左から 高校時代の横川 楓薫投手、廖 乙忠投手

 宮崎県は温暖な気候ということもあり、毎年2月、プロ野球の各球団がキャンプ地としてシーズンへ向けて準備している。そうやって、プロ野球球団を招聘して県内の野球熱を高めつつ、5月上旬に県外の強豪チームを招いたMRT招待高校野球大会を開催するなど、外部を積極的に招き入れて高校野球のレベルを高めようとしているのが特徴だ。

 その中でも、トップレベルの実績を残しているのが日南学園である。甲子園出場回数は、夏は7回、春は4回と全国の強豪校に比べると少なく感じるが、日南学園からはプロ野球で活躍する多くの選手が輩出されている。今回は、そんな日南学園のつながりを見てみよう。

全国区の強豪のスタートは1995年春夏連続甲子園出場から始まった

 1990年代まで県内でもあまり実績を残すことができなかった日南学園だが、小川 茂仁監督の指導により着実に強豪校へとステップアップする。

 1993年、後にNPB4球団で活躍する平下 晃司や現在の日南学園の監督である金川 豪一郎氏など、この年に入学した選手たちを徹底的に育て上げ、ついに1995年には春夏連続甲子園出場を果たし、平下は近鉄バファローズからドラフト指名を受けた。ここから日南学園は、宮崎を代表するチームとして1997年〜1999年には春夏いずれかに出場し、全国区の強豪校へ。

 また、1995年時の主将・金川は明治大を卒業した後2000年に母校のコーチに就任し、小川監督をサポート。そして2007年に小川監督から引き継ぎ監督生活をスタートさせた。

 そして2001年の夏の甲子園。この年は、後に福岡ダイエーホークス(現:福岡ソフトバンクホークス)にドラフト1位で入団する、速球派右腕寺原 隼人を擁しての出場となり、最高成績となる甲子園ベスト8に輝いた。また、現在も横浜DeNAベイスターズにて活躍する井出 正太郎選手も、寺原選手と同じ世代で甲子園出場を果たし、高卒でプロ入りとなっている。

 近年では2007年、2011年、2014年に夏の甲子園に出場するも、2007年は三回戦敗退、それ以外は初戦敗退と成績が奮ってはいない。しかし、2008年ドラフトでは、高卒指名を2名輩出するなど、その育成力はプロからも注目が集まる。選抜出場は2004年が最後となっているため、秋季大会を勝ち抜き、久々の選抜出場が見られることに期待が懸かる。

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[page_break:輩出選手の特徴]輩出選手の特徴

 日南学園の輩出選手の特徴としては、多くが高卒でプロ入りしている点が挙げられる。今年から埼玉西武ライオンズの二軍育成コーチに就任した赤田 将吾コーチや、先程紹介した、寺原 隼人選手、井出 正太郎選手。また、2009年には、中崎 雄太選手が高卒ドラフト1位で入団するなど、選手育成には非常に定評がある。また、投手の育成力も特徴的であり、寺原選手を始め、中崎 雄太選手の弟であり、2011年卒の中崎 翔太選手は、現在は広島東洋カープの抑え投手として活躍している。

■1999年卒赤田 将吾(埼玉西武ライオンズ−オリックス・バファローズ−北海道日本ハムファイターズ−埼玉西武ライオンズ二軍育成コーチ)

■2002年卒寺原 隼人(福岡ダイエーホークス−福岡ソフトバンクホークス−横浜ベイスターズ−オリックス・バファローズ−福岡ソフトバンクホークス)井出 正太郎(福岡ダイエーホークス−福岡ソフトバンクホークス−横浜ベイスターズ−横浜DeNAベイスターズ)

■2005年卒蕭 一傑(阪神タイガース−福岡ソフトバンクホークス−義大ライノズ)

■2009年卒・中崎 雄太(埼玉西武ライオンズ)・有馬 翔(福岡ソフトバンクホークス−東北楽天ゴールデンイーグルス−新波)

■2011年卒・中崎 翔太(広島東洋カープ)

■2012年卒・古市 賢助(JFE東日本−関メディベースボール学院)・村田 陽春(東京国際大)・草清 優真(福岡大)・正岡 弘基(大阪学院大)

■2013年卒・山本 樹(桐蔭横浜大)・東 秀知(横浜商科大)

■2014年卒・長渡 祐弥(日立製作所)・廖 乙忠(履正社学園)

■2015年卒・萩原 聖翔(国士舘大)・田久見 大地(熊本ゴールデンラークス)・横川 楓薫(東海大)

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