「べっぴんさん」17話。家族全員しょんぼりで視聴率が心配

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連続テレビ小説「べっぴんさん」(NHK 総合 月〜土 朝8時〜、BSプレミアム 月〜土 あさ7時30分〜)第3週「とにかく前に」第17回 10月21日(金)放送より。 
脚本:渡辺千穂 演出:梛川善郎


暗い


なんだか暗いぞ、「べっぴんさん」。
はじまって3週間、週末の金土と月曜日(初回のぞく)が視聴率20%を割ってしまっている。ちょっと不安定な状況で3週目の金曜日はどうだろう。
冒頭、エイミー(シャーロット・ケイト・フォックス)に拒否られたすれみ(芳根京子)はおしめを持ち帰る途中、生活が苦しそうな人々とすれ違い、さらに目の前で人が倒れるという衝撃体験もしてしまうという暗い場面からはじまって、心配。

蓮佛美沙子が体を張ってる】


お次は姉がひどい目に。
ゆり(蓮佛美沙子)と潔(高良健吾)が夫婦で闇市にものを売りに行くが、街は殺伐としていて、ゆりは水たまりにはめられて、泥だらけに。「日本はめちゃくちゃや・・・」と絶望する。
愛する夫・潔が、安く仕入れたものを高値で売ろうとするのも、お嬢様のゆりには賛成しかねる。
でも潔は「泥水すすってもがんばるんや」と言う。亡くなったお父さん・正蔵(名倉潤)にお父さんに「(坂東家を)何があっても守れ」と言われたから頑張るしかないのだ。
高良健吾、痩せていてギラギラしているから戦後の闇市を生き抜く人役にピッタリ。

潔の言う「泥水」とゆりがはまった水たまりがリンク。
いやあ、俳優が実際に水浸しになったりすると臨場感がある。
さらに蓮佛には、家でお風呂に入っていると覗かれるシーンまで用意されていた!

このハードさ、朝ドラっていうより夜のドラマみたいだ。前作の朝ドラ「とと姉ちゃん」では戦中戦後の描写があっさりしていた分、今回はやや濃い目を意識しているのだろうか。
高良健吾と蓮佛美沙子で、今村昌平監督の「豚と軍艦」みたいな映画をやってほしい。

やっぱりダメ父だった】


お姉ちゃんに汚れ役を任せるのは、「あさが来た」(15年)を思わせる。ヒロインすみれはおっとりと写真入れの作り方をご近所さんに伝授。でも報酬は物々交換で、コッペパン、砂時計、辞書、木彫りの熊・・・とコッペパンがわずかにマシな程度だった。よりにもよってこのラインナップ・・・、気まずい空気が流れるのも無理はない。

「やっぱり贅沢品やね わたしのつくるものは」「もう潮時やろか」と戦意喪失するすみれを、
「なんもせんかったらなんもみつからへん。そういうもんやと思いますで人生は」と麻田(市村正親)が励ます。

その頃、五十八(生瀬勝久)は近江でぼんやり。いくら会社も家もなくなって落ち込んでいるとはいえ、部下の息子に長女を、元出入り業者に次女の励ましを任せて、なんでひとり近江に引っ込んでいられるのか。最初は頼もしいお父さんと思ったが、やっぱり朝ドラ名物、ダメ父だったか。

坂東家、全員しょんぼりで、視聴率が心配です。
(木俣冬)