イタリア優勝で幕を閉じたドイツW杯から一ヶ月が経過した9日の欧州CL予選、ACミランが満員のホーム・サンシーロでセルビアの名門レッドスターを1−0で一蹴した。厳しい条件下で勝利を飾ったACミランだが、シェフチェンコの抜けた穴が簡単に埋まるほど小さいものではない現状を浮彫にした。

カルチョ・スキャンダル判決により本戦出場から予選参加への変更を余儀なくされたACミラン、準備期間不足に加え4−3−1−2で挑んだ先発メンバーの内8人がドイツW杯出場組。募る不安を22分、この日33回目の誕生日を迎えたインザーギが吹き飛ばした。相手ボールを奪ったピルロからセードルフ、ジラルディーノ、カカと経由したボールを最後はエリア内右からインザーギが右足で冷静に決め祝砲を挙げた。

欧州CL予選勝利発進のACミランだが、今夏移籍市場でチェルシーへ移籍した“絶対的エース・シェフチェンコの不在”という不安が現実となった。誕生日を自らのゴールで祝ったインザーギとは対照的に、大ブレーキとなったジラルディーノ。試合前「自分が穴を埋める」と公言したジラルディーノだったが、意気込みは空回りに終わった。右サイドを切り崩したカフーからの完璧なクロスを8分、11分、56分、62分と立て続けにミスとあっては温厚なカフーも仏頂面。極め付きはカカからのパスを受けた61分のエリア内で迎えたGKとの1対1、勝利を決定付ける最大の好機を中途半端なシュートで潰した瞬間だった。アンチェロッティ監督の我慢が限界に達した72分、5度の得点機を逃した24歳の若きエースはその後にピッチを去ったカフーとピルロが浴びた拍手とは比べ物にならない寂しい拍手を背に、唇を噛み締めながらベンチに退いた。

勝利にも「もう少し出来るかと思ったが・・・まぁ、準備不足の中での勝利はポジティブな結果」と苦虫を噛み潰したようで語ったアンチェロッティ監督。監督、観客、チームメイトの反応がシェフチェンコ不在を物語っていた。前イタリア首相でACミラン会長に復帰したベルルスコーニが見守った今日の試合、イタリア一の大富豪の脳裏にはイブラヒモビッチ獲得がよぎったに違いない。