選手たちに成長の跡が見えた嬉しい嬉しい勝利

3安打完封勝利の富名腰泰雅(与勝)

 新人大会中部北地区予選では3勝5敗で、県中央大会へ進むことは叶わなかった与勝。「ここが踏ん張りどころだぞ!という場面で粘ることが出来なかった」と浦添監督は語ってくれた。

 秋の県大会初戦の宮古総合実戦でコールド勝ちを収めたものの、シードの浦添商相手となると、ピッチャーの富名腰泰雅を始め、どれだけ我慢が出来るかが重要だと浦添監督は踏んでいたが、その富名腰が3回まで浦添商打線を僅か1安打に封じる好スタート。「球が走ってなかったので内と外に散らすことを考えてました」と、女房役の玉寄辰樹が上手くリードし、また富名腰もその要求に応えてスコアボードにゼロを並べていった。

 一方味方打線は、1回に二死からヒットと死球をもらうもサードゴロ、2回は2つの四球も三盗でアウト、3回にはトップの花城謙心のライト前ヒットやエラーなどで一・三塁としたがフライアウトになるなど、中々突破口を開けずにいた。だが、相手ピッチャーが制球に苦しんでいることを見抜いたベンチは、じっくり攻めていこうと判断。8回、コントロールに苦心する浦添商2番手の大嵩博斗が、二者連続四球。4番玉寄がレフト前へ運び無死満塁と絶好のチャンスを得たのだ。

 次打者の2球目にワイルドピッチでついに近郊を破ると、3番手として登板した野原紅弥から7番又吉啓介と8番宮城太賀の連続スクイズが成功し、大きな大きな3点目が刻まれた。9回表も締めた富名腰は、僅か3安打に抑えて完封勝利。2年振りのベスト16入りに貢献した。

「自分ごとで恐縮ですが、僕が与勝に来て、この5年間で3度もシード校と当たり全て負けてました。(11年8対9真和志、12年1対3宮古、13年0対7沖縄尚学)勝たせてくれた選手たちに感謝。僕もとても嬉しい」と、試合後に浦添監督は笑顔を見せた。

 敗れてしまった浦添商だが、4回に三塁打を放った山入端郁ら好打者揃いであったが、この日は空回りしてしまった感があった。どうしても緊張してしまう初戦の難しさもあったのかも知れない。春まで、余りにも長い期間がナインに訪れることになったが、この悔しさを糧に、さらなる強さを身につけて成長した姿を見せてくれることを期待する。

(文=當山 雅通)

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