8回1安打投球でも、好投手・川口廉から見えた課題

川口廉(千葉黎明)

 ベスト16入りをかけた一戦。千葉黎明が先行すると、終始、リードを保った状態でベスト16入りを決めた。 3回表、千葉黎明は一死一、三塁から内野安打で1点を先制。さらに5回表にも5番根本 昌弥(2年)の適時三塁打で点を追加すると6回表にも1番藤江 康太(2年)の適時三塁打から2番佐々木の適時打で5対0とする。 そして注目の千葉黎明のエース・川口 廉の投球内容である。昨年の秋季大会の投球は、千葉県トップクラスのピッチャーといっていい投球内容であった。滑らかな体重移動から繰り出す135キロ前後の速球、カーブ、スライダーをコントロール良く投げ分ける投球内容はセンスの良さを感じさせ、大きな将来性を感じさせた。 182センチ69キロと華奢な体つきで精度の高い投球ができていたので、肉体的な強化によってボールの質も変わってくれば、さらに注目度が集まる投手として見ていた。

 しかし、常時128キロ〜130キロ前半で目に見えて球速は変わっていない。そしてもう一つがフォームの乱れが見えた。去年の川口は足を上げて、左腕の使い方、リリース、フィニッシュまで洗練された動きだった。だがこの日の川口は左腕がうまく使えず、乱れていることが多い。また体重移動の歩幅も合っていないのか、左足が突っ張る動きが多く、リリースもやや押し出してリリースすることもあった。

 これだと制御がつかず、全力投球だとコントロールが乱れてしまうので、小手先でコントロールするしかない。そのためコントロールができるスライダー、チェンジアップを中心とした投球であった。結果的に8回まで1安打投球だったが、去年の快投と比較すると物足りなさを残す。また体格面もまだ華奢なのは変わっておらず、140キロ台の速球を投げる同学年の投手とは違うのは、腕の振りや体に秘めるパワーの違いだと考える。またそれを生かすメカニズムもしっかりと備わっている。

 さらに進化を果たすためには短期間で劇的になるとはない。やはり根本的に体をしっかりと作り直し、もう一度、メカニズムの動きを見直すことが必要になるのではないだろうか。今後も戦いは続くが、川口にとって、秋〜春までは自身の野球人生を変える期間である。再び見る時、劇的に変わった姿を見せてくれるか。

 また9回裏に打者2人だけに投げた十和田圭介(2年)は、綺麗な体重移動から強く腕が振れる投手で、コンスタントに135キロ前後を計測。スライダーの切れも良く、川口を脅かす存在としてさらにレベルアップしてほしい投手であった。

(文=河嶋 宗一)

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