聖望学園vs南稜
中川(聖望学園)
打線が好調な聖望学園と蕨を完封した宮村擁する南稜との一戦は、聖望学園が二回戦と同じような展開で終盤突き放しベスト8へ駒を進めた。
南稜はエース宮村、対する聖望学園は背番号20の右サイドスロー中川が先発し試合が始まる。
試合は序盤から一気に突き離したい聖望学園に対し、南稜が粘り強く執拗に喰らいついていくという構図で終盤まで試合が進む。
先制したのは聖望学園だった。初回宮村の立ち上がりを攻め先頭の津田がセンター前ヒットで出塁すると、続く松元がきっちりと送り一死二塁とする。二死後4番・大野がライト前タイムリーを放ち1点を先制するが、その裏南稜も中川の立ち上がりを攻め先頭の盛田がセカンドへの内野安打を放つと、続く星野が送り一死二塁とすると、3番・高橋がライト前タイムリーを放ち同点とするなど同じような展開で試合が進む。
南稜は2回裏も一死から7番・鳥越がライト前ヒットを放つと、続く小井土のバスターはピッチャーゴロとなるが、中川のフィルダースチョイスにより一死一、二塁とチャンスが広がる。さらに9番・須藤の所で二走鳥越が三盗を決め一死一、三塁すると、須藤のショートゴロで1点を勝ち越せば、聖望学園も3回表すぐに反撃を開始する。
先頭の中川が四球で出塁すると、続く津田の所でフルカウントからエンドランを仕掛けると、これがショートへの内野安打となり無死一、二塁とチャンスが広がる。さらに2番・松元が送り一死二、三塁とすると、続く平柳がレフト前タイムリーを放ちまず1点、さらに4番・大野が死球で歩き満塁とすると、続く森田の代打蛭田のセカンドゴロの間に聖望学園が3対2と逆転に成功する。
さらに聖望学園は4回表、この回先頭の渡部が三塁線を破る二塁打を放ち出塁すると、続く西川もライト前ヒットで続き無死一、三塁と大きなチャンスを掴む。南稜を一気に突き放したい所だったが、ここで大きなミスが出る。9番・中川のピッチャーゴロで併殺を阻止しようと三走・渡部が挟まれる。本来であればその間に一走・西川、打者走者が二、三塁に進み渡部も三塁へ戻る。三塁上に二人いる状態になるのが通常の形だが、何を思ったか渡部が三塁へ戻る前に西川が二塁へ戻る。南稜は渡部にタッチするとさらに西川も二、三塁間で挟殺し併殺となる。宮村は後続も抑え無失点で切り抜ける。
宮村(南稜)
何とか流れを変えたい聖望学園は、5回裏からエース加藤をマウンドへ送る。加藤は期待に応え5回を三人で切って取ると、再び聖望学園に流れが来る。6回表、一死から渡部がサード強襲ヒットで出塁すると、続く西川も一塁線を破る二塁打を放ち一死二、三塁とチャンスを迎える。9番・加藤の所で南稜サイドは前進守備を取るとさらに執拗にスクイズを警戒する。だが、2ボール1ストライクで聖望サイドは何とエンドランを仕掛ける(サイン違いだったようだが)。打球はショートゴロとなるが、興を突かれたショートがファンブルし聖望学園が1点を追加すると、続く津田もライト前タイムリーを放ち5対2とする。
粘る南稜も6回裏、一死から5番・堀が右中間への三塁打を放ち一死三塁とすると、今度は表攻めなのでできれば3点差で行きたかったという聖望学園サイドがここで前進守備を取る。結果は続く宮村がきっちりと犠飛を放ち5対3でゲームは終盤へ進む。
迎えた8回表、やや疲れの見える宮村に対し聖望学園が襲い掛かる。この回先頭の西川がショート後方へポトリと落ちるヒットで出塁すると、一死後、1番・津田の初球に二盗を決め一死二塁とする。ここで津田がレフト線へタイムリー二塁打でまず1点、さらに二死後セカンドゴロエラーで4点差となる。これで南稜はやや意気消沈したか川上、大地の長短打に四球を絡め結局この回5点を奪い試合を決めた。
南稜は、終盤力尽きたが宮村の聖望学園に対し、最後まで強気に内角を攻めるピッチングは印象に残った。また打線も聖望学園投手陣に対し振り負けることなく機動力も使える好チームだ。欲を言えば宮村以外の計算できる投手がもう一枚出てくれば夏の展望も明るいであろう。
一方の聖望学園だが、今年は旧チームに比べ打線は津田、大野、渡部を中心に満遍なく打てるが、投手陣はエース加藤、宮村に西澤、高橋と枚数こそいるが絶対的なエースが不在だ。
「前の試合もそうだが後半打てるようになってきたのは収穫。あとはピッチャーが…。中川辺りが伸びてきてくれると面白いんですが」と岡本監督も嘆くが、中川が夏までに更に成長することがあれば夏の上位進出は堅いであろう。
いよいよ次は花咲徳栄戦を迎える聖望学園。体調を崩した選手の多い花咲徳栄の現在のチーム状況と、聖望学園の現状を考えると花咲徳栄の苦戦は必至であろう。それくらい聖望学園の打線の状態は良い。昨年春ベスト8での対戦では、高橋が先発した花咲徳栄に対し、きっちりと勝利した聖望学園だが、今年はどうなるか?注目したい。
(文=南 英博)
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