中国が受注したインドネシア・ジャワ島の高速鉄道計画では、1月21日に起工式が行われたものの、中国側が提出した書類に多くの不備があり、手付かずの状態が続いているとの報道がある。(イメージ写真提供:(C)Ping Han/123RF.COM)

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 中国が受注したインドネシア・ジャワ島の高速鉄道計画では、1月21日に起工式が行われたものの、中国側が提出した書類に多くの不備があり、手付かずの状態が続いているとの報道がある。

 中国側は工事が手付かずの状態であるとの報道を否定しているものの、中国メディアのBWCHINESEはこのほど、起工式から1週間も経たないうちにインドネシアの高速鉄道プロジェクトはインドネシアの交通大臣の指示によって一時停止を余儀なくされたと伝え、「インドネシア・ジャワ島の高速鉄道計画はメキシコの二ノ舞になる可能性がある」と危機感を示した。

 メキシコ政府は2014年11月3日、メキシコ市とメキシコ中部ケレタロを結ぶ総距離210キロメートルの高速鉄道整備計画について、鉄道建設などを行う中国鉄建を中心とする企業連合(コンソーシアム)への発注を決めた。だが、贈賄疑惑などが浮上し、メキシコ政府は「落札までの過程における合法性や透明性に対する疑惑が生じることを避ける」として、発注を撤回したうえで高速鉄道の建設計画を「無期限に延期する」と発表した。

 記事は、中国がジャワ島の高速鉄道計画を受注したからといって、「計画に対して存在する雑音を無視することはできない」と主張し、メキシコで落札した高速鉄道計画が撤回となったうえで無期限延期となったことを挙げて「中国高速鉄道の輸出には常にリスクが伴うもの」と指摘。また、現地で大きな影響力を持つ日本に取って代わることができるものでもなく、日本の影響力を削ぐことに成功したわけでもないと論じた。

 さらに、ジャワ島の高速鉄道計画とメキシコの高速鉄道計画の類似点として、「中国側が競争に参入してから受注までの時間が極めて短かったこと」を挙げ、メキシコ政府は「社会および議会から疑問視されない入札過程を実現できなかった」ため、中国鉄建を中心とする企業連合への発注を取り消したのだと論じた。

 一方で記事は、中国が進める高速鉄道の輸出事業において、「日本と米国が中国の邪魔をし、事業を撹乱している」と主張し、中国が高速鉄道事業で協力を行おうとする相手側の国に対してさまざまな圧力をかけ、中国との協力を阻害していると主張。メキシコの高速鉄道計画においては、「米国が自国の影響力を駆使し、中国との協力を水の泡にした」と主張し、メキシコが高速鉄道計画で中国への発注を取り消した背景には米国の圧力があったと主張した。

 さらに、ジャワ島の高速鉄道計画においても、「インドネシアのジョコ・ウィドド大統領が支持しているとしても、インドネシア国内の反対勢力や日本の妨害によってメキシコの高速鉄道計画の二ノ舞になる可能性も否定できない」などと主張した。(編集担当:村山健二)(イメージ写真提供:(C)Ping Han/123RF.COM)