平和宣言の後、「平和の象徴」ハト約1000羽が放たれた(撮影:吉川忠行)

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広島市中区の平和記念公園で6日、平和記念式典(広島市原爆死没者慰霊式、平和祈念式)が執り行われた。被爆60年の節目となる今年は小泉純一郎首相はじめ、河野洋平衆議院議長、扇千景参議院議長、町田顕最高裁判所長官らも参列。「三権の長」がそろった。同市によると、一般来場者も含め約5万5000人が出席した。

 広島市原爆死没者慰霊式では、水を求めて亡くなった原爆犠牲者に、市内各地から集めた水を市民16人が献水。秋葉忠利広島市長と遺族代表により原爆死没者名簿が奉納された。

 この1年で死亡が確認された5373人が追加され、名簿に記載された死亡者数は24万2437人となった。藤田博之広島市議会議長が式辞を述べた後、首相や代表者らが慰霊碑に献花した。

 続いて行われた平和記念式では、原爆が投下された午前8時15分に遺族代表と子ども代表がともに平和の鐘をつき、参列者が1分間黙とうした。

 秋葉市長は平和宣言で、「(核保有国などが)マスコミを通じて『核兵器があなたを守る』という偽りのまじないを繰り返してきた。世界の大多数の声を封じ込めている。反論する手段を持たない多くの世界市民は『自分には何もできない』と信じさせられている」と話した。また、平和市長会議などで世界市民の協働の輪を広げることを訴え、「世界の市民が地球の未来は自分一人の肩に懸かっているかのような危機感を持って自らの責任に目覚め、新たな決意で核廃絶を目指して行動するための、具体的指針を作る」と述べた。

 子ども代表の岩田雅之君(11)と黒谷栞さん(12)は「命を大切にする心、相手を思いやる心をふくらませていくことが大切です。まず相手のことを知り、違いを理解すること。そして、暴力で解決するのではなく、話し合いで解決していくことがわたしたちにできる第一歩」と平和への誓いを読み上げた。

 小泉首相はあいさつで在外被爆者支援を実施していくことに触れ、「唯一の被爆国として平和憲法を遵守し、非核三原則を守る」と話した。

 来賓あいさつの後、吹奏楽団250人と合唱団約500人が「ひろしま平和の歌」を合唱し、戦後60年の広島市平和記念式典が閉式した。【了】