「べっぴんさん」113話「すべて含めて、悦子ですから」(照)
連続テレビ小説「べっぴんさん」(NHK 総合 月〜土 朝8時〜、BSプレミアム 月〜土 あさ7時30分〜)第20週「旅立ちのとき」第113回 2月16日(木)放送より。
脚本:渡辺千穂 演出:梛川善郎
明美(谷村美月)にフラレてしまった武(タケ)ちゃん(中島広稀)はついにお見合いをする。
15歳から29歳まで、ひとりの女性(明美)を15年近くも思い続けてきたタケちゃん。なんて長くて純粋な恋なんだ。でも、明美にびしりと言われてしまい、諦めて、ほかの人との結婚を考え始める。こんなに長く思っていたのにちょっとあっさり過ぎないか。
同郷・大分から集団就職で出てきて(ちなみに次作「ひよっこ」のヒロインは集団就職する設定)大急で働いているたみ子(鎮西寿々歌、兵庫県出身)とヨーソローでのお見合い。
明美はそこについて来て、武ちゃんのいいところ「真面目である。誠実である。努力家である。思いやりがある。穏やかである。楽天家である。前向きである。みんなから好かれている。みんなから応援されている。きっといい父親になる。きっといい夫になる。幸せな人生を送るに違いない。以上、友人代表小野明美」
を発表し、スタスタと去っていく。
ヨーソローで武ちゃんをふったとき、栄輔が意味深に見ていて、なに? いや、みたいなやりとりがあったけれど、明美が意地張っていることを見抜いたのか。明美は武ちゃんが大事過ぎるからこそ、距離をとりたいのではないか。まさか年上の自分が先に死んで武ちゃんを悲しませたくないなんてとこまで考えていたら驚く。栄輔もおそらく潔やすみれやさくらが大事過ぎたから距離をとっているのではないか。
ペットの犬や猫の死を経験したひとが二度と飼わないってことはけっこうあって、その感覚に近いのだろうけれど、明美のそれは、いわゆる「呪い」というやつではないか。自分をある観点で縛ってしまい、そこから先に進めなくなっている。呪いを解いてもっと自由に幸せになってほしいと願いつつも、大事な人との別れがいやだからたったひとりで生きていくっていう考え方もあっていい。
野生の動物はひとりで死んでいく。
夜、「長い片想いの終止符にひとり祝杯をあげるタケちゃんなのでした」(はな/菅野美穂)で、月夜に112話にも出てきた猫がうろうろ(いやに重心を低くし歩伏前進してるみたいでおかしい)。
「どこいったんじゃ もったいねえ」って猫に与えた食べ物まで口に入れてしまう武ちゃん。
そう、この猫だってひとりだ。飼い猫だろうと野良猫だろうと、たとえ子を産み育ててもきっと一匹で死んでいく。人間もそうだっていいのではないか。
武ちゃんにお見合いをすすめるとき、すみれ(芳根京子)が自分や良子(百田夏菜子)はお見合いだったと言う。
「悦子さんと小山さんは?」と聞くけど見合いのわけない。それはともかく、悦子(滝裕可里)は言葉を濁す。「戦死した前の主人の思いもなくなったわけやないし」とあと、娘の弥生とも「10年、少しずつ」と。
この再婚は単純にラブラブハッピーなわけではないことを匂わせる。
小山(夙川アトム)「以前の旦那さんへの思いも、弥生の母であることも、すべて含めて、悦子ですから」
良子「かっこいい」
小山(照れる)
こんなやりとりを見ながらすみれは思う。
「幸せいうのはつくっていくもん・・・積み上げていくものなのね、きっと」
いろいろあったが113話はまとめ回という感じ。
「最近輪をかけて暗い」とさくら(井頭愛海)言われてしまう健太郎(古川雄輝)。京大より東大を目指す。
大手KADOSHOの資本を受けて、東京進出するという栄輔に「うちはぼちぼちやりますわ ゴーイングマイウェイや」と余裕の潔(高良健吾)。
皆、それぞれの道を進んでいく昭和37年。
明美が武ちゃんのいいところを述べて帰り見合いがまとまりかけたとき、「あと武ちゃん、歌もうまいんだ。歌って差し上げろ」と言いだす紀夫くん。それも控えめに。ああ今日もほっこりした。
(木俣冬)
脚本:渡辺千穂 演出:梛川善郎
113話はこんな話
明美(谷村美月)にフラレてしまった武(タケ)ちゃん(中島広稀)はついにお見合いをする。
それぞれの未来に乾杯 (二郎/林遣都)
15歳から29歳まで、ひとりの女性(明美)を15年近くも思い続けてきたタケちゃん。なんて長くて純粋な恋なんだ。でも、明美にびしりと言われてしまい、諦めて、ほかの人との結婚を考え始める。こんなに長く思っていたのにちょっとあっさり過ぎないか。
明美はそこについて来て、武ちゃんのいいところ「真面目である。誠実である。努力家である。思いやりがある。穏やかである。楽天家である。前向きである。みんなから好かれている。みんなから応援されている。きっといい父親になる。きっといい夫になる。幸せな人生を送るに違いない。以上、友人代表小野明美」
を発表し、スタスタと去っていく。
ヨーソローで武ちゃんをふったとき、栄輔が意味深に見ていて、なに? いや、みたいなやりとりがあったけれど、明美が意地張っていることを見抜いたのか。明美は武ちゃんが大事過ぎるからこそ、距離をとりたいのではないか。まさか年上の自分が先に死んで武ちゃんを悲しませたくないなんてとこまで考えていたら驚く。栄輔もおそらく潔やすみれやさくらが大事過ぎたから距離をとっているのではないか。
ペットの犬や猫の死を経験したひとが二度と飼わないってことはけっこうあって、その感覚に近いのだろうけれど、明美のそれは、いわゆる「呪い」というやつではないか。自分をある観点で縛ってしまい、そこから先に進めなくなっている。呪いを解いてもっと自由に幸せになってほしいと願いつつも、大事な人との別れがいやだからたったひとりで生きていくっていう考え方もあっていい。
野生の動物はひとりで死んでいく。
夜、「長い片想いの終止符にひとり祝杯をあげるタケちゃんなのでした」(はな/菅野美穂)で、月夜に112話にも出てきた猫がうろうろ(いやに重心を低くし歩伏前進してるみたいでおかしい)。
「どこいったんじゃ もったいねえ」って猫に与えた食べ物まで口に入れてしまう武ちゃん。
そう、この猫だってひとりだ。飼い猫だろうと野良猫だろうと、たとえ子を産み育ててもきっと一匹で死んでいく。人間もそうだっていいのではないか。
すべて含めて、悦子ですから
武ちゃんにお見合いをすすめるとき、すみれ(芳根京子)が自分や良子(百田夏菜子)はお見合いだったと言う。
「悦子さんと小山さんは?」と聞くけど見合いのわけない。それはともかく、悦子(滝裕可里)は言葉を濁す。「戦死した前の主人の思いもなくなったわけやないし」とあと、娘の弥生とも「10年、少しずつ」と。
この再婚は単純にラブラブハッピーなわけではないことを匂わせる。
小山(夙川アトム)「以前の旦那さんへの思いも、弥生の母であることも、すべて含めて、悦子ですから」
良子「かっこいい」
小山(照れる)
こんなやりとりを見ながらすみれは思う。
「幸せいうのはつくっていくもん・・・積み上げていくものなのね、きっと」
いろいろあったが113話はまとめ回という感じ。
「最近輪をかけて暗い」とさくら(井頭愛海)言われてしまう健太郎(古川雄輝)。京大より東大を目指す。
大手KADOSHOの資本を受けて、東京進出するという栄輔に「うちはぼちぼちやりますわ ゴーイングマイウェイや」と余裕の潔(高良健吾)。
皆、それぞれの道を進んでいく昭和37年。
今日の、紀夫くん
明美が武ちゃんのいいところを述べて帰り見合いがまとまりかけたとき、「あと武ちゃん、歌もうまいんだ。歌って差し上げろ」と言いだす紀夫くん。それも控えめに。ああ今日もほっこりした。
(木俣冬)