21日、5大会10年ぶりの出場となるU-20ワールドカップで、U-20日本代表は初戦のU-20南アフリカ戦に逆転で勝利を収めました。

前半は相手のスピードに戸惑う場面が何度も見られました。初戦ということで固さもあったと思います。日本は怖い仕掛けなどはなかなかできず、後半になってやっとサイドが上手く使えるようになり、同点に追いついた後に落ち着くことができたのではないでしょうか。

僕は前半の三好康児はとてもよかったと思います。ですが前線を入れ替える中で、堂安律とどちらを残すかということで、三好が交代となったのかもしれません。あくまで戦術的な交代だと思いますし、三好は今後とも活躍してくれるでしょう。

59分、その三好と交代して出場した久保建英は、ファーストプレーで見事なパスを小川航基に通しました。そのボールタッチから、落ち着いてプレーしていることがはっきりしましたし、問題なく試合には入れたのがよくわかりました。もともと技術面では何の問題もなく、逆転ゴールへのアシストも、中央の小川を見ながら堂安に出すという、高いレベルのプレーを決めたと思います。

ただし、これまで何度も指摘してきましたが、久保にはまだ足りない部分もあるのです。特にフィジカルに関しては、南アフリカの選手に体を寄せられボールを奪われるシーンがありました。球際の競り合いにしても苦しかったと思います。久保はさらに早い判断をして、プレーの主導権を握らないといけないでしょう。そして久保のそういう部分に目を向けず、持ち上げすぎるのは、久保にとって本当によくないと思います。

同じように、2020年東京五輪の主力になると思われるこのU-20代表チームが、初戦のアフリカ勢に勝ったことで、「日本は強くなってきた」という声が上がるかもしれません。実はそう思ってしまうところが、10年間この大会に出ていなかった一番の問題点です。日本と世界との距離感がつかめていないから、日本の立ち位置を見誤ってしまうのだと思います。

24日のU-20ウルグアイ戦、27日のU-20イタリア戦を終えて、初めて日本と世界との距離感が見えてきます。そしてこれまで10年間、知ることができなかった事実――世界の中で日本はどの位置にいるのかを少しでもハッキリさせるために、この大会で1試合でも多くプレーし続けてほしいと思います。