『劇場版 ウルトラマンオーブ 絆の力、おかりします!』石黒英雄に聞く「ウルトラマンは50年目から」
ウルトラマンオーブが帰ってきた! 3月11日、『劇場版 ウルトラマンオーブ 絆の力、おかりします!』が公開された。地球を狙う宇宙魔女賊 ムルナウ(椿鬼奴)率いる極悪宇宙人軍団と、ウルトラマンオーブをはじめとする新世代(ニュージェネレーション)ヒーローズが激突! ウルトラマンオーブ=クレナイ ガイを演じた石黒英雄さんに、映画の見どころを語ってもらった。
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──『劇場版 ウルトラマンオーブ 絆の力、おかりします!』ですが、まずクレナイ ガイがアロハ姿で登場するシーンで爆笑してしまいました。
石黒 いや、あの格好は本っ当に動きやすかったですね(笑)。(TVシリーズで身につけていた)ブーツって本当に滑るんですよ。ジーンズ姿は動きも遅くなるんですが、スピードを上げるように頑張っていたんです。でも、アロハとサンダル姿は本当に動きが速くなって。鎧を脱いだみたいでした(笑)。「速い、速い、速い」って、もう楽しくなっちゃって。
──脚本の中野貴雄さんの発想がいちいちユニークですよね。
石黒 中野さんは“遊ぶ人”ですが、もともとちゃんとした道筋を立てられる人だから“遊ぶ”ことができるんですよね。でも、これ以上は真面目になりたくないんでしょう(笑)。本読みのときにお会いしましたが、「中野さんの世界観は変えずに、気にせず書いてください。僕や監督たちはそれに対して足していきます」とお伝えしました。
──中野さんの脚本をもとに、石黒さんたち演者と監督が表現で攻めていくと。
石黒 そうじゃないと、振り幅が出ないんですよね。風来坊というキャラクターを出しつつ、「こういうところもあるよ」と付け足していくと振り幅が出るんです。
──劇場版の見どころとして、オーブにとっては初めてになる他のウルトラマンとの共演がありました。『ウルトラマンエックス』の高橋健介さん、『ウルトラセブン』の森次晃嗣さんとの共演もありましたが、石黒さんはどのように捉えられていたでしょう?
石黒 (オーブとクレナイ ガイは)TVシリーズで完成されているキャラクターなので、いかようにも広げられたと思います。ほかのキャラクターは大勢のみなさんに愛されているので、(共演は)すっきりと見られると思いますよ。
──軸が出来上がっているからこそ、どんな要素も受け入れられるんですね。
石黒 そうですね。これが未完成のキャラクターだったら複雑になってしまうと思います。変身するときでさえ力をおかりしているのに、さらに共演でおかりしまくっていたらレンタルウルトラマンになっちゃう(笑)。キャラクターを一本化できたのは、プロデューサーの鶴田(幸伸)さんのおかげです。今回は芝居の上手いメンバーが揃っていたので、そこを素直に見せて人気を取りたいという方針を打ち出してくれました。僕も同じ意見でしたので、それを見せられたのが良かったです。
──『ウルトラマンオーブ』は特撮、アクションのすごさと同じぐらいの比重で登場人物の芝居のやりとりの面白さがあったと思います。だから子どもから大人まで楽しめる作品になったんじゃないかと。
石黒 大人の方に楽しんでもらえるのはすごく嬉しいのですが、やっぱりウルトラマンシリーズ放送開始50年ということもあって、子どもが憧れるヒーローになりたかったですね。どれだけ子ども(の人気)を持ってこられるかを感じながら、最初から最後まで演じていました。
──手応えはいかがでしたか?
石黒 「ウルトラヒーローズEXPO 2017」でも、たくさんの子どもたちがガイの格好をしてくれたり、ガイが負けそうになると泣きながら応援してくれたりするんですよ。ガイが負けると、子どもが泣き叫んじゃって退場してしまう家族もいるんです。本当はそこから復活劇があるのに(笑)。オーブもそうですが、そこまでガイを愛してもらえたのは大きいと思います。テンガロンハットを被って「ガイになりたい!」と言ってくれる子どもが多いんですよ。「やってよかったな」と思いますし、自分が追い求めたものの結果が出たという感じがしますね。
──そして、これまでの積み重ねが今度はスクリーンで表現されます。
石黒 そうですね。ムルナウ(椿鬼奴)とどういう風に対決するのか、最終的に僕とムルナウがどう向き合うのかが見どころですね。そのあたりは美しく描かれていて。ムルナウが鬼奴さんで良かったな、と思いました。
──ムルナウは地球を狙う敵ですが、ガイと「美しさ」をめぐるやりとりがありますね。
石黒 あのやりとりは僕も映画の見どころの一つだと思います。
──特撮、アクション面についてはいかがでしょう?
石黒 怪獣たちのアクションシーンはリアリティがありますし、何より田口監督は本当に怪獣が好きなんですよ。こだわりが詰まっていますし、見ていて迫力があります。あれは劇場で見たらすごいと思いますよ。あと、子どもたちに一番見てほしいのは、一度やられたウルトラマンが復活していく様です。最後に登場する“トリニティフュージョン”にも注目してほしい。最後まで熱い気持ちで見られると思います。
──善悪を超えたやりとりでしたね。『ウルトラマン』シリーズには、もともとそういう部分がありました。
石黒 『ウルトラマンオーブ』に人気が出て、本当に良かったです。昔は30%、40%と視聴率がすごかったじゃないですか。『ウルトラマン』のポテンシャルはもっとあるはずですし、夜9時に放送できるようになれば、もっとディープなストーリーだって作れるはず。僕はそこまで行きたい。
──『ウルトラマン』シリーズは放送開始50年ですが、まだまだこれからだということですね。
石黒 『ウルトラマン』は50年目から始まるんですよ。後から「『オーブ』って人気なかったよね」って言われるぐらいになったら、僕は嬉しいですね。
(大山くまお)
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子どもたちにガイを愛してもらえたのが大きい
──『劇場版 ウルトラマンオーブ 絆の力、おかりします!』ですが、まずクレナイ ガイがアロハ姿で登場するシーンで爆笑してしまいました。
──脚本の中野貴雄さんの発想がいちいちユニークですよね。
石黒 中野さんは“遊ぶ人”ですが、もともとちゃんとした道筋を立てられる人だから“遊ぶ”ことができるんですよね。でも、これ以上は真面目になりたくないんでしょう(笑)。本読みのときにお会いしましたが、「中野さんの世界観は変えずに、気にせず書いてください。僕や監督たちはそれに対して足していきます」とお伝えしました。
──中野さんの脚本をもとに、石黒さんたち演者と監督が表現で攻めていくと。
石黒 そうじゃないと、振り幅が出ないんですよね。風来坊というキャラクターを出しつつ、「こういうところもあるよ」と付け足していくと振り幅が出るんです。
──劇場版の見どころとして、オーブにとっては初めてになる他のウルトラマンとの共演がありました。『ウルトラマンエックス』の高橋健介さん、『ウルトラセブン』の森次晃嗣さんとの共演もありましたが、石黒さんはどのように捉えられていたでしょう?
石黒 (オーブとクレナイ ガイは)TVシリーズで完成されているキャラクターなので、いかようにも広げられたと思います。ほかのキャラクターは大勢のみなさんに愛されているので、(共演は)すっきりと見られると思いますよ。
──軸が出来上がっているからこそ、どんな要素も受け入れられるんですね。
石黒 そうですね。これが未完成のキャラクターだったら複雑になってしまうと思います。変身するときでさえ力をおかりしているのに、さらに共演でおかりしまくっていたらレンタルウルトラマンになっちゃう(笑)。キャラクターを一本化できたのは、プロデューサーの鶴田(幸伸)さんのおかげです。今回は芝居の上手いメンバーが揃っていたので、そこを素直に見せて人気を取りたいという方針を打ち出してくれました。僕も同じ意見でしたので、それを見せられたのが良かったです。
──『ウルトラマンオーブ』は特撮、アクションのすごさと同じぐらいの比重で登場人物の芝居のやりとりの面白さがあったと思います。だから子どもから大人まで楽しめる作品になったんじゃないかと。
石黒 大人の方に楽しんでもらえるのはすごく嬉しいのですが、やっぱりウルトラマンシリーズ放送開始50年ということもあって、子どもが憧れるヒーローになりたかったですね。どれだけ子ども(の人気)を持ってこられるかを感じながら、最初から最後まで演じていました。
──手応えはいかがでしたか?
石黒 「ウルトラヒーローズEXPO 2017」でも、たくさんの子どもたちがガイの格好をしてくれたり、ガイが負けそうになると泣きながら応援してくれたりするんですよ。ガイが負けると、子どもが泣き叫んじゃって退場してしまう家族もいるんです。本当はそこから復活劇があるのに(笑)。オーブもそうですが、そこまでガイを愛してもらえたのは大きいと思います。テンガロンハットを被って「ガイになりたい!」と言ってくれる子どもが多いんですよ。「やってよかったな」と思いますし、自分が追い求めたものの結果が出たという感じがしますね。
ムルナウが鬼奴さんで良かった!
──そして、これまでの積み重ねが今度はスクリーンで表現されます。
石黒 そうですね。ムルナウ(椿鬼奴)とどういう風に対決するのか、最終的に僕とムルナウがどう向き合うのかが見どころですね。そのあたりは美しく描かれていて。ムルナウが鬼奴さんで良かったな、と思いました。
──ムルナウは地球を狙う敵ですが、ガイと「美しさ」をめぐるやりとりがありますね。
石黒 あのやりとりは僕も映画の見どころの一つだと思います。
──特撮、アクション面についてはいかがでしょう?
石黒 怪獣たちのアクションシーンはリアリティがありますし、何より田口監督は本当に怪獣が好きなんですよ。こだわりが詰まっていますし、見ていて迫力があります。あれは劇場で見たらすごいと思いますよ。あと、子どもたちに一番見てほしいのは、一度やられたウルトラマンが復活していく様です。最後に登場する“トリニティフュージョン”にも注目してほしい。最後まで熱い気持ちで見られると思います。
──善悪を超えたやりとりでしたね。『ウルトラマン』シリーズには、もともとそういう部分がありました。
石黒 『ウルトラマンオーブ』に人気が出て、本当に良かったです。昔は30%、40%と視聴率がすごかったじゃないですか。『ウルトラマン』のポテンシャルはもっとあるはずですし、夜9時に放送できるようになれば、もっとディープなストーリーだって作れるはず。僕はそこまで行きたい。
──『ウルトラマン』シリーズは放送開始50年ですが、まだまだこれからだということですね。
石黒 『ウルトラマン』は50年目から始まるんですよ。後から「『オーブ』って人気なかったよね」って言われるぐらいになったら、僕は嬉しいですね。
(大山くまお)