【FC東京】疑念から確信へ。久保建英はJ1制覇への最大のキーマンだ
今季の開幕当初は、久保建英の実力を疑問視していた。1節の川崎戦に続き、2節の湘南戦でもゴールやアシストはない。確かにボールを持てば前線や中盤で抜群のタメを作り、さらに絶妙なパスを通すシーンもあった。
しかし、川崎戦でのポストを叩いたFKを繰り返し流すTVのスポーツニュースを観て、独り言のように呟いてしまった。「結局はノーゴールじゃん。過大評価されてない?」と……。
湘南戦後に「結果を求めてやっている」とコメントした久保も、この段階でゴールもアシストもない状況に満足していなかったはずだ。「17歳」という話題が先行していることに本人がどんな感情を抱いているかは知る由もないが、ひとつ確かなのは、プロの世界において年齢など関係ない、結果がすべてということだ。
もちろん、今季からFC東京でスタメンを張り、それだけで大きな成長との見方もできる。実際、シーズン開幕前に東慶悟はこんなことを言っていた。「久保選手からは本気で試合に出てやろうという気迫が伝わってくる。練習以外のところでも努力していて、チームにとっても良い刺激になっている」。その成果がスタメン奪取であり、それは素直に凄いことだと思った。
しかし、それだけで高評価する気にはどうしてもなれなかった。むしろ「バルセロナ出身」ならスタメン奪取ぐらいは当たり前とシビアな目で見ていた。それが、3節の鳥栖戦から久保への見方が少しずつ変わってきた。
まず評価できたのが、鳥栖戦でのアシストだ。足が止まってもおかしくない90+3分に、シルクのようなパスでジャエルのゴールをお膳立て。類まれなセンスと技術がなければ、あの時間帯にあのパスは出せない。そんな久保の才能を改めて見せつけられた決定的瞬間が、5節の浦和戦での先制点のシーンだった。
久保が先発から外れた浦和戦、FC東京は明らかに攻めあぐねていた。浦和も浦和で攻撃に迫力がなく、双方とも決め手を欠いたまま時間だけが過ぎていった。そうした流れを一変させたのが、62分に投入された久保だ。変幻自在のドリブルで相手選手を煙に巻くと、75分にはセンス抜群のスルーパスで決定機を演出。このパスを東がダイレクトでゴール前に蹴り込み、最後はD・オリヴェイラがヘッドで先制弾をねじ込んだ。
ここまで劇的にチームを変えられる力があるのかと、私は久保の妙技に舌を巻いた。開幕当初は懐疑的だった彼への見方も、この一戦を境にはっきりと変わった。疑念が確信に変わった瞬間でもある。
【久保建英PHOTO】カウンターから名手ク・ソンユンの牙城を崩す!ゴール裏に"久保不敗神話"の弾幕も!
ちょうどこの頃、私は長谷川監督とCBの森重真人に同じ質問をぶつけたことがあった。「リーグ戦に限ればここまでほぼ同じスタメンで戦っています。そろそろ対策を練られても不思議ではないのに、FC東京の勢いは止まりません。その要因を教えてもらえませんか?」と。奇しくも、ふたりの答は同じだった。「久保選手の存在が大きい。今季はあそこでタメや違いを作り出せている」──。
浦和戦後の久保はルヴァンカップの鳥栖戦(4月10日)で強烈なFKから今季初ゴールを決め、J1・9節の松本戦では永井謙佑の決勝点をスルーパスでアシスト。10節のG大阪戦こそ沈黙したが、続く11節の磐田戦で劇的な決勝弾を叩き込むと、12節の札幌戦では勝負を決めるゴールまで決めている。
スタメンのひとりから、極めて重要な戦力へ。今なら確信を持って言える。久保はJ1制覇への最大のキーマンである、と。
文:白鳥和洋(サッカーダイジェスト編集部)
しかし、川崎戦でのポストを叩いたFKを繰り返し流すTVのスポーツニュースを観て、独り言のように呟いてしまった。「結局はノーゴールじゃん。過大評価されてない?」と……。
湘南戦後に「結果を求めてやっている」とコメントした久保も、この段階でゴールもアシストもない状況に満足していなかったはずだ。「17歳」という話題が先行していることに本人がどんな感情を抱いているかは知る由もないが、ひとつ確かなのは、プロの世界において年齢など関係ない、結果がすべてということだ。
もちろん、今季からFC東京でスタメンを張り、それだけで大きな成長との見方もできる。実際、シーズン開幕前に東慶悟はこんなことを言っていた。「久保選手からは本気で試合に出てやろうという気迫が伝わってくる。練習以外のところでも努力していて、チームにとっても良い刺激になっている」。その成果がスタメン奪取であり、それは素直に凄いことだと思った。
しかし、それだけで高評価する気にはどうしてもなれなかった。むしろ「バルセロナ出身」ならスタメン奪取ぐらいは当たり前とシビアな目で見ていた。それが、3節の鳥栖戦から久保への見方が少しずつ変わってきた。
久保が先発から外れた浦和戦、FC東京は明らかに攻めあぐねていた。浦和も浦和で攻撃に迫力がなく、双方とも決め手を欠いたまま時間だけが過ぎていった。そうした流れを一変させたのが、62分に投入された久保だ。変幻自在のドリブルで相手選手を煙に巻くと、75分にはセンス抜群のスルーパスで決定機を演出。このパスを東がダイレクトでゴール前に蹴り込み、最後はD・オリヴェイラがヘッドで先制弾をねじ込んだ。
ここまで劇的にチームを変えられる力があるのかと、私は久保の妙技に舌を巻いた。開幕当初は懐疑的だった彼への見方も、この一戦を境にはっきりと変わった。疑念が確信に変わった瞬間でもある。
【久保建英PHOTO】カウンターから名手ク・ソンユンの牙城を崩す!ゴール裏に"久保不敗神話"の弾幕も!
ちょうどこの頃、私は長谷川監督とCBの森重真人に同じ質問をぶつけたことがあった。「リーグ戦に限ればここまでほぼ同じスタメンで戦っています。そろそろ対策を練られても不思議ではないのに、FC東京の勢いは止まりません。その要因を教えてもらえませんか?」と。奇しくも、ふたりの答は同じだった。「久保選手の存在が大きい。今季はあそこでタメや違いを作り出せている」──。
浦和戦後の久保はルヴァンカップの鳥栖戦(4月10日)で強烈なFKから今季初ゴールを決め、J1・9節の松本戦では永井謙佑の決勝点をスルーパスでアシスト。10節のG大阪戦こそ沈黙したが、続く11節の磐田戦で劇的な決勝弾を叩き込むと、12節の札幌戦では勝負を決めるゴールまで決めている。
スタメンのひとりから、極めて重要な戦力へ。今なら確信を持って言える。久保はJ1制覇への最大のキーマンである、と。
文:白鳥和洋(サッカーダイジェスト編集部)