東京小刻みに加点、雨中戦を制す

 台風11号の影響で、試合が行われるかどうか懸念されたが、試合はほぼ予定通りの午前8時58分に始まった。もっとも、強風に、雨、水を含んだグラウンドと、状況は良くなかったが、双方堅実な守備で、締まった試合になった。

 東京の先発は背番号6の笠木 一志。共栄学園はその立ち上がりを攻め、当たっている1番の濱野 聡史がレフト線に二塁打。さらに都立広尾戦(試合レポート)に続き先発の登板の3番池田 泰河がライトオーバーの三塁打を放ち、共栄学園が1点を先取した。

 共栄学園の池田は、低めの制球が良く、1、2回は東京打線を抑えていたが、東京もじわじわと反撃に出る。まず3回表、この回先頭の8番山内 僚也が内野安打で出塁すると、手堅く送り、2番甲野 一成の左中間への安打でまず同点。

 4回表東京は、2本の安打などで満塁になったところで、共栄学園は投手を池田からエースの大橋 勇太に交代。大橋は8番山内を遊ゴロに打ち取ったものの、三塁走者が生還して、逆転した。

 勝負の分かれ目となったのは、その裏の共栄学園の攻撃。二死後5番宮前 祐貴がセンターオーバーの二塁打で出塁し、続く青木 龍也レフトに痛烈な打球。これを東京の左翼手・駒形 健人ダイブして好捕。共栄学園に得点を許さなかった。この回の無得点が共栄学園には大きかった。

 強風の中、外野手は非常に守りにくい状況にあったが、駒形は4回裏の好捕の他にも、難しい飛球を幾度も堅実に捕球し、相手に試合の流れを渡さなかった。

 東京は、5回表は若井 晃輔の適時打で1点、6回表は二塁打の笠木が投手の暴投などで生還し1点と、1点ずつ追加し、じわじわと共栄学園を突き放す。

 投げては笠木が、球に力はさほどないものの、コーナーを突く投球で、共栄学園の追撃を許さない。共栄学園としては、打てそうな感じのする投手だけに、余計に術中にはまった感じだ。結局笠木は被安打6、自責点1で完投。東京は4回戦進出を決めた。昨年はベスト8(試合レポート)に進出した東京は、圧倒的な力はないものの、勝ち方を知った戦いをしている。次は都立の強豪・都立城東と対戦する。

 敗れた共栄学園は、まさに発展途上のチームだ。先発登板した池田など、楽しみな1、2年生も多い。今後の野球部の成長を期待したい。

(文=大島 裕史)

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