東京都内を歩いていると、繁華街から外れた場所や高架下などで路上生活者を一度は見かけたことがある読者も少なくないだろう。

記者も以前、80代の路上生活者に出会ったことがあった。所持品は紙袋とトートバッグの2つだけ。都内の公園や高架下を転々としながら、日々を暮らしていると話してくれた。

東京都福祉保健局の資料によると、23区内の2017年8月時点の路上生活者数は前年同月比54人減少の695人。ピークだった1999年度の5798人と比べると激減し、右肩下がりで減り続けているが、依然として一定数いることは確かだ。

2020年には東京オリンピックが開催される。路上生活者自体は悪影響を及ぼす存在ではないが、訪日外国人からすれば治安や景気の悪さを印象付ける可能性もある。

そこで東京23区内の路上生活者対策はどうなっているのか、Jタウンネット編集部は18年5月7日、東京都福祉保健局に聞いてみた。

自立した生活を送れるまで面倒を見る


(筆者撮影)

東京都などが支援策として行っているのが、2000年に開設された自立支援センターだ。

労働意欲のある路上生活者が自立した生活を送れるようになるまで、最大6か月間入居できる施設。入居している間、食事や日用品が無料で提供してもらえ、仕事を探したり生活の相談にも乗ってもらえる。働きながらお金を貯め、再び社会で自立して暮らしていけるようにすることを目標としている。

「○○に路上生活者がいた」という連絡を受け、施設職員が現地に行く。路上生活者に自立支援センターのことを教えるなどするという。

自立支援での苦労する点について聞くと、「規則違反や施設退去後の行動が最近見受けられます」と職員は話した。

入居期間中は、アルコールを摂取してはいけないなどの規則が設けられているが、それを破って飲んでしまい、自ら退去を懇願する人がいる。

また、施設退去後、就労した職場で初任給をもらい、そのまま会社には来なくなる人もいるのだという。

入居者は男性が圧倒的に多く、年齢層は若い人から70代までと幅広い。

施設はプレハブ建て、軽量鉄骨で出来ている。各施設は定員361人で、毎月8、9割程度は埋まっている状態だという。カーテンで仕切られたベッドが置かれた部屋で最低限のプライベートを確保した集団生活を送る。

台東区と新宿区から始まり、現在は23区内に5か所ある。都と23区が出資し共同運営を行い、現場で路上生活者の支援にあたるのは社会福祉法人が担っている。