by Kent McFarland

2019年4月15日の夕方、フランス・パリの世界遺産であるノートルダム大聖堂で大規模な火災が発生し、屋根や尖塔を消失する被害を出しました。そんなノートルダム大聖堂の屋根では、実は18万匹ものセイヨウミツバチが飼育されていましたが、なんと火災を生き延びていたことが判明しました。

Bees of Notre Dame Cathedral: 180,000 bees were living on top of Notre Dame in Paris when the fire broke out - and survived, beekeeper Nicolas Geant says - CBS News

https://www.cbsnews.com/news/180000-bees-were-living-on-top-of-notre-dame-when-the-fire-broke-out-and-they-survived/

Notre Dame latest: 180,000 bees living in hives in cathedral's roof found alive after inferno | London Evening Standard

https://www.standard.co.uk/news/world/notre-dame-latest-180000-bees-living-in-hives-in-cathedrals-roof-found-alive-after-inferno-a4122321.html

ノートルダム大聖堂で発生した火災は大聖堂全体に広がり、尖塔や屋根が焼け落ちるといった大きな被害を出しました。フランスのマクロン大統領は「ノートルダム大聖堂を5年以内に再建する」と表明しており、記事作成時点ですでに8億ユーロ(約1000億円)以上の寄付申し込みがあったと報じられています。

ノートルダム大聖堂で起きた大規模火災の様子を収めた写真&ムービーまとめ - GIGAZINE



実はノートルダム大聖堂の屋根には、2013年からミツバチの巣箱が3つ設置されていたとのこと。パリではミツバチの生息数減少に対処するためのプロジェクトが行われており、その一貫としてミツバチの巣箱がノートルダム大聖堂の屋根に置かれたそうで、養蜂家のNicolas Geant氏が2013年からミツバチたちの世話を行ってきました。

ところがノートルダム大聖堂が大規模な火災に見舞われてしまったため、Geant氏は巣箱も燃えてしまったのではないかと考えていたとのこと。ところが火災の後にドローンが上空から撮影した写真により、ノートルダム大聖堂の屋根にある巣箱が元の状態をとどめていることが判明し、Geant氏はInstagramで写真を共有しました。以下の埋め込み画像の赤線で囲われた部分に、3つの巣箱が並んで置かれていることがわかります。

View this post on Instagram Une once d'espoir ! Les photos prises par différents drones montrent que les 3 ruches sont toujours en place... et visiblement intactes ! Pour ce qui est des occupantes, le mystère reste entier. Fumée, chaleur, eau... nous verrons si nos courageuses abeilles sont encore parmi nous dès que nous aurons accès à l'emplacement, ce qui risque de prendre beaucoup de temps. Vous serez bien évidemment informés. Nous souhaitons vous remercier pour tous vos messages de soutien, qui nous touchent énormément. ???? ????❤ #Beeopic #NotreDame #NotreDameDeParis #apiculture #abeilles #ruches #espoir #paris #battantes Beeopic ????さん(@beeopic)がシェアした投稿 - 2019年 4月月16日午前11時41分PDT




しかし、この時点ではまたミツバチが生きているのかどうかまではわかりませんでした。煙や熱、消火活動に使われた大量の水など、ミツバチの安全を脅かすものは多く、Geant氏はできるだけ早く巣箱に近づいてミツバチの生存を確認したいと考えたそうです。

ところが、ドローン写真を投稿したわずか1日後、ガーゴイルの彫刻付近に集まっているミツバチの姿が確認され、巣箱のミツバチたちは生存していることが判明しました。この時もやはりGeant氏は即座に写真を投稿し、「#miracle(奇跡)」というハッシュタグを付けています。

View this post on Instagram Nos abeilles de la Cathédrale Notre-Dame de Paris sont toujours en vie !! Confirmation de la part des responsables du site !! ❤????❤ Notre-Dame's bees are still alive !! #Beeopic #apiculture #abeilles #ruches #NotreDame #Notredamedeparis #cathedrale #ambroise #saintambroise #stambroise #miracle Beeopic ????さん(@beeopic)がシェアした投稿 - 2019年 4月月18日午前4時25分PDT




ミツバチがノートルダム大聖堂の火災を生き延びた理由について、Geant氏は「煙に含まれる二酸化炭素がミツバチたちを眠らせたことが大きかったのでしょう」と語っています。セイヨウミツバチは二酸化炭素を検知すると「生存モード」となり、女王蜂を守るためにハチミツに身を埋めて動かなくなるとのこと。ミツバチは煙によって死ぬことはないため、養蜂家がミツバチを落ち着かせるために煙を使うことはよくあるそうです。

しかし、煙では死ななくても高温状態はミツバチを殺し、巣を構成する蜜蝋は63度ほどの温度で溶けてしまいます。ノートルダム大聖堂の火災は非常に大規模なものだったため、Geant氏はすぐに「この火はミツバチを殺してしまう」と感じたそうですが、今回は奇跡的にミツバチたちが生き延びることができたとのこと。



by PeterAitch

パリ消防署の広報担当者であるGabriel Plus氏は、大聖堂の内部から消火活動が行われて火種もなくなったため、これ以上大聖堂が崩れることはないと発表しました。「大聖堂が無事に建っていることは奇跡です」と、Plus氏は述べました。