居酒屋の店先にあった張り紙。「離婚した嫁から謎のメッセージが送られて来た為、一時避難します」などと書かれている。(写真提供:ヘイ・ボンタンアメ()さん)

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「絶対ヤベェやつやん!!」。奇妙な張り紙にツイッターが騒然とした。

とある居酒屋が臨時休業を伝えるため店先に掲示したもので、こう書かれている。「離婚した嫁から謎のメッセージが送られて来た為、一時避難します」。一体何があったのか。J-CASTニュースが店主に事情を聞いたところ、意外すぎる真実が待っていた。

リツイート3万2000件、「いいね」5万7000件

ツイッターで注目されたのは、「ヘイ・ボンタンアメ」さんが2018年5月8日に投稿した手書きの張り紙の写真。居酒屋の臨時休業を伝えるもので、出入り口ドアに張られていた。こんな内容だ。

「本日5月8日(火)は離婚した嫁から謎のメッセージが送られて来た為、一時避難します。みなさんも早く逃げて下さい。 店主」

詳細は一切書かれていない。そのミステリアスな文面はたちまち話題を集め、

「狂気を感じた」
「絶対ヤベェやつやん!!」
「何か、怖いですね・・・」
「逃げたいほど謎のメッセージの中身が知りたい」
「店主言葉選びのセンスが良いwww」

などとリプライが殺到。リツイートは3万2000件、「いいね」は5万7000件を超えた。

このユーザーは追って9日、「今日再び見に行ったら通常通り営業してました」と報告。「なんだったんだ...」と動揺を隠さなかった。

本当に一体何があったのか――。J-CASTニュースの調べで、この店は茨城県ひたちなか市にある個人営業の居酒屋「月のあかり」だと分かった。11日に電話取材を試みると、渦中の店主・永井康雄(ながい・やすお)さん(42)が応じてくれた。

「1年前くらいに...」

「関西ジョークですわ」

記者は永井店長の第一声で、腰が砕けそうになった。

出身は大阪府という。流暢な関西弁で、比較的淡々とした口調で続ける。

「今回たまたまツイッターで盛り上がってもらってますけど、面白いことを書いて休みましょうというのは前々からやってたんですよ。大したことやってないですよ」

「謎のメッセージ」も「一時避難」も「みなさんも逃げて」も「冗談」だったのだ。

以前の事例としては「たとえば11月末くらいに休んだ時は、『初詣に行くのを忘れていたから行ってきます』とか書いてました」。やはり突飛な「ネタ」だった。

かねてから続けていたと言うように、「月のあかり」の「休業ネタ張り紙」は、近隣では知られた話だったようだ。「地元の方々の中には、『あの店、なんか休みの日はおもろい張り紙してあるぞ』って楽しみにしてくれているので、やらせてもらっています」。ある種の娯楽とも言える。ただ当初は「茨城の方は真面目なのか分からないですが、みなさん心配してくださった」という。

聞けば、離婚したこと自体は事実。永井店長はそれもネタにした格好だ。しかも今回が初めてではない。

「1年前くらいに、離婚した嫁ネタで書いてたんですよ。そうしたら最近になって、近所のおっちゃんらに『嫁ネタのやつ、おもろかったからまたあれで張り紙してくれ』って言われたんで、久々に投下したらこういう話になってしまいました」

以前の元嫁ネタとはどんなものだったのか。

「『今日は離婚した嫁と初めての裁判の日なので休みます』と書いたのがスタート。2回目は『先日の裁判、元嫁の今の彼氏が乱入して中止になり、改めて今日やるので休みます』とか、そういうシリーズがあったんですよ」

「まだ『オチ』てないでしょ」

今回の新たな張り紙は、「こっからスタートしたら話が広がるやろうと思って作った」という。

「今うちは定休日がないので次いつ休むか分からないですが、第2弾はすでにありますよ。あれ、まだ『オチ』てないでしょ。何弾まであるか? どうですかね、分かりません。反響が大きいほどこっちも気合い入りますし」

35歳まで大阪府で過ごし、当時仕事の関係で茨城へ。そこで付き合いのあった社長から声がかかり、飲食店を始めた。

「大阪の人やからなんか盛り上げてくれるんちゃうか、ということで誘われたんです。まあ日本一の居酒屋を目指してやってるんで、休む時もこういうので日本一を目指してるんやぞと。僕は申し訳ないですけど、吉本(興業)の芸人よりおもろいって自負してるんで」

もうすぐ開店2周年を迎えるといい、「記念イベントで、ハイボール22円で出します」と楽しそうだ。

張り紙については取材中、「恐縮ですよ、こんなしょうもない話で...」と何度か苦笑いした永井店長。ただ、

「僕は近所の人が笑ってくれればそれでいいです」

と話していた。