芽生えた意識の変化、「勝ちたい気持ち」前面に・樟南

樟南・浜屋

 樟南は、8月の鹿児島市内大会初戦でまさかの敗戦を喫した池田を完封勝ちで雪辱し、2季連続の九州大会を勝ち取った。

 過去3戦で24イニングを投げて33奪三振、被安打7と抜群の安定感を誇るエース浜屋 将太(2年)が、この日も試合を作った。前日に続く連投の疲れも見せず「勝とうという気持ち」(浜屋)を前面に出し、得点を許さなかった。三振こそこの日は6個しか奪えなかったが、ボールの出し入れ、中でもボール球を振らせる技術には目を見張るものがあった。「市内大会の時とはボールのレベルが違った」と池田・上水樽洋平監督も脱帽する。

 打線も初回に4番・河野勝丸(2年)が先制2ラン。前日の試合中に負傷した松下朋矢(2年)に代わって4番に入った背番号13の一振りが、浜屋を援護した。強気のリードで浜屋を引っ張った捕手・前川 大成主将(2年)も8回に走者一掃の長打を放ち、貴重なダメ押し点を挙げた。

 池田戦の敗戦後、「野球に対する意識を変えるため」(山之口和也監督)、宮崎・日南で3日間の合宿を張った。前川、浜屋ら前チームからの主力を経験するメンバーが豊富にいて、心のどこかに巣食っていた「普通にやれば勝てるだろう」(前川主将)という慢心を打ち砕き「一生懸命、野球をやる」(山之口監督)意識を植え付けるのが狙いだった。

 「守備からリズムを作る」(前川主将)樟南野球の原点を叩き込むために、個人ノックやシートノック、守備練習を徹底してやり込んだ。この経験があったから、終盤何度かあった相手の得点機でも落ち着いて守り切ることができた。

 第1目標の九州大会出場を果たし「ホッとした」と前川主将。だが、達成感は当然ない。「次の鹿実戦を全力で勝ちにいく」と次の山に挑む決意に切り替わっていた。

(文=政 純一郎)

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