【ファンキー通信】日本発の「ひきこもり書店」とは!?

写真拡大

 場所は神奈川県横須賀中央駅近くの上町商店街。2006年5月11日にオープンした「はるかぜ書店」は、スタッフ全員が「ある」共通点をもっているのだそう。その共通点とは、それぞれが皆ひきこもり(※)経験者だということ。でも、一体どうして・・・?

 「ひきこもりの若者を支援するNPO法人アンガージュマン・よこすかが、県の助成などを受けて企画した就労支援店舗なんです。スタッフは私を含めて5人。全員が就労研修を受け、中には販売士検定資格を取得している人もいるんですよ」(はるかぜ書店 チーフ 石原直之さん)

 もともとは福祉関係の書籍を扱っていた専門書店を、経営を引き継ぐ形で移転オープンさせたこの書店。開店前の1ヵ月間は、仕事に慣れるためにもスタッフ全員が移転前店舗での書店営業を経験したのだとか。

 「発案から開店まではおよそ1年。ひきこもりの人たちのための居場所を作ったものの、次の社会参加に繋がるステップをどうしたらよいか考えていたところ、まさに絶妙なタイミングで書店経営を引き継ぐお話をいただいたんです」(同)

 オープン後はまずまずのスタート。スタッフは皆ほとんど内面的なことを語らないというが、自らも13年間のひきこもり生活を経験した石原さんによれば、「皆、明らかに表情が活き活きし、明るくなりました」とのこと。

 最初はアルバイトという雇用形態ではなく、あくまでボランティアとしての勤務。スタッフは定期的に入れ替えをする方針だという。

 「この書店で働いているという状態に甘んじて欲しくないんです。ここでの経験はさらなる社会復帰へのステップ。いずれ一般企業で就労することも視野に入れていますし、スタッフ自身に自発的なやる気や自立心を持ってもらいたいと考えています」(同)

 書店に並ぶのは福祉関係の書籍以外にも、教育専門書や週刊誌など約4000冊。今のところコレといったトラブルはないというが、「基本的にひきこもり生活を経験した人はすごく真面目なんです。コツコツと仕事をこなしてくれるのは嬉しいのですが、逆にうまく息ぬきができないみたいで・・・」(同)

 休むのも仕事のうち! スタッフの皆さん、上手く肩の力を抜いて働いて下さいね!(清川睦子/verb)

※さまざまな要因によって社会的な参加の場面が狭まり、就労や就学などの自宅以外での生活の場が長期にわたって失われている状態(一部行政機関による定義)

■問い合わせ先
はるかぜ書店 046-804-7883

■関連リンク
横須賀はるかぜ書店だより - 文中で紹介した「はるかぜ書店」のブログ
NPO法人アンガージュマン・よこすか - 文中で紹介した「NPO法人アンガージュマン・よこすか」のWebサイト