「国家公務員は給料もらいすぎ」は本当か?
私たちが仕事やプライベートでたびたび犯す間違いや勘違い、判断ミス。
もちろん、その時々で原因は様々だが、多くの場合、そこには「思い込み」や「偏見」が関わってくる。往々にして人は、まちがった思い込みをもとに行動をしてしまいがちだ。
これをなくすには、物事をすべて数字で考えるしかない。
『役員になれる人の「数字力」使い方の流儀』(田中慎一著、明日香出版社刊)は、この観点から、世の中の出来事やビジネス0をいかに「数字」で見るか、いかに「数字」を使って考えるかについて解説している。
■アベノミクスの政策目標は果たして実現可能か?
2015年末、安倍内閣は「アベノミクス第2ステージ」として、「2020年度頃にGDP(国内総生産)を600兆円にする」という政策目標を打ち出した。GDPとはいうまでもなく、日本国内にいる個人や会社が生み出した「付加価値の総額」である。
日本のGDPはここ20年ほどの間、約500兆円でほぼ横ばい。それを残り4年で100兆円上乗せしようというわけだが、何となく「実現は難しそう」と思っても、どれぐらい難しいかは想像しにくい。
では、これを身の丈に合うサイズに落とし込んでみるとどうなるか。
日本の人口は約1億2700万人。この人数でGDPを割ってみると、現在の日本人が一年で生み出す付加価値は、1人あたり393万円であることがわかる。GDPを600兆円にするのであれば、これを483万円にまで引き上げなければならない。
「長時間働くが、労働生産性は低い」というのが定説となっている日本人が、年間1人あたり483万円の付加価値を生み出すには。労働生産性を今よりも23%アップさせなければならない計算になる。
こうしてみると、安倍内閣が掲げる「2020年度頃にGDP600兆円」の難しさがよりリアルにわかるのではないか。
■「日本は公務員が多すぎる」は本当か
国会議員のスキャンダルや不祥事があると、必ずといっていいほど「日本の国会議員は多すぎる」という論調が盛り上がる。国会議員も含めて、「日本は公務員が多すぎるし、給料が高すぎる」と感じる人は、かねてから一定数いるのだ。
しかし、これも数字を見てみると、単なる思い込みであることがわかる。
財務省主計局の「平成28年度人件費」によると、国家公務員への給与総額は5.2兆円。前述の「GDP500兆円」のわずか1%であり、地方公務員を含めても6%である。この数字はOECD(経済協力開発機構)加盟国の中で最低だ。
そして、日本の労働人口6500万人のうち、公務員の割合は7.6%。これもOECD加盟国の中で、韓国の次に低い数字になっている。日本の公務員は、決して多すぎるわけでも、給料をもらいすぎているわけでもなく、むしろ「超少数精鋭」なのだ。
「GDP600兆円」にしろ「公務員の給料」にしろ、物事をきちんと数字で考えるクセがついていないと、マスコミなどが報じる内容が正しいのかどうか判断する術がない。結果、溢れかえる情報に右往左往してしまうことになる。
これでは、「正しい判断」など望むべくもない。ビジネスもまたしかり、正しい判断をするには、「数字で考える」ことが不可欠だ。
本書では、そのための、数字の見方や使い方を、財務戦略コンサルタントという「数字のプロ」である著者が解説。世の中を正確に捉え、正確に考える力を養うために、一役買ってくれるはずだ。
(新刊JP編集部)
【関連記事】
立場を利用して無理を通す「困った上司」への対処法
「がんばった分だけ成果が出る人」になるためにやるべきたった一つのこと
もちろん、その時々で原因は様々だが、多くの場合、そこには「思い込み」や「偏見」が関わってくる。往々にして人は、まちがった思い込みをもとに行動をしてしまいがちだ。
これをなくすには、物事をすべて数字で考えるしかない。
『役員になれる人の「数字力」使い方の流儀』(田中慎一著、明日香出版社刊)は、この観点から、世の中の出来事やビジネス0をいかに「数字」で見るか、いかに「数字」を使って考えるかについて解説している。
2015年末、安倍内閣は「アベノミクス第2ステージ」として、「2020年度頃にGDP(国内総生産)を600兆円にする」という政策目標を打ち出した。GDPとはいうまでもなく、日本国内にいる個人や会社が生み出した「付加価値の総額」である。
日本のGDPはここ20年ほどの間、約500兆円でほぼ横ばい。それを残り4年で100兆円上乗せしようというわけだが、何となく「実現は難しそう」と思っても、どれぐらい難しいかは想像しにくい。
では、これを身の丈に合うサイズに落とし込んでみるとどうなるか。
日本の人口は約1億2700万人。この人数でGDPを割ってみると、現在の日本人が一年で生み出す付加価値は、1人あたり393万円であることがわかる。GDPを600兆円にするのであれば、これを483万円にまで引き上げなければならない。
「長時間働くが、労働生産性は低い」というのが定説となっている日本人が、年間1人あたり483万円の付加価値を生み出すには。労働生産性を今よりも23%アップさせなければならない計算になる。
こうしてみると、安倍内閣が掲げる「2020年度頃にGDP600兆円」の難しさがよりリアルにわかるのではないか。
■「日本は公務員が多すぎる」は本当か
国会議員のスキャンダルや不祥事があると、必ずといっていいほど「日本の国会議員は多すぎる」という論調が盛り上がる。国会議員も含めて、「日本は公務員が多すぎるし、給料が高すぎる」と感じる人は、かねてから一定数いるのだ。
しかし、これも数字を見てみると、単なる思い込みであることがわかる。
財務省主計局の「平成28年度人件費」によると、国家公務員への給与総額は5.2兆円。前述の「GDP500兆円」のわずか1%であり、地方公務員を含めても6%である。この数字はOECD(経済協力開発機構)加盟国の中で最低だ。
そして、日本の労働人口6500万人のうち、公務員の割合は7.6%。これもOECD加盟国の中で、韓国の次に低い数字になっている。日本の公務員は、決して多すぎるわけでも、給料をもらいすぎているわけでもなく、むしろ「超少数精鋭」なのだ。
「GDP600兆円」にしろ「公務員の給料」にしろ、物事をきちんと数字で考えるクセがついていないと、マスコミなどが報じる内容が正しいのかどうか判断する術がない。結果、溢れかえる情報に右往左往してしまうことになる。
これでは、「正しい判断」など望むべくもない。ビジネスもまたしかり、正しい判断をするには、「数字で考える」ことが不可欠だ。
本書では、そのための、数字の見方や使い方を、財務戦略コンサルタントという「数字のプロ」である著者が解説。世の中を正確に捉え、正確に考える力を養うために、一役買ってくれるはずだ。
(新刊JP編集部)
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