【ファンキー通信】本場なのに、韓国はキムチ輸入国

写真拡大

 一日三度の食卓に必ず並ぶほどキムチが生活の一部となっている国、韓国。そんなキムチ大国に、今大きな変化が起こっている。

 そのキムチ大国、韓国が大量のキムチを輸入しているというのだ。韓国税関当局の集計によると、昨年の韓国のキムチ輸入量は、安価な中国産の急増で前年比2.5倍以上の7万2605tに膨れ上がり、輸出量の倍以上。輸出量と輸入量が初めて逆転した。

 海外に輸出こそすれ、輸入など考えられなかった韓国がキムチの輸入国へと転換してきたのは、ここ10年ほどの話。96年に中国から初輸入して以来増え続け、ついには、輸入が輸出を上まわり「キムチ純輸入国」としての地位が定着した。

 このような状況について、韓国産キムチを専門で扱う韓国農協中央会日本事務所の担当者は「輸入増加の背景には、韓国の外食産業の成長が大きく関わっています。価格の安い中国産キムチは、ほとんどが業務用に使われるんですよ」と話す。

 韓国では近年、外食の割合が急増。おかげで外食産業は急成長したが、競争も激しくなった。韓国の食堂では普通、キムチは無料サービスとして出されているが、この費用もバカにならない。お店側としては、サービス経費を抑えて その分を料理の品質向上に回し、ライバルに差をつけたいところ。そこで安い中国産キムチが一役買っているというわけだ。

 では、韓国のキムチ輸入量はこれからも増え続けるのだろうか?

「これからも輸入、輸出の逆転状態は続くと思います」とその安さと必要性を認めながらも韓国産キムチを販売する側は、いまだ強気だ。「味については、絶対の自信があります。多くの家庭では、今でも生産国を確認し韓国産を選ぶ。それは香辛料、水の違いが味に大きく影響しているからです。衛生管理にも不安があり、信頼が薄いのが現状です」。

 確かに、韓国国民のキムチを選ぶ目はかなり厳しい。中国産キムチの一般家庭への普及には、まだまだ改善が必要なようだ。キムチ大国が築いてきた食文化には、さすがの中国もそう簡単には割り込めそうにない。(文/verb)