一般車に紛れるためか地味な色がほとんど

 ドライバーにとって、できることならあまり関わりたいとは思わない覆面パトカー。ひと口に覆面パトカーといっても、大きく分けて三種類存在する。刑事が犯罪捜査に使う機動捜査車両と、交通違反の取り締まりを目的とする交通取締用四輪車(反転警光灯)、さらには要人警護のための警護車がある。

 いずれもボディカラーは、ホワイト・シルバー・グレー・ブラック・ダークブルーなどの単色が多く、オーソドックスなカラーというのが定番。ではなぜ覆面パトカーはこうした地味な色が多いのか? 正面切って警察関係に問い合わせても、すんなり答えが返ってくるとは思えないので推測するしかないが、覆面パトカーは“覆面”であるところにレゾンデートル(存在理由)があるわけで、目立ってしまっては元も子もない。

 忍者が、忍装束を着て闇夜に紛れるように、覆面パトカーも高速道路あるいは一般道を走るほかの一般車両に紛れ込むことに意義がある。それが映画007シリーズのジェームズ・ボンドのように、アストンマーティン、トヨタ2000GT、ロータス・エスプリ、BMW、ジャガーなどを乗り回したら、どこに行っても注目の的になるだけで隠密行動は不可能に……。

 というわけで覆面パトカーは必然的に売れ線のカラーで、しかも地味目の色だけが選ばれるのではなかろうか。いわば、カメレオンやタコなどの保護色・擬態のようなもの。

 とはいえ、パトカーは朝夕の勤務交代の時間に装備を点検し、洗車をしたうえで次の当番の警官に引き継ぎをするので、1日2回の洗車でいつもピカピカという特徴が!

 クラウンやマークX、スカイラインなどの4ドアセダンで地味なカラーにも関わらず、妙に洗車が行き届いていて、ピカピカのクルマを見かけたら(+おじさんの2人乗り)、覆面パトカーである可能性が大。より一層の安全運転を心がけ、注意深くそのクルマを観察してみよう。