【ELプレビュー】来季CL出場へ崖っぷちのガナーズ、難所メスタージャで逃げ切れるか《バレンシアvsアーセナル》

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ヨーロッパリーグ(EL)準決勝2ndレグ、バレンシアvsアーセナルが日本時間9日28:00にメスタージャでキックオフされる。来季チャンピオンズリーグ(CL)出場へ崖っぷちのガナーズが、難所メスタージャで逃げ切りを図る、決勝進出を懸けた運命の第2戦だ。

先週にアーセナルホームで行われた初戦では[5-3-2]の奇策を講じたアウェイのバレンシアが前半序盤にセットプレーからDFディアカビのゴールでしたたかにアウェイゴールを奪取。しかし、ホームで無類の強さを見せるアーセナルがアグレッシブに反撃に出ると、FWラカゼットの2ゴールによって前半のうちに試合を引っくり返した。その後は拮抗した状況が続いたが、試合終了間際にFWオーバメヤンの見事なボレーシュートが決まり、アウェイゴールこそ与えたもののアーセナルが3-1のスコアで先勝した。

概ねマルセリーノ監督のゲームプラン通りに試合を進められたものの、試合終了間際の3失点目が逆転突破を目指すホームでの第2戦に向けて気がかりな形となったバレンシア。それでも、先週末に行われたリーグ戦では最下位ウエスカ相手にFWサンティ・ミナ、FWロドリゴのドブレーテなどによって後半立ち上がりまでに6ゴールを奪う圧巻の攻撃を披露。これによって早い時間帯に主力をベンチに下げる余裕の采配も可能となり6-2で圧勝。4位のヘタフェと勝ち点3差をキープし、リーグ残り2試合を戦うことに。そして、今季公式戦最多6ゴールを挙げたチームは最高の形で“メスタージャの歓喜”を目指す戦いに臨むことになった。

一方、課題のセットプレーからアウェイゴールを献上も自慢の2トップの活躍によって先勝に成功したアーセナル。しかし、直近のリーグ戦ではすでに残留が決定した17位のブライトン相手にホーム最終戦で1-1の痛恨のドロー。4位トッテナムとの勝ち点差は「3」で最終節で同勝ち点で並ぶ可能性はあるものの、得失点差が「8」離れていることもあり、事実上の5位以下が確定している。そのため、今季のノルマである来季CL出場権獲得に向けてはEL優勝が絶対条件となっている。前ラウンドでナポリ相手に勝利しているとはいえ、シーズンを通じて苦しむアウェイゲームで逃げ切ることはできるか。

最後に両者の勝ち抜けの条件はアーセナルが引き分け以上で文句なし。さらに、1点差での敗戦、アウェイゴール2点以上を奪っての2点差負けでも突破が決まる。一方、バレンシアは2-0の勝利か、3点差以上を付けての勝利が逆転突破の条件だ。なお、バレンシアが3-1のスコアで90分の戦いを終えた場合のみ延長戦に突入する。(延長戦でもアウェイゴールが適用)

◆バレンシア◆

【4-4-2】


バレンシア予想スタメン
(C)CWS Brains,LTD.
GK:ネト

DF:ヴァス、ディアカビ、ガブリエウ、ガヤ

MF:ソレール、パレホ、コクラン、ゴンサロ・ゲデス

FW:ロドリゴ、ミナ

負傷者:MFコンドグビア、チェリシェフ

出場停止者:なし

出場停止者はいない。逆に、サスペンション明けで古巣対戦のコクランが復帰する。負傷者に関しては1stレグに続きコンドグビア、チェリシェフの2選手が欠場となる。

敵地での初戦では[3-5-2]の極端に守備的な布陣を採用したが、逆転突破に向けて複数得点が必要なホームでの第2戦に向けては通常の[4-4-2]に戻し、より攻撃的な人選で臨むはずだ。中盤から前は前述のメンバーとなる可能性が高いが、最終ラインはヴァス、ディアカビに代えてピッチーニ、ガライを起用する可能性もある。

◆アーセナル◆

【3-4-2-1】


アーセナル予想スタメン

(C)CWS Brains,LTD.
GK:チェフ

DF:パパスタソプーロス、コシエルニー、モンレアル

MF:ナイルズ、グエンドウジ、ジャカ、コラシナツ

MF:ムヒタリアン、イウォビ

FW:ラカゼット

負傷者:DFホールディング、ベジェリン、MFラムジー、デニス・スアレス、FWウェルベック

出場停止者:なし

出場停止者はいない。負傷者に関しても1stレグから大きな変更はない。

スタメンに関しては敵地で積極的にアウェイゴールを狙いに行くのか、あるいは守備的に戦いながらカウンターで相手を引っくり返すかによって人選が変わってくる。ここ最近の連戦の疲労を考慮すると、エジル、オーバメヤンがベンチスタートになる可能性が高そうだ。

★注目選手

◆バレンシア:FWロドリゴ・モレノ
Getty Images
バレンシアの注目プレーヤーはエースのロドリゴだ。昨季はキャリアハイのリーグ戦16ゴールを挙げるなどエースとして頼もしい姿を見せたロドリゴだが、今季は序盤から大不振に陥り、ここまでリーグ戦7ゴールと思うような活躍を見せることができず。それでも、アーセナルとの前回対戦では貴重なアウェイゴールをアシストすると、直近のウエスカ戦ではリーガ出場試合で8試合ぶりとなるドブレーテを記録するなど、ここに来て調子を上げてきている。

今季アウェイで脆さを見せているものの、地力で勝るアーセナル相手の一戦では相手の戦い方次第ではあるが、チーム十八番のカウンターを繰り出す機会は少なくなるはずだ。その中で相手のゴールをこじ開けるには、間でボールを受けつつ鋭いターンや密集地帯で相手DFを振り切るアジリティを持つロドリゴの活躍が必須だ。今季コパ・デル・レイの準々決勝でヘタフェ相手に見せた圧巻のハットトリックの再現を狙いたい。

◆アーセナル:MFグラニト・ジャカ
Getty Images
アーセナルの注目プレーヤーはトップ4逸の原因を作ってしまったジャカだ。今季序盤戦は本職のセントラルMFに加え、左サイドバックやセンターバックまでこなすユーティリティー性をみせ、チームの躍進に貢献したスイス代表MF。しかし、勤続疲労から徐々に調子を落とすと、ここ最近の試合では悪癖であるイージーミス、不用意なファウルなどでチームの足を引っ張ることに。とりわけ、直近のブライトン戦で与えたPKは今季ホーム最終戦での悲劇のドローの引き金となっており、サポーターからの批判の的になっている。したがって、今回の一戦ではそのミスからのバウンスバックが求められるところだ。

初戦の3-1というスコアを考慮すると、エメリ監督には幾つかの選択肢があるが、いずれにしても中盤の勝負が試合に大きな影響を与えるはずだ。前回対戦では相手が特殊な戦い方を選択したが、今回の一戦では元同僚MFのコクランの復帰もあり、バレンシアが本来得意とする素早い攻守の切り替えを生かしたトランジションフットボールを採用してくるはずだ。球際で強さを発揮するコクラン、より攻撃的な振る舞いを見せる司令塔パレホにいかに仕事をさせないかが、ジャカに求められる一番の仕事になる。