白浜地区において「IoTおもてなしサービス実証」の名称で進めている顔認証決済サービスで、南紀白浜空港から同町内のホテル、海鮮レストランまでをウォークスルーの顔認証で利用できるという仕組みだ。このうち海鮮レストランの「フィッシャーマンズワーフ白浜」ではメルペイを導入しており、担当者に話を聞いたところ「顔認証を利用する人はいるが、メルペイはそれほど多くない」ということだった。
実際、白浜周辺でもメルカリを利用しているユーザーはそれなりにいるものの、「メルペイ自体の認知不足」もあり、実際にこの場所がメルペイに対応しているかも含め、利用者にほとんど伝わっていない印象を受けた。
▲白浜にある海鮮料理・土産物店の「フィッシャーマンズワーフ白浜」
▲ここではメルペイとNECの顔認証決済を導入している。クレジットカードも導入しているが、取材時点では利用不可だった
このほか、LINE Payなど他の決済サービスを導入した店舗を散見しているものの、やはり利用は限定的という印象を受けた。そもそも店を跨いで統一的に利用できるサービスが少ないからだ。
こうした状況とは裏腹に、地域での快進撃ぶりを感じたのがPayPayだ。全部ではないものの、おそらく導入店舗はこの地区でかなり多い。土地の方に聞いても「よく行く店舗では一番対応が進んでいる」「(宮川大輔の)CMで知名度がある」といった理由で、割と認知が進んでいるようだ。
▲柚もなかとパンダアイスで観光客の目を惹く土佐屋ではPayPayを導入
PayPayがまとめて導入された地域もある。それが紀伊田辺駅周辺で、ここに店舗を構えるお米屋の「たがみ」がかなり早期にPayPayを導入し(最初の100億円キャンペーンが実施される前のタイミング)、地元の名士という立場柄か周辺の商店店主らにPayPay導入を勧めたことで、40店舗以上で一気に導入が進んだようだ。
PayPayを勧める際のキャッチフレーズは「導入に初期費用がかからず、使っても使わなくても手数料は無料、手数料無料期間が終わって気に入らなければ解約すればいい」で、デメリットないなら導入しても損はないというものだ。紀伊田辺は割と一気に導入した地域だが、このほかにも和歌山県を移動した範囲においてPayPayの対応店舗は非常によく見かけており、営業がかなり頑張っている印象が強い。
▲紀伊田辺にあるお米屋の「たがみ」。PayPayをかなり早期から導入しており、周辺の商店にも導入を勧めたという
▲実際、紀伊田辺駅周辺ではアクセプタンスマークこそ出していないものの、このラーメン屋のようにPayPayを利用できる店舗が集中している
小さな商店ではまだまだだが、白浜周辺では一番人気のスポットとして知られる「とれとれ市場」では、電子マネーやクレジットカード、コード決済を含む、さまざまなキャッシュレス決済に対応していたりと、人の多い場所ほどキャッシュレス対応が進んでいるようだ。
前述のように、交通系ICの勢力圏は和歌山県でも北部の和歌山市内にとどまり、白浜のような南部地域までは拡大しておらず、「とれとれ市場」でのキャッシュレス対応もどちらかといえばクレジットカードがメインのようではある。
▲南紀白浜で一番人気のあるシーフードレストラン兼買い物どころの「とれとれ市場」。多くの人で非常に活気がある
▲組み合わせは店舗ごとに異なるものの、クレジットカードから電子マネー、QRコード決済まで幅広い決済手段が利用できるようだ
また興味深いところでは、和歌山市内で2日目にランチを食べたイタリアンレストラン「Kitchen Cammy」では、数多くのコード決済に対応しており、ランチタイムでの支払いに利用できる。地元でも人気店のようで盛況だったが、圧巻というほどQRコードが店内に掲示されているにもかかわらず、筆者ら取材班を除く他の客はすべて現金決済だったというのもまた、和歌山の決済事情を反映したものなのかもしれない。
▲和歌山市内にあるイタリアンレストラン「Kitchen Cammy」。さまざまなキャッシュレス決済手段を導入していることで知られている
▲カウンターに大量に並べられたQRコード決済のMPMプレート群
▲和歌山市を見下ろせる位置に建つ和歌山城。徳川吉宗などで有名な紀州徳川家の居城だった場所だ
和歌山県内で見たJPQRの実際
JPQRでは顧客が手持ちのスマートフォンにQRコードやバーコードを表示させてそれを店舗側が読み取る「CPM」と、店舗側がQRコードを提示することでそれを顧客が手持ちのスマートフォンのカメラで読み取る「MPM」の2つの方式が定義されているが、ここで重要になるのがMPMの方だ。
CPMの場合、店舗が顧客がスマートフォンアプリで表示させているコードを読み取るために、POSやタブレットの操作でターゲットとなる決済サービスを選択しているが、こうしたサービスの違いは多くの場合「ゲートウェイ」と呼ばれるコード決済を処理する中間業者の仕組みによって自動で吸収される。そのため、実はCPMでの仕様統一は利便性こそ向上するものの、体制に大きな影響を与えない。
逆にMPMが統一された場合、店舗側はサービスごとにQRコードを用意する必要がなく、ただ1つのJPQRのコードを掲示しておくだけでよく、店舗の会計まわりのスペースが節約されるだけでなく、利用者によっての利便性も高い。これがJPQR本来の意義といえる。
8月1日のJPQRローンチとは、このJPQRに準拠したMPM方式のQRコードが店舗に飾られることを意味する。今回は8月最初の2日間を使って和歌山市内と白浜町を往復し、実際どのように展開されているのかを確かめることが目的だった。だが白浜町周辺を中心にまわった8月1日は対応店舗は発見できず、翌2日目に取材した和歌山市内の商店街にある老舗のお茶屋「諏訪園」が最初の店舗となった。
▲和歌山市内の商店街にある老舗のお茶屋「諏訪園」
▲喫茶コーナーもあり、若い人たちや観光客もよく立ち寄るという。写真は抹茶フロート
同店はもともとOrigami Payを導入するなどコード決済にも理解があり、クレジットカードや電子マネー対応を進める形でリクルートのAirレジ、Airペイを導入している。実際、クレジットカードは近くにゲストハウスがあることで、欧米系の旅行客に利用されることも多いようだ。
そうした形で和歌山市の商工会議所らが取り組みを進めるJPQRの導入へと相成ったわけだが、当初8月1日の開店時点ではJPQRのコードやポスターは出しておらず、店舗の視察に来たOrigamiの関係者に指摘されたタイミングで初めて掲示したようだ。
JPQR利用の第1号はこのOrigamiの関係者で、この時点では何も問題がなかった。だが今度はJPQR推進の関係者が来店してJ-Coin Payを試してみたところ上手く動作せず、J-Coin Payを同地区で展開している紀陽銀行からの連絡でまだJPQR経由で利用できないことがわかった。また当初問題ないと思っていたOrigami Payも、後になって諏訪園の店主自身が試したところ、やはり動作しなかったという。
調べたところ、Origami Payについては8月1日のローンチ直前にアプリのアップデートがあり、これを適用した状態でないとJPQRが利用できないことがわかった。Origami関係者はアプリを最新状態で保っていた一方、諏訪園店主を含む多くの人はまだ最新バージョンを導入していない状態で、これが差になって表れたとみられる。
また2日目の訪問時にメルペイを試してみたところ、こちらも動作しなかった。メルペイに確認したところ、JPQR利用にあたってメルペイ内部で利用者登録のプロセスがあり、諏訪園はまだこの時点でプロセスが未完了だったという。つまりローンチ時に利用できたのはJPQR 3種類のコード決済のうちOrigami Payのみで、なかなかにバタバタした印象だ。
実際、和歌山市内で中小小売店舗のJPQR登録窓口として機能している商工会議所の話によれば、同市内で200以上の申請店舗のうち、ローンチ時点でJPQRに対応する店舗はわずか10軒前後だという。そのうちの1店である諏訪園がようやくQRコードを掲示できている状況なので、想像以上にスロースタートという感じだ。
▲JPQRだけでなくAirペイを導入して中国系QRコード決済やクレジットカード決済にも対応している
▲諏訪園のJPQR。実際には取材時点で利用可能だったのはOrigami Payだけだった
このバタバタぶりを象徴するエピソードがもう1つある。白浜町で取材していてたところ、なかなかJPQR対応店舗を見つけられないなと思っていたところ、豊店(とよみせ)という酒屋でJPQRのキットが届いていたことを確認した。
1日に同店を訪問したところ、その前には届いていたという東京から発送されたJPQRの封筒ならびに、J-Coin Payを展開している紀陽銀行の封筒の2つを見せてくれた。組み立てるとJPQRのコードを表示する"のぼり"になるキットで、ローンチタイミングの異なる複数のサービスに対応するために日付が書かれて3つに分かれたアクセプタンスマーク入りシールと、それを貼り付けるためのJPQRコードの印刷された台紙(これもシール)の組み合わせだ。
予想だが、白浜町内でもすでにいくつかの店舗にはJPQRキットが届いており、この店舗のように「まだ掲出していない」という状態だったのかもしれない。もっとも、諏訪園の例のように利用できたのはOrigami Payだけだった可能性があるわけで、本格始動にはまだまだ時間がかかりそうだ。
▲南紀白浜の豊店(とよみせ)という酒屋にもJPQRを利用するためのキットが届いていた
▲JPQRの封筒と同時にJ-Coin Payの関連書類が紀陽銀行からも届いていた
![JPQRキットの中身](ph09.jpg)
▲店舗カウンターに掲出するためのJPQRとアクセプタンスのシール。サービスによって開始時期が異なるため、分離式のシールになっている
JPQR以外のモバイル決済事情
JPQR自体はスロースタートだが、QRコードやバーコードを使ったモバイル決済は和歌山の地に少しずつ根付いている。もともとキャッシュレス決済比率が低いといわれる和歌山県だが、大阪都市圏で交通系電子マネーもよく利用されている和歌山市内を除けば、やはり現金決済が主流の土地柄だ。
一方で、今回のJPQRキックオフイベントが南紀白浜で行われたように、これを根本から変えていこうという試みがあり、前述の商工会議所をはじめ、関係各所が連携してキャッシュレスな決済の導入を進めている。
1つはNECが白浜地区において「IoTおもてなしサービス実証」の名称で進めている顔認証決済サービスで、南紀白浜空港から同町内のホテル、海鮮レストランまでをウォークスルーの顔認証で利用できるという仕組みだ。このうち海鮮レストランの「フィッシャーマンズワーフ白浜」ではメルペイを導入しており、担当者に話を聞いたところ「顔認証を利用する人はいるが、メルペイはそれほど多くない」ということだった。
実際、白浜周辺でもメルカリを利用しているユーザーはそれなりにいるものの、「メルペイ自体の認知不足」もあり、実際にこの場所がメルペイに対応しているかも含め、利用者にほとんど伝わっていない印象を受けた。
▲白浜にある海鮮料理・土産物店の「フィッシャーマンズワーフ白浜」
▲ここではメルペイとNECの顔認証決済を導入している。クレジットカードも導入しているが、取材時点では利用不可だった
このほか、LINE Payなど他の決済サービスを導入した店舗を散見しているものの、やはり利用は限定的という印象を受けた。そもそも店を跨いで統一的に利用できるサービスが少ないからだ。
こうした状況とは裏腹に、地域での快進撃ぶりを感じたのがPayPayだ。全部ではないものの、おそらく導入店舗はこの地区でかなり多い。土地の方に聞いても「よく行く店舗では一番対応が進んでいる」「(宮川大輔の)CMで知名度がある」といった理由で、割と認知が進んでいるようだ。
▲柚もなかとパンダアイスで観光客の目を惹く土佐屋ではPayPayを導入
PayPayがまとめて導入された地域もある。それが紀伊田辺駅周辺で、ここに店舗を構えるお米屋の「たがみ」がかなり早期にPayPayを導入し(最初の100億円キャンペーンが実施される前のタイミング)、地元の名士という立場柄か周辺の商店店主らにPayPay導入を勧めたことで、40店舗以上で一気に導入が進んだようだ。
PayPayを勧める際のキャッチフレーズは「導入に初期費用がかからず、使っても使わなくても手数料は無料、手数料無料期間が終わって気に入らなければ解約すればいい」で、デメリットないなら導入しても損はないというものだ。紀伊田辺は割と一気に導入した地域だが、このほかにも和歌山県を移動した範囲においてPayPayの対応店舗は非常によく見かけており、営業がかなり頑張っている印象が強い。
▲紀伊田辺にあるお米屋の「たがみ」。PayPayをかなり早期から導入しており、周辺の商店にも導入を勧めたという
▲実際、紀伊田辺駅周辺ではアクセプタンスマークこそ出していないものの、このラーメン屋のようにPayPayを利用できる店舗が集中している
小さな商店ではまだまだだが、白浜周辺では一番人気のスポットとして知られる「とれとれ市場」では、電子マネーやクレジットカード、コード決済を含む、さまざまなキャッシュレス決済に対応していたりと、人の多い場所ほどキャッシュレス対応が進んでいるようだ。
前述のように、交通系ICの勢力圏は和歌山県でも北部の和歌山市内にとどまり、白浜のような南部地域までは拡大しておらず、「とれとれ市場」でのキャッシュレス対応もどちらかといえばクレジットカードがメインのようではある。
▲南紀白浜で一番人気のあるシーフードレストラン兼買い物どころの「とれとれ市場」。多くの人で非常に活気がある
▲組み合わせは店舗ごとに異なるものの、クレジットカードから電子マネー、QRコード決済まで幅広い決済手段が利用できるようだ
また興味深いところでは、和歌山市内で2日目にランチを食べたイタリアンレストラン「Kitchen Cammy」では、数多くのコード決済に対応しており、ランチタイムでの支払いに利用できる。地元でも人気店のようで盛況だったが、圧巻というほどQRコードが店内に掲示されているにもかかわらず、筆者ら取材班を除く他の客はすべて現金決済だったというのもまた、和歌山の決済事情を反映したものなのかもしれない。
▲和歌山市内にあるイタリアンレストラン「Kitchen Cammy」。さまざまなキャッシュレス決済手段を導入していることで知られている
▲カウンターに大量に並べられたQRコード決済のMPMプレート群