東海大相模vs智辯和歌山

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最後はホームランで締めた智辯和歌山の主砲コンビ

山本龍河(智辯和歌山)

 壮絶な打撃戦となった一戦。地元・智辯和歌山の長打攻勢に紀三井寺のスタンドは何か満足したような雰囲気であった。 3回表、1対2と智辯和歌山が1点ビハインドの場面で、3番に入った春野 航輝に打席に回った。吉田 凌に対し、ストレートに狙い球を絞っていた春野は高めに浮いた初球のストレートだった。左中間に飛び込む豪快なソロ本塁打で沸く紀三井寺球場。

 その後も、失点を喫する智辯和歌山だが、自慢の打線で吉田にくらいつく。吉田の出来は敦賀気比戦よりも良く、何度も130キロ後半の速球を計測しており、縦スライダー、カーブのキレも良いが、ほんの少しだけ高めに入る時がある。そこを智辯和歌山打線が逃がさなかった。

 そして5回表、ここまで通算49本塁打の山本 龍河が打席に立った。吉田 凌に対して、スライダーに狙い球を絞っていたが、この打席に限りストレートに狙いを定めた。山本は外角直球を捉え、打球は左中間に飛び込む本塁打。滞空時間が長いスラッガーらしい本塁打であった。

 1年秋から野手に専念し、メキメキと本塁打を量産した山本だが、最も快感があるのが左中間に飛び込む本塁打だという。打つときに首を傾けながらスイングする独特の打法。スイング軌道を見るとややアッパー気味だが、ボールを遠くへ運ぶ技術が備わっている。これで通算50号。山本は、「49号だとなんとなくひっかかりがあるじゃないですか。これで50号で終われたので良かったです」と満足そうに振り返った。

 卒業後は大学で続ける山本。本人は「打撃しかないです」と語るが、ライトから見せる強肩も魅力的な選手。ぜひ強肩強打の外野手として活躍を期待したい。

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2試合連続本塁打を放った春野航輝(智辯和歌山)

 今度はプロ志望を表明した春野 航輝。ストレートを狙い球に絞った理由として、変化球を待ってストレートで振り遅れると詰まってしまう。その詰まりが嫌ということだ。だが、春野の打撃を見ると始動のタイミングが遅い。投手の着地に合わせて始動し、小さくステップをする選手なので、じっくりとボールを引き付けて打ちに行く選手だ。春野は体に力があるので、その体の強さを生かすためにジャストミートすることを心掛ける。そのために春野はボールが見えやすい構えを意識する。

 またステップするときに開きが早すぎないか。微調整を加えながら打席に入っているのだ。第1打席から振り返ると、右飛、本塁打、良い当たりの右飛、二飛とボールは見えているが、本塁打以外、なかなか芯で捉えきれていなかったが、9回表、先頭打者として打席に入る前、春野は5番で主将の西山 統麻にこんな声をかけた。「走者溜めろといわれる場面だけど、一発狙ってええか」すぐさま西山は「ええで」と快諾。春野を送り出した。 そして打席に入った春野。東海大相模バッテリーは低めにスライダーを投げて空振りを狙う配球。しかしそのスライダーが真ん中高めに浮いた。強振した春野は本塁打を確信して、ゆっくりと打球の行方を見る。打球は場外へ消えていった。試合は7対10で敗れたが、春野は5打数2安打2打点2本塁打。三振1つもすること終わった。最後の舞台で精一杯のアピールができただろう。

 この3ホーマーに投げた吉田は、「ちょっとすごすぎです...甲子園で対戦しなくてよかったです」と脱帽。 春野は「最後の打席で本塁打で終えることができて良かったです」と笑顔を見せた。 そしてプロ入りへ見据えて、夏の甲子園後に木製バットに握り替えて打撃練習。今ではオーバーフェンスも連発することも珍しくなく打球を飛ばせるという。なかなか少ない右打ちのスラッガー。一塁手ではあるが、魅力たっぷりの春野に吉報は届くのだろうか。

(文=河嶋 宗一)

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