初選出された南野だけど、宇佐美や原口とタイプ的に似ていて、彼らと比べて特別な違いを見出しづらいし、クラブでの活躍もそこまで高く評価はできない(写真はリオ五輪アジア1次予選のマカオ戦)。写真:佐藤 明(サッカーダイジェスト写真部)

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 10月8日のロシア・ワールドカップ・アジア2次予選のシリア戦、その5日後に行なわれる国際親善試合のイラン戦に挑む日本代表のメンバーが発表された。
 
 選ばれた顔ぶれを見ると、いつものメンバーに何人か新しい選手が加わっただけで、ほとんどサプライズはなかったね。清武の選出は別に新鮮味がないし、塩谷や柏木の招集も、酒井宏や湘南の遠藤の怪我がなければ、おそらく呼ばれなかったはずだよ。彼らを押しのけたうえでの代表入りじゃないから、特筆すべきものではない。
 
 所属クラブで満足な出場機会を得られていない長友や酒井高が選ばれているけど、結局、ふたりの代役を務められるだけの実力がある選手がいないだけ。それはそれで寂しいけど、真剣勝負となるシリア戦もお馴染みの選手たちが先発に名を連ねそうだ。
 
 代わり映えのしないメンバーで戦うことで、連係面は深まるかもしれない。でもそれも相手の質による。2次予選のレベルで良いゲームができたからといって、それでチーム力が高まったとか、レベルアップしたとか錯覚してもらっては困る。
 
 南野の初選出は多少なりとも話題になっているようだけど、重要なのはどれだけ試合で使われるか。予選のシリア戦では、まず起用されないだろうね。となると、イランとのテストマッチで、途中出場から何分チャンスをもらえるか。一度もピッチに立てないような事態だけは避けたい。
 
 もっとも、どのポジションで起用されるのかは気になるところだ。ただ、宇佐美とか原口とか、ライバルになりそうな選手はタイプが似ている。彼らと比べても、特別な違いや特長を見出しづらい。評価されたのは、所属クラブで点を取っているから? 問題は南野がどのリーグで戦っているかということだ。欧州の中でオーストリアの国内リーグのレベルを考えれば、そこまで評価はできない。
 
 それなら、オランダでプレーするハーフナーだって今季はそれなりに結果を出している。今回の代表チームも、相変わらず高さという点では心許ない。年齢だって28歳で、歳を取っているわけではない。ハーフナーという選択肢があっても良かったはずだ。
 
 霜田技術委員長がある程度の時間をかけて南野を視察したようだけど、行ったからには呼ばないとダメなのかな。
 
 レッズの武藤も調子が良いし、大久保もJリーグでたくさん点を取っている。その意味でも、南野の初選出に首を傾げざるを得ない部分は少なからずあるよ。
 試合自体に目を向ければ、ここでシリアに勝てれば、2次予選突破はほぼ決まりと言っていいだろう。逆に負けるようであれば、5日後のイランとのテストマッチは別の監督で戦ったほうがいいね。
 
 2次予選の段階では、負けはおろか、本来なら引き分けも許されることではない。全部勝って当たり前。“大一番”なんて言われ方もされているけど、そういう状況になったのは自分たちのせいだからね。
 
 シリア、そしてすでに終わっているアフガニスタンとのアウェーゲームは中立地での試合だ。それだけ恵まれたグループを1位で抜けるのは当然だし、無事に次のラウンドに進めたとしても、褒めるのではなく、「ごくろうさま」というレベルの話だ。
 
 いずれにせよ、今回のシリア、イランとの対戦で、アウェー2連勝を飾る。それが10月シリーズのノルマだ。それができれば、なにかモヤモヤしているものが消え去るよ。8日のシリア戦から、13日のイラン戦までは中4日。スケジュール的にも言い訳はできない。シリアに勝っても、イランに負けたら、ハリルジャパンに対する“はてなマーク”は残ったままだね。