企業の命運を分けるデジタル人材の採用と育成
IoT、ビッグデータ、AI(人工知能)などのテクノロジーによって、これまでのビジネスのあり方が大きく変わろうとしている。人材市場では稀少なデジタル技術者や事業責任者などの奪い合いとなっており、多くの企業が人材確保に頭を悩ませている。事業変革を推進していくためのデジタル人材の採用や育成について、最新事情を取材した。
あらゆるモノがネットにつながるIoT、さまざまなサービスの大量の利用データから利用者の行動などを分析して社会や経済の問題解決や事業の付加価値向上を支援するビッグデータ活用、そしてこれらの情報を処理・応用するAIなどのデジタル技術を活用した新製品やサービスが相次いで登場している。
そして、デジタル技術と既存のビジネスモデルが結合することによって、これまでと異なる分野からの参入や業界を越えた競争が起こり、デジタル活用による事業構造の変革を意味する「デジタルトランスフォーメーション」の推進が多くの企業で経営課題となっている。
事業展開のスピードが第一に問われる時代にあって、まさにデジタル人材の確保が企業の命運を分けると言って過言ではないだろう。 デジタルを活用した新製品やサービス開発が活発化した近年は、デジタル分野のエンジニアは国境や国籍を越えて奪い合いの状況となっている。先端分野の技術者を獲得するために海外に拠点を設けてグローバルな採用に取り組む日本企業も出てきた。
国内では大手自動車メーカーなどが東京都心部に研究開発環境を整えて人材獲得を進めている。こうした企業の中には競合他社との採用競争に負けないために、都心に住居を確保する必要があるエンジニアに対して、20万円を超える家賃補助を提示している例もある。
技術者特化の人材紹介会社テクノブレーンの加茂孝修取締役はこうした企業の採用事情を次のように話す。
「人材獲得競争は激しさを増しており、各社とも今年度は採用計画の達成がさらに厳しいのでないでしょうか。大学や企業間の連携による研究の取り組みが進んでいるため、以前に比べて実装フェーズに伴う求人が増えています」
また、ウェブサービス企業やSIerの採用に詳しい同社の碣石浩二部長は「即戦力となるシニアクラスのエンジニア採用が困難なため、若年層を採用していこうという企業が多くなっています。また、エンジニアを統括し、組織戦略を考えられるエンジニアリングマネジャーやVPoE(Vice President of Engineering)、アライアンスパートナーとの事業化を推進できる人材といった求人も見られます」と説明する。
成長分野や先端分野では専門領域で活躍しているエンジニアの数が非常に少なく転職市場にはほとんど出てこないため、さまざまな手法を用いて候補者に接触して求人の魅力を伝え、丁寧にフォローしていくような動きを取らなければ採用は困難になっている。 デジタルトランスフォーメーションを推進する企業の取り組みに伴って、デジタル事業全体を統括する最高責任者としてチーフデジタルオフィサー(CDO)を置いたり、デジタル専門部署を設ける企業も出てきている。
しかし、多くの企業ではデジタル事業に精通した人材が社内にいないため、デジタル事業の企画やマーケティングなどの経験者を外部から獲得しようと動いている。
デジタル事業担当者の年俸も高騰している。昨年、大手食品メーカーからCDOのヘッドハンティングを依頼された人材サーチ会社の経営幹部は「デジタルトランスフォーメーションは経営トップが率先して取り組まなければならない課題です。今回のヘッドハンティングに際しては、既存役員と同じ水準ではなく人材マーケットに合わせて報酬を用意するので最適な人材を探してほしいという経営トップからの明確な指示がありました」と話す。
あらゆるモノがネットにつながるIoT、さまざまなサービスの大量の利用データから利用者の行動などを分析して社会や経済の問題解決や事業の付加価値向上を支援するビッグデータ活用、そしてこれらの情報を処理・応用するAIなどのデジタル技術を活用した新製品やサービスが相次いで登場している。
事業展開のスピードが第一に問われる時代にあって、まさにデジタル人材の確保が企業の命運を分けると言って過言ではないだろう。 デジタルを活用した新製品やサービス開発が活発化した近年は、デジタル分野のエンジニアは国境や国籍を越えて奪い合いの状況となっている。先端分野の技術者を獲得するために海外に拠点を設けてグローバルな採用に取り組む日本企業も出てきた。
国内では大手自動車メーカーなどが東京都心部に研究開発環境を整えて人材獲得を進めている。こうした企業の中には競合他社との採用競争に負けないために、都心に住居を確保する必要があるエンジニアに対して、20万円を超える家賃補助を提示している例もある。
技術者特化の人材紹介会社テクノブレーンの加茂孝修取締役はこうした企業の採用事情を次のように話す。
「人材獲得競争は激しさを増しており、各社とも今年度は採用計画の達成がさらに厳しいのでないでしょうか。大学や企業間の連携による研究の取り組みが進んでいるため、以前に比べて実装フェーズに伴う求人が増えています」
また、ウェブサービス企業やSIerの採用に詳しい同社の碣石浩二部長は「即戦力となるシニアクラスのエンジニア採用が困難なため、若年層を採用していこうという企業が多くなっています。また、エンジニアを統括し、組織戦略を考えられるエンジニアリングマネジャーやVPoE(Vice President of Engineering)、アライアンスパートナーとの事業化を推進できる人材といった求人も見られます」と説明する。
成長分野や先端分野では専門領域で活躍しているエンジニアの数が非常に少なく転職市場にはほとんど出てこないため、さまざまな手法を用いて候補者に接触して求人の魅力を伝え、丁寧にフォローしていくような動きを取らなければ採用は困難になっている。 デジタルトランスフォーメーションを推進する企業の取り組みに伴って、デジタル事業全体を統括する最高責任者としてチーフデジタルオフィサー(CDO)を置いたり、デジタル専門部署を設ける企業も出てきている。
しかし、多くの企業ではデジタル事業に精通した人材が社内にいないため、デジタル事業の企画やマーケティングなどの経験者を外部から獲得しようと動いている。
デジタル事業担当者の年俸も高騰している。昨年、大手食品メーカーからCDOのヘッドハンティングを依頼された人材サーチ会社の経営幹部は「デジタルトランスフォーメーションは経営トップが率先して取り組まなければならない課題です。今回のヘッドハンティングに際しては、既存役員と同じ水準ではなく人材マーケットに合わせて報酬を用意するので最適な人材を探してほしいという経営トップからの明確な指示がありました」と話す。