村上虹郎「役柄的に解放感があった」、『ハナレイ・ベイ』『銃』コラボイベント
映画『ハナレイ・ベイ』『銃』のコラボレーショントークイベントが22日、都内・新宿ピカデリーにて行われ、村上虹郎、松永大司監督、武正晴監督が出席した。
映画『ハナレイ・ベイ』では劇中で日本人サーファー役を演じ、映画『銃』では主演を務めた“今最も注目される俳優”の1人である村上虹郎と、『ハナレイ・ベイ』のメガホンを取った松永監督、『銃』の監督を務めた武正晴監督の3名が登壇。松永監督からは「なかなかない顔ぶれ。皆さん楽しんでいただければと思います。」と語り、聴きごたえ十分のトークイベントが展開された。
武監督は先日『ハナレイ・ベイ』を鑑賞し、冒頭から「松永監督、よくやったな!という感じでしたよ。」と感想を述べた。さらに「『ハナレイ・ベイ』は『銃』と似ている。あえてすべてを開示することをせず、場所と演出を使って表現するという挑戦的な映画。でも人間の内面にカメラを向けていると感じました。それは僕も『銃』で挑戦していることです。」とコメント。
「吉田羊さん演じるサチが10年後に虹郎演じる青年と出会い、その青年が物語の途中から作品世界をかき回していく。主人公に寄り添っていく役だと思いますが、その役割を『銃』ではリリー・フランキーさんが担っているんです」と2作品の共通点を語った。
さらには「音楽、特にイギー・ポップの「The Passenger」がずるいですよね。すごくいい。実は私はずっと『銃』の撮影中にこの「The Passenger」を聞いていたんです!あまりの共通点の多さにびっくりしました」というエピソードに観客からは驚きの声が上がる。
『ハナレイ・ベイ』主演の吉田羊について、松永監督は「『銃』では監督と虹郎が心中する覚悟だったんだなと感じますが、(僕も)吉田さんと心中する覚悟でした。」と撮影時を振り返った。武監督も吉田の演技に「(松永監督は)吉田さんの演技を絞り出しやがったなと。吉田さんを超えて主人公のサチだった。“松永さん、どんなことしたんだ”と思いました。」と大絶賛。
“高橋”役を村上が演じることになり、脚本を村上に寄せて変更を加えていったという松永監督は「虹郎が高橋を演じてくれて吉田さんのサチという役を引き出した」と村上の魅力について触れる。現場では高橋役の友人“三宅”役を演じた佐藤魁のコンビネーションが賭けだったと語り、ファーストテイクを何度か粘って撮り直したあとは村上と佐藤の関係性を信じたという監督。佐藤は実際にプロサーファーということもあり、村上からは「(佐藤は)サーフィンシーンの撮影中に「いい波に乗りたい」といって(予定外の)沖に向かっちゃう」という裏話も。
『銃』の撮影後に『ハナレイ・ベイ』の撮影現場に入ったという村上。「役柄的に解放感があった」と2作品の違いを改めて実感した様子で撮影当時を振り返った。武監督からは劇中で高橋がサチに告げる、サーフィン中の事故で亡くなった息子タカシと同じセリフ“さいなら”の演出に、武監督は「映画を一人で観ながら思わず「しゃれた映画だなー!」って言っちゃったよ」と笑いを誘った。
その後武監督から「せっかくだしお客様から質問をもらおうよ!」と提案があり、イベントは急遽、観客からの質問を受けることに。早速、手を挙げた方から、監督2人に「それぞれの作品の中で、この村上虹郎はすごい!というシーンはどこですか?」と2つの作品の中での村上の印象的なシーンを尋ねられ、武監督は「虹郎の鼻の穴が動き、鼻の穴まで芝居しているところ。」と回答。役者の本能がそうさせているんだ、と改めて村上の“体現する演技”を絶賛した。
それに対し松永監督は「とにかくこの人(村上)は面白い。監督のイメージを越えてきてくれる。もっともっと一緒にやりたいな、と思わせてくれる役者です。」と、松永監督らしい表現で、村上の魅力を語った。
村上に「それぞれの作品の中で、自分こんな顔するんだ、とか発見があれば教えてください。」という質問が飛ぶと、「『銃』の中では、なんで自分あんな行動したんだろう、と感じるほど、自分のその時の想いがきちんと反映されていると感じました。」と作品の中に入り込んでいる自分をしみじみと振り返り、一方「『ハナレイ・ベイ』では大人な虹郎が観れますよ!(本業が役者ではない)佐藤魁がいたから、このセリフは自分が発するべきなのか、魁が発するべきなのかと、自分がきちんと考えることができた。計算して演技することができた気がします」と役者として、『ハナレイ・ベイ』を通し成長できた一面も明かした。
最後は、観客からのリクエストに村上が応え、『ハナレイ・ベイ』の中に登場する印象的なフレーズ「さいなら〜」を披露。会場中から大きな拍手がわきおこり、イベントは大盛況のうちに幕を閉じた。
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