織田裕二の謎演技よりトリックが問題だろ「IQ246〜華麗なる事件簿」今夜第2話
「織田裕二がぶっ壊れた!?」
いよいよスタートした、TBSテレビ系の新ドラマ『IQ246〜華麗なる事件簿』(日曜21:00〜)。
初回視聴率も13.1%と、最近のドラマとしてはまずまずの好スタートだったようだが、ネット上の感想を見てみると、織田裕二の過剰すぎるキャラクター作りへの否定的な意見が大半を占めているようだ。
IQ246という超絶頭脳を持っており、世の中のほとんどの謎が一瞬にして解けてしまうため、常にヒマを持て余している主人公・法門寺沙羅駆(ほうもんじしゃらく)。
古畑任三郎や『相棒』の杉下右京、『名探偵ポアロ』(日本語吹き替え版)といった天才的な推理力を持つ刑事・探偵からの影響を感じさせるキャラクターなのだが、そこに法門寺沙羅駆独自の「貴族の末裔だから一般常識にはとらわれない行動を取る」という要素をプラスした結果、天才だけど言動は子どもっぽく、口調は貴族という特異なキャラクターが生まれている。
設定としては面白いものの、それをいつも通りの野人面をした織田裕二が演じているもんで、どうしても違和感がぬぐえないのだ。
もっと、お坊ちゃまくん的な分かりやすく貴族感のある衣装を着用するとか、ほお紅を塗るとか、麻呂眉にするとか……ビジュアル的にも織田裕二+αしておいてくれれば、あの演技も受け入れやすかったんじゃないかと思うのだが。
いや、そんな格好していたら、もっと裕二に心を奪われちゃって、ストーリーが頭に入ってこなかったか。
裕二の演技はまあ、何回か観ているうちに慣れてしまうだろうからいいとして(古畑任三郎だって最初は相当変に見えたもん)、とりあえず第1話を観て感じた問題点は『IQ246』というタイトルのわりにトリックがショボイということだ。
法門寺沙羅駆が超絶頭脳を駆使し、常人ではとても解き明かせないような難事件をズバズバ解決していくというのがこのドラマの醍醐味であるハズなのに、その事件が「IQ246なくても、警察がちゃんと捜査してたら解決できたんじゃね?」というレベルなのだ。
第1話のメインとなったのは、売れっ子CMクリエイティブディレクターの早乙女伸(石黒賢)が、部下の女性を殺害したという事件。
早乙女はその部下と不倫をしていた上に、仕事に関しても部下が出したアイデアを拝借し、さも自分が考えたもののように発表していた。
で、その部下が色々とウザイことを言い出したため「殺してやろうかな〜」と考えていたところ、「13」なる人物から「完全犯罪の方法、教えます」というメールが届き、それに従って犯行することになる。
その犯行計画というのが、別の人間を殺したいと思っていた花屋と協力して、花屋が殺した被害者の死体は早乙女が処分し、早乙女が殺した部下は、強盗に扮した花屋が殺害したかのように見せかけるというもの。
一見、接点のなさそうな2人が協力してアリバイ工作していた……というのが主なトリックだが、それ以外の計画が「完全犯罪」というわりにガバガバなのだ。
特に殺害方法は、どちらも後ろから首を締めるだけという単純さ……。
昭和51年に起こっていまだに犯人が捕まっていないという完全犯罪「伊勢エビフライ殺人事件」(ドラマ中の架空の事件)で使用された、根に毒のある花・ミヤコクルクマを、花屋が商品として扱っているという伏線があったのに、なぜそれを使わない!?
結局、部下が殺されたという連絡が入る直前の早乙女の不自然な行動や、現場に残されていた花粉(ちょっとは気を遣えよ、花屋!)などから、犯人が早乙女であることは推測されたものの、イマイチ決定的な証拠がない。
そこで沙羅駆がしかけたトラップが、「『花屋が自首しちゃうかも!?』と焦った早乙女が、花屋を殺そうとするところを撮影する」という強引極まりないもの。そんなの早乙女の気持ち次第じゃん!(早乙女もまんまとそれに乗っちゃうんだけど)
『IQ246〜華麗なる事件簿』というだけあって、もっと知識や理論を駆使した安楽椅子探偵スタイルでズバッと事件を解決していくのかと思っていたら、沙羅駆はガンガン現場に出向いて捜査しまくるわ、最後の決め手が「隠し撮り」だわで、少々肩すかしを食らってしまった。
たまたま沙羅駆がその場にいたから手に入ったヒントなど偶然の要素も多く、もうちょっと超絶頭脳を持っている人らしい、理詰めの謎解きを見たかったところだ。
回によって脚本家や演出家も変わるということなので、そのあたりは今後に期待だろうか。
第1話の最後には、早乙女事件の黒幕は「13」と名乗る人物だと明かされる。沙羅駆によると「13」とはアルファベット13番目の文字「M」だということだが……。
今後はこの「M」との対決が全編通して描かれていくものと思われるが、法門寺沙羅駆(シャーロック・ホームズ)&土屋太鳳演じるお目付役刑事・和藤奏子(ワトソン)と対立する「M」といえば、どうしても『シャーロック・ホームズシリーズ』に登場するモリアーティ教授が思い浮かんでしまう。
今回のドラマで、モリアーティっぽい名前の登場人物といえば……中谷美紀演じる死体大好きな監察医・森本朋美!? イニシャルも「M」だし。
今のところ森本は、沙羅駆の推理力に魅了され「アナタの脳細胞のファンになりました!」ということで、キャピキャピしながら、警察にしか入手できない情報を沙羅駆に教えてしまうという、味方キャラとして描かれている。
しかし、ダブルピースで死体と記念写真を撮ったり、検死用のビーカーでコーヒーを煎れたり、嬉々として死体について語ったりする姿は、見ようによっては完全なるサイコパス!
第1話の最後にチラッと映った「M」と思しき人物の指先にはマニキュアが塗られており、「M」が女性である可能性も提示されている。……これは十分あり得るかも!? 結果的にネタバレになってたらゴメン!(ただし、森本はマニキュアをしていなかったが)
第2話のゲスト犯人は佐藤隆太であることが既に発表されているが、あのサワヤカの塊のような人がどんな犯罪者を演じるのか? 「M」の正体は誰なのか? そして第2話ではもうちょっとマシなトリックが登場するのか!?
この辺に注目しながら第2話を観よう!
(イラストと文/北村ヂン)
いよいよスタートした、TBSテレビ系の新ドラマ『IQ246〜華麗なる事件簿』(日曜21:00〜)。
初回視聴率も13.1%と、最近のドラマとしてはまずまずの好スタートだったようだが、ネット上の感想を見てみると、織田裕二の過剰すぎるキャラクター作りへの否定的な意見が大半を占めているようだ。
IQ246という超絶頭脳を持っており、世の中のほとんどの謎が一瞬にして解けてしまうため、常にヒマを持て余している主人公・法門寺沙羅駆(ほうもんじしゃらく)。
設定としては面白いものの、それをいつも通りの野人面をした織田裕二が演じているもんで、どうしても違和感がぬぐえないのだ。
もっと、お坊ちゃまくん的な分かりやすく貴族感のある衣装を着用するとか、ほお紅を塗るとか、麻呂眉にするとか……ビジュアル的にも織田裕二+αしておいてくれれば、あの演技も受け入れやすかったんじゃないかと思うのだが。
いや、そんな格好していたら、もっと裕二に心を奪われちゃって、ストーリーが頭に入ってこなかったか。
『IQ246』のわりにパワープレイな推理
裕二の演技はまあ、何回か観ているうちに慣れてしまうだろうからいいとして(古畑任三郎だって最初は相当変に見えたもん)、とりあえず第1話を観て感じた問題点は『IQ246』というタイトルのわりにトリックがショボイということだ。
法門寺沙羅駆が超絶頭脳を駆使し、常人ではとても解き明かせないような難事件をズバズバ解決していくというのがこのドラマの醍醐味であるハズなのに、その事件が「IQ246なくても、警察がちゃんと捜査してたら解決できたんじゃね?」というレベルなのだ。
第1話のメインとなったのは、売れっ子CMクリエイティブディレクターの早乙女伸(石黒賢)が、部下の女性を殺害したという事件。
早乙女はその部下と不倫をしていた上に、仕事に関しても部下が出したアイデアを拝借し、さも自分が考えたもののように発表していた。
で、その部下が色々とウザイことを言い出したため「殺してやろうかな〜」と考えていたところ、「13」なる人物から「完全犯罪の方法、教えます」というメールが届き、それに従って犯行することになる。
その犯行計画というのが、別の人間を殺したいと思っていた花屋と協力して、花屋が殺した被害者の死体は早乙女が処分し、早乙女が殺した部下は、強盗に扮した花屋が殺害したかのように見せかけるというもの。
一見、接点のなさそうな2人が協力してアリバイ工作していた……というのが主なトリックだが、それ以外の計画が「完全犯罪」というわりにガバガバなのだ。
特に殺害方法は、どちらも後ろから首を締めるだけという単純さ……。
昭和51年に起こっていまだに犯人が捕まっていないという完全犯罪「伊勢エビフライ殺人事件」(ドラマ中の架空の事件)で使用された、根に毒のある花・ミヤコクルクマを、花屋が商品として扱っているという伏線があったのに、なぜそれを使わない!?
結局、部下が殺されたという連絡が入る直前の早乙女の不自然な行動や、現場に残されていた花粉(ちょっとは気を遣えよ、花屋!)などから、犯人が早乙女であることは推測されたものの、イマイチ決定的な証拠がない。
そこで沙羅駆がしかけたトラップが、「『花屋が自首しちゃうかも!?』と焦った早乙女が、花屋を殺そうとするところを撮影する」という強引極まりないもの。そんなの早乙女の気持ち次第じゃん!(早乙女もまんまとそれに乗っちゃうんだけど)
『IQ246〜華麗なる事件簿』というだけあって、もっと知識や理論を駆使した安楽椅子探偵スタイルでズバッと事件を解決していくのかと思っていたら、沙羅駆はガンガン現場に出向いて捜査しまくるわ、最後の決め手が「隠し撮り」だわで、少々肩すかしを食らってしまった。
たまたま沙羅駆がその場にいたから手に入ったヒントなど偶然の要素も多く、もうちょっと超絶頭脳を持っている人らしい、理詰めの謎解きを見たかったところだ。
回によって脚本家や演出家も変わるということなので、そのあたりは今後に期待だろうか。
M=モリアーティ教授なのか?
第1話の最後には、早乙女事件の黒幕は「13」と名乗る人物だと明かされる。沙羅駆によると「13」とはアルファベット13番目の文字「M」だということだが……。
今後はこの「M」との対決が全編通して描かれていくものと思われるが、法門寺沙羅駆(シャーロック・ホームズ)&土屋太鳳演じるお目付役刑事・和藤奏子(ワトソン)と対立する「M」といえば、どうしても『シャーロック・ホームズシリーズ』に登場するモリアーティ教授が思い浮かんでしまう。
今回のドラマで、モリアーティっぽい名前の登場人物といえば……中谷美紀演じる死体大好きな監察医・森本朋美!? イニシャルも「M」だし。
今のところ森本は、沙羅駆の推理力に魅了され「アナタの脳細胞のファンになりました!」ということで、キャピキャピしながら、警察にしか入手できない情報を沙羅駆に教えてしまうという、味方キャラとして描かれている。
しかし、ダブルピースで死体と記念写真を撮ったり、検死用のビーカーでコーヒーを煎れたり、嬉々として死体について語ったりする姿は、見ようによっては完全なるサイコパス!
第1話の最後にチラッと映った「M」と思しき人物の指先にはマニキュアが塗られており、「M」が女性である可能性も提示されている。……これは十分あり得るかも!? 結果的にネタバレになってたらゴメン!(ただし、森本はマニキュアをしていなかったが)
第2話のゲスト犯人は佐藤隆太であることが既に発表されているが、あのサワヤカの塊のような人がどんな犯罪者を演じるのか? 「M」の正体は誰なのか? そして第2話ではもうちょっとマシなトリックが登場するのか!?
この辺に注目しながら第2話を観よう!
(イラストと文/北村ヂン)