エンゼルス・大谷翔平【写真:Getty Images】

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「大谷本」の作者が米TV番組で二刀流右腕の凄さを語り尽くす

 エンゼルス大谷翔平投手は移籍1年目の開幕直後に二刀流でメジャーを席巻した。右肘靭帯損傷での離脱があり、後半戦はほぼ打者に専念したものの、新人王を受賞。大谷はなぜこれほどまでに米国ファン、メディア、そして、同じ選手たちの心を掴むことができたのか。11月に米国で発売された「大谷本」の作者が、その“魅力”について語っている。

「Shohei Ohtani 日本の二刀流スーパースターのアメージングな物語」の作者、ジェイ・パリス氏は米テレビ局「MLBネットワーク」の番組「MLB Now」に出演。ESPNやMLBネットワークで司会を務めるブライアン・ケニー氏と対談した。まずパリス氏が絶賛したのは、大谷の選手としての圧倒的な能力の高さだ。

「彼は500フィート(約152メートル)の打球を放ち、100マイル(約161キロ)の球を投げ、一塁べースを4秒以内に駆け抜ける。特にスプリングトレーニングでは彼は大苦戦していたため、同じ活躍をこのメジャーでできるのかどうか、疑いの声がありました。けれども、彼は非常に準備ができていました。あらゆる面で素晴らしかったのです。あなたはもしかしたら彼のことを不安視していたかもしれませんが」

 大谷はオープン戦では苦戦し、開幕をマイナーで迎えるべきという辛辣な声も少なくなかった。ただ、司会者のケニー氏も当初から大谷の活躍を信じていたという。「彼には落ち着きも気品もありました」と答えた上で、打撃については「確かに疑問はあった」と認めたものの、「バランスと目の良さ」が素晴らしかったと言及している。

 パリス氏も「(体の動きの)柔らかさですね。ボディーコントロールと言いますか。スイングに乱暴さが見えません。投球のリリースの時も、滑らかさがあるのです」「彼が(開幕をマイナーではなく)メジャーでプレーできて嬉しかったです。“素晴らしいスーパースターの3A選手”では、聞こえは良くありませんからね」と笑顔で振り返る。そして、大谷は実際に周囲の予想を大きく上回るパフォーマンス、結果を見せることになった。

大谷の人間性を表す「ヒマワリの種」「肘当ての手渡し」「負傷発覚直後の2本塁打」

 さらに、大谷の“魅力”には「人間性」もあるとパリス氏は番組内で語っている。今季途中、ヒマワリの種を食べた大谷が、他の選手のように殻を地面に捨てることなくコップに入れている姿が話題となったが、こういった所作の1つ1つをパリス氏は絶賛する。

「この国(アメリカ)の娯楽は、日本では一番人気のスポーツです。みんな野球に熱い思いを持っています。彼らはプレーできることを栄誉に感じているのです。ヒマワリの種を食べるにしても(大谷は)コップに種を捨てています。(打席で)四球を選んだ時も、肘当てを折りたたんで、バットボーイが来るのを待ち、手渡すのです。最後の登板となったときのヒューストン戦では、ブルペンから紙が飛んでいくのが目に入り、彼は拾いに行きました。そういったことを、彼は気にするのです。

 それが顕著に表れているのが、(右肘の新たな損傷が判明した)9月5日のことです。クラブハウスの誰もが狼狽えていました。みんなショウヘイを応援していました。なぜなら彼はハードワーカーだからです。雰囲気の悪さに、そしてみんなが悲しみを覚えていることに、彼は気づいていたのです。みんなの表情を変えるのは自分の役目だと、彼は言ったのです。新たな損傷が発覚した日、彼は4打数4安打、2本塁打を放ちました」

 米メディアの絶賛を呼んだ、2度目の靭帯損傷発覚直後の4安打2本塁打。この敵地レンジャーズ戦での大暴れこそ、大谷の「人間性」を象徴する出来事だというのだ。そんな大谷はチームメートにも愛され、エンゼルスというチーム内での立場を築いていった。

「そしてまた言わせてもらいますが、みんな彼が大好きなのです。彼はリトル・ブラザー(弟)なのです。彼は周りの雰囲気を良くしようと労を惜しまなかった」

 米国のTV番組で大谷の“魅力”を語り尽くしたパリス氏。「ショウヘイ・オオタニ」という選手、人間は異国の地でも周囲の人間の心を鷲掴みにしているようだ。(Full-Count編集部)