早稲田実業vs聖光学院vs佐野日大
センターでスタメン出場した清宮幸太郎(早稲田実業)
3月25日、早稲田実業学校王貞治記念グラウンドに来たのは、聖光学院、佐野日大と全国クラスの強豪たち。この試合は報道各社の合同取材日ということで、多くのメディアが集まっていた。お目当てはもちろん現在の高校野球のスター選手・清宮 幸太郎。その清宮がどこで出場するか話題になったが、事前の報道通り4番センターで出場することになった。
試合は打ち合いとなった。 1回表、聖光学院は1番松本が本塁打。さらに6番鈴木の本塁打などで一気に4点を先制する。だが早稲田実業もすぐに反撃し1点を返す。その後も聖光学院は打線が小刻みに点を追加するが、5回裏に金子 銀佑の本塁打なおで逆転。そして6回裏には清宮がストレートをドンピシャのタイミングで捉え、打った瞬間、本塁打と分かり、外野手が一歩も動かなかった打球は防球ネットを超える大本塁打となった。清宮は「この打席まで振れていないと感じましたが、この打席ではしっかりとボールを捉えることができました」とコメント。またこの冬、筋力トレーニングをしっかりとやってきた影響からか、「捉えたと思った打球は去年よりも飛ばすことができているなと実感しています」と今までも打球を遠くへ飛ばしていたが、軽く捉えたように見えても、打球を遠くへ飛んでいるまさに恐ろしいパワーである。
この試合、打者の活躍が目立った試合となった。1番に入った金子は2本塁打。それも右方向へ本塁打。金子はもともと右中間へ強い打球を打てるというのが自分の強みのようだが、これが本塁打も打てるとなれば、かなり強いウリとなる。「冬場は走り込み、筋力トレーニング。そして1日500本のスイングでも集中してやってきました。その成果が出ているのかなと思います」 上背はそれほどある選手ではないが、昨年よりも鍛えられており、構えも癖が小さくなり、スムーズにインパクトまで振ることができている。金子といえば、守備職人の選手だが、右方向へ本塁打が打てる打者となれば、さらに脚光を浴びる可能性があるだろう。今年の早稲田実業の選手の中では高確率でボールを捉えることができている選手で、東京どころか、全国トップクラスのショートストップとして挙げていい選手だろう。
ショートでスタメン出場した五十幡(佐野日大)選手
9対14で敗れた聖光学院は打者のレベルが高かった。1番サード・松本は、球際の強さが光る選手で、先頭打者本塁打を放ったように小力がある。3番加納 皐は、広角にも鋭い打球を打てる左打者、4番を打つ西川 将也は、頑強な肉体をしたスラッガータイプで、この試合では一発はなかったものの、威圧感あるスイングを見ると、いつスタンドインしてもおかしくないパワーを持っている。
バックスクリーンへ大きな本塁打を打ち込んだ6番鈴木 駿輔はパワフルな打撃を見せるが、投手としても、130キロ前半の速球、カットボール、スライダーを駆使する投手であtった。そして常に芯で打球を捉え、とても7番打者とは思えないバットコントロールを披露する小泉 徹平、威圧感のあるスラッガー・8番鎌倉 誠と上位下位切れ目がない。聖光学院の斎藤監督も打線に手応えを感じており、「関東の強豪校と対戦して打ち込まれるとしぼんでしまうのが普通のチームですが、今年はしっかりと食らいついて7点を取るところはさすがだなと。あとは投手陣の底上げですね」夏の大会に合わせて投手陣を仕上げていく予定だ。 そして第2試合は佐野日大が登場。注目は俊足の巧打者・五十幡 亮汰が遊撃手に転向になったということ。 まだ遊撃手の守備を見ると、上体が高く、ボールに対して、腕だけでに取りにっている。上手い遊撃手は、目線も、腰の位置も、ボールに合わせて捕りにいっているが、まだそれができていないので、横側の速い打球についていくことができない。そのためその打球に対し、ファンブルしてしまうことがあった。遊撃手としてはかなり鍛える必要があるだろう。また五十幡が課題にしている打撃については、まだボールを強く叩くことができておらず、そこについてはまだ苦しでいる感があった。波を乗り越えることができるか。 第3試合では早稲田実業打線が爆発し19得点。また金子がこの2日、3本目となる先頭打者本塁打。そして清宮がライトの奥にある防球ネット上段に当たる高校通算28号本塁打を放った。現時点で28本塁打。毎日の試合で本塁打が出ているので、一般的な硬式野球部の年間対外試合は70試合ほどだが、このままいけば、2年生のうちに70本塁打は達してしてもおかしくない。そんな期待を抱かせるスラッガーである。
(取材・写真=河嶋 宗一)
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