二松学舎大附圧勝、橋本とどめの3ラン

先発・中尾 紘章(桐朋)

 組み合わせの関係で、20日が初登場となった二松学舎大附。しかし今年の二松学舎大附は強いという評判を、他の1次予選の会場で聞いた。大江 竜聖、今村 大輝のバッテリーをはじめとして、経験豊富な選手が多いので、そうした評判も当然かと思うが、それだけではない。

 代表決定戦の相手は桐朋。序盤は桐朋も善戦した。桐朋の先発・中尾 紘章はスリークォーター気味のフォームで体全体を使い、キレのいいボールを投げ、1、2回は安打を許さない。

 一方、今大会注目の二松学舎大附の左腕・大江は、体が一段とたくましくなり、球威も増してきたが、初回は四球を1つ許しただけだったが、22球を投げ、やや苦しんだ。

 二松学舎大附の市原 勝人監督が、「もう1回ゼロだったら展開は分かりませんでした」と語る3回裏、一死後、8番の大江自らライトオーバーの二塁打を放ちチャンスメークをする。9番鈴木の四球の後、打席には1番の三口 英斗が入る。主将で遊撃手の三口は初球を右前安打にしてまず1点。続く鳥羽 晃平の左前安打で1点追加。3番市川 陸の内野安打の後、4番に入っている1年生の永井 敦士の内野ゴロの間にもう1人が生還して、この回3点を入れた。

「三口のヒットの1点で終わらず、追加点が取れたのが大きかったです」と市原監督が語るように、こうなると二松学舎大附は止まらない。

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3ラン本塁打を放った橋本 雅弥(二松学舎大附)

 4回裏には無死満塁から9番鈴木がライトオーバーの三塁打で三者生還。続く三口も左中間を破る二者連続の三塁打で1点追加。さらに三塁手の失策で三口も生還。なおも走者を2人置いた状況で、6番橋本 雅弥がライトフェンス越えの3ラン本塁打を放ち、5回コールドが成立する10点差以上の差がついた。橋本は昨年の秋は4番を打ったが、結果を残せず苦しんだ。橋本が本領を発揮すれば、打線は一層厚みを増す。

 この回目に付いたのは、島根 寛人が代走、平野 潤が代打といったように、前のチームでレギュラーだった選手が、交代要員で出場していることだ。「平野 潤は、調子はいい。ただ落ち着いてしまうところがあるので、危機感を持ってほしいのです」と市原監督は語る。

 前のチームでバリバリのレギュラーであっても、新チームのレギュラーは保証されない。チーム内の激しい競争が、チーム力を一層高めている。

 この試合は12対0、5回コールドで二松学舎大附が勝ち、都大会出場を決めた。この試合大江 竜聖は5回を投げ、被安打1、奪三振7で得点を許さなかった。

 桐朋の田中隆文監督は、「マシンで速い球は打ってきましたが、実際にやるのとは違いますからね。もう少し、無駄な点をやらないようにしないと」と語った。

 一方勝った二松学舎大附は、都大会でも優勝候補に挙げられるだろう。この秋季都大会は、日大三、帝京、東海大菅生、関東一らが高いレベルで優勝争いをすることになりそうだが、最も注目されるのは、清宮 幸太郎のいる早稲田実業であろう。「東京の高校野球が注目されることは、励みになります」と市原監督。この秋の戦いは、例年以上に見どころが多くなりそうだ。

(文=大島 裕史)

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