明徳義塾の「伊藤 光と北川 倫太郎」候補生

明徳義塾の1番中堅手・立花 虎太郎(2年)

 いよいよ10月22日(木)に迫った2015年の「プロ野球ドラフト会議」。その一方で2016年・ドラフトへの動きはもう始まっている。

 この日の春野総合運動公園野球場ネット裏には確認できただけでも5球団のNPBスカウトが顔をそろえることに。各球団の細部における狙いはもちろん様々。ただ、明徳義塾の2名が登場した際にはほぼ例外なく全員がストップウォッチを動かしていた。

 その1人は4番・捕手の古賀 優大(2年・178センチ78キロ・右投右打・友愛野球クラブ<福岡・フレッシュリーグ>出身)。もう1人は1番・中堅手の立花 虎太郎(2年・181センチ73キロ・右投左打・大阪南海ボーイズ<大阪>出身)。古賀は旧チームからレギュラーを張る強肩捕手。立花は新チームからリードオフマンを張り、準々決勝の岡豊戦では中越ランニングアーチも放った大型外野手である。

 過去に明徳義塾で心技体を鍛え、現在NPBに在籍する選手に例えるならば、古賀は伊藤 光(オリックス・バファローズ)。立花は今季4年目で1軍初出場しプチブレイクを果たした北川 倫太郎(東北楽天ゴールデンイーグルス)というところか。ということで今回は、彼らを2人の姿になぞらえながら将来性を追っていきたい。

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明徳義塾の4番捕手・古賀 優大(2年)

 さて、この土佐戦で大きく存在感を示したのは古賀 優大である。投球後の二塁送球タイムは常に1.8秒台後半から2秒0台。初回、土佐1番の吉原 太朗(2年・168センチ60キロ・右投右打・高知市立城北中出身)の企てた二盗を2.1秒・3m手前で刺した安定感のある肩に加えて、リード面でも成長が見えた。

 象徴的なのは両者無得点で迎えた3回表二死三塁で前打席安打の吉原を迎えた際のリードだ。この場面、古賀は「塁も空いているし、駄目なら次打者で勝負してもいい」と強気の攻めを選択。最速135キロをマークした中野 恭聖(172センチ68キロ・右投右打・えひめ西リトルシニア<愛媛>出身)に対し、インコースのストレートを4球続けさせ2ストライク2ボールとする。

 そして5球目は一旦、身体とインコースに構え、投球直前にアウトコースに位置を変えるという「新チームになってから心がけている」ゼスチャーで中野得意のスライダーを引き出し見逃し三振。その裏に5安打と自らの犠飛で3点を先制する流れをも演出した。

 結局、中野は115球を投げ4安打6奪三振2四死球で完封。「完璧な攻めだった」と古賀のリードに感謝の弁を述べれば、普段は彼のリードに辛口の馬淵 史郎監督も「時々自分に酔うところもあるが、今日のリードはよかった」と高評価。その高評価はネット裏のノートにも記されたに違いない。

 一方の立花 虎太郎は「評価次回持ち越し」というところ。3回の崩されながら一・二塁間に転がした安打と5回にややスタートが遅れながらも(3.18秒)スライディングの速さでセーフとした二盗は流石だったが、「送球の弱さと、『こすったフライを打つな』ということは入学からずっと言ってきているんですが」と藤山 晶広コーチが指摘するように、各所に粗さも目立った。ここは次戦以降の反省材料といえるだろう。

 この日はやや評価が分かれた2人だが、実力が全国レベルにあることは確か。2人には現状に甘んずることなく、四国大会でさらに評価を高める活躍に期待したい。しいてはそれが明徳義塾、高知県高校野球、そして四国の高校野球レベル・意識を引き上げることにつながるはずだ。

(文=寺下 友徳)

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