済美のペースを乱した「タイム管理戦術」

<お断り>今大会の準々決勝以降は、愛媛CATV「平成27年度秋季四国地区高等学校野球大会 愛媛県大会中継」スコアラー及びデータ提供業務のため、写真掲載が非常に困難であることを深くお詫びします。その代わり放送席視点から見える試合のポイント等を立体的に伝えられるよう、努力してまいりますので、よろしくお願い申し上げます。

 試合、そして準々決勝以降中継中の「愛媛CATV・平成27年度秋季四国地区高等学校野球大会 愛媛県大会中継」としては何度もノッキングを起こす光景であった。

 この試合、今治西の大野 康哉監督は先発から三塁手、そして再びマウンドに戻って試合を締めた金本 遼(1年・右投右打・176センチ67キロ・今治市立北郷中出身)をはじめのべ3回の投手交代を行ったが、すべてがカウント途中。守備・攻撃タイムも2回ずつを使用し、相手に渡りそうな流れを分断しにいった。これは愛媛県大会・四国大会では日常風景となっている今治西の常套戦術である。

 そして、済美もこの「タイム管理戦術」にペースを乱された。今治西投手交代時の当該打者は「二塁内野安打(1回裏二死一・二塁)」「左犠飛(4回裏・無死満塁)」「犠牲バント(5回裏無死一塁)」とまずまずの結果は残した彼らだが、結局続くチャンスで奪えたのは4回裏、犠飛時の好走塁でつかんだ一死二・三塁から4番・小山 一樹(2年・捕手・178センチ77キロ・右投右打・三田ボーイズ<兵庫>出身)の二塁ゴロで奪った1点のみ。

 主将1番・和田 蓮次郎(2年・遊撃手・170センチ63キロ・高槻リトルシニア<大阪>出身)が6打数4安打で格の違いを見せ、5番・宇都宮 佑弥(1年・一塁手・163センチ92キロ・愛媛松山ボーイズ出身)がパワフルさと柔らかなバットさばきで2安打2打点と強打の一端は示したが、延長10回に4回途中から好投の赤松 勇樹弥(2年・左投左打・163センチ55キロ・和歌山興紀ボーイズ<和歌山>出身)がスタミナ切れを起こし、「右肩の違和感でそろそろ本格的に投げ始める状態」(乗松 征記監督)の和合 寛征(2年・178センチ85キロ・右投右打・佐伯ボーイズ<大分>出身)を投入せざるを得なかった時点で半ば勝負はついていたといえよう。

 この日は安定した俊足巧打を発揮するリードオフマン・杉野 彰彦(2年・右翼手・173センチ67キロ・右投右打・今治市立西中出身)に加え、これまで当たりがなかった中軸や、7番以下の下位打線が8点中7打点をたたき出すなど、1週間で見事な修正能力を見せ3年連続秋のファイナリストへ駒を進めた今治西。来る決勝戦でも彼らの「タイム管理」に注目してもらいたい。

(文=寺下 友徳)

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