日航ジャンボ機墜落事故から20年目を迎えた現場近くの群馬県上野村で灯ろうを流す遺族ら(撮影:佐藤学)

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520人が犠牲になった1985年の日航ジャンボ機墜落事故が起きて、あす12日で20年を迎える。11日昼、墜落現場となった御巣鷹山の登山口では関係者や業者らが、20年目の“命日”に遺族を迎える準備を行う姿が見られた。

 御巣鷹のふもとの群馬県上野村では11日夕、同村役場の隣を流れる神流(かんな)川に、遺族らが失った家族への想いをつづった300個の灯ろうを流した。事故のあった午後6時50分ごろには、犠牲者の1人で歌手の故坂本九さんの曲「見上げてごらん夜の星を」を参加者全員で合唱し、御巣鷹の夜空を仰ぎ、犠牲者の冥福を祈った。

 今回は、初参加の4人を含む過去最大の150人の遺族が参加、遺族や支援者が「ご無沙汰しております」「元気にやっていますか」などと近況を語り合う姿が見られた。事故で夫を失い、今回で3度目の慰霊登山をするという50代の女性は「20年もたてば、今の自分の生活もあり、思いは複雑。お父さんに孫が見せられないのが残念」と話し、「来年は孫を連れてくるねネ」と書かれた灯ろうを流し、手を合わせた。事故で当時9歳の息子を亡くし、遺族の互助グループ「8・12連絡会」事務局長の美谷島邦子さん(58)は「20年間いろいろな方々が支えてくれて感謝している。2度とあのような事故を繰り返してほしくない」とこれまでを振り返り、「今回は事故当時に、家族を亡くした母親のお腹にいた子どもたちも参加してくれたので、次世代へのバトンタッチができた」と希望を託した。

 あす12日には早朝から遺族約300人や日本航空の新町敏行社長ら関係者が墜落現場まで慰霊登山し、犠牲者の追悼と、事故の再発防止などを誓う。日航社長が事故当日に現場を訪れるのは8年ぶり。【了】

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