マーリンズ・イチロー【写真:田口有史】

マ軍監督が「1番イチロー」視野 MLB公式サイト「イチローがおなじみのポジションに復帰」

 マーリンズのマイク・レドモンド監督が、今年のレギュラーシーズンでオプションとしてイチロー外野手を定位置のリードオフマンで先発起用するプランを明らかにした。MLB公式サイトが「イチローが先頭打者というおなじみのポジションに復帰する」との見出しで報じている。

 イチローは20日(日本時間21日)に行われたブレーブス戦で「1番・センター」で先発出場。今年のオープン戦、そしてマーリンズに移籍後、初めてリードオフマンを託された。

 記事によると、指揮官は「もしも、彼が試合に出る時に、レギュラーシーズンでも1番打者を務めるか? もちろん。私は彼がリードオフマンを務めることができると知っている。簡単だよ」と語ったという。

 マーリンズの昨季の1番打者は、このほど7年総額4957万ドル(約60億円)の契約延長に合意した最強外野トリオの一角、クリスチャン・イェリッチ外野手が務めた。だが、マーリンズはオフにトレードでドジャースからディー・ゴードン内野手を獲得。昨年、リーグトップの64盗塁を決めた韋駄天が一番打者を務めることが濃厚となっている。

 記事では「第4の外野手として契約したイチローは、チームの打線の至る所に柔軟性をもたらしている」と指摘。この日のように、イチローの先発試合でゴードンが休養を与えられた場合、41歳を1番で起用するオプションが浮上するという。

1番起用が増えれば、メジャー通算3000本安打へも近道に

 この日の打順は、1番イチロー、2番イェリッチで、3番には昨年の本塁打王ジャンカルロ・スタントンが座った。さらに、4番は昨年のジャイアンツのワールドシリーズ優勝に貢献した強打者マイケル・モースとインパクトのある上位打線となった。記事では、イェリッチは今季2番に固定されるために、8番を任される遊撃手のアデイニー・エチャバリアもゴードン不在時の一番打者候補だと分析している。

 また今回の特集では「イチローはこの時代の最高の1番打者の1人」と称賛。イチローがメジャー通算出場2204試合中のうち1777試合で1番打者を務めてきたというデータも明らかにしている。

「私はイチローが1番や、どこの打順でも打てることを知っている。でも、これ(1番起用)は彼により多くの打席を与えることができる。彼に3打席を与えれば、最も早く出塁してくれるわけだからね」

 指揮官はそう語っている。

 第4の外野手という役割で獲得したイチローは、メジャー通算3000本安打という金字塔にあと156本まで迫っている。リードオフマンを任せることは、背番号51がより多くの打席に立つチャンスを手にすることを意味する。偉業達成に少しでも早く近づけることができる起用法でもある。

指揮官「どこの打席に置こうが、イチローがヒットを打つことはわかっている」

 また、この日のブレーブスの先発投手は左腕ワンディ・ロドリゲスだったが、レドモンド監督は「私はイチローにはできるだけサウスポー相手に打席に立ってもらいたと思っている。慣れるためにね。ここ2、3日ではそれができている」と言及。さらに「我々がどこの打席に置こうが、イチローがヒットを打つことはわかっている」とも語っている。

 昨年のヤンキースで、イチローが1番打者として出場したのはシーズン最後の2試合のみ。引退間近だったデレク・ジーター氏と1、2番でコンビを組ませて、花道を飾るという意味合いもあった。そのほかの先発はすべて6番以下。6番が11試合、7番が35試合、8番が27試合、9番が20試合となっていた。

 さらに、ジョー・ジラルディ監督は相手チームの先発が左腕だった場合、右打者の起用を優先。イチローはスタメンから外れることが多かった。しかし、イチローは昨季、右腕との対戦が打率2割7分4厘だったのに対して、左腕相手は3割3分3厘と好成績を残していた。米メディアの中でも、効率的と言えない起用法を疑問視する声は少なくなかった。

 ブレーブス戦前の段階で、イチローは打率3割8厘と調子を上げていた。初の1番起用で遊ゴロ、二ゴロ、遊ゴロと3打数無安打に終わり、打率を3割8厘から2割7分6厘に下げたが、記事でも「イチローは堅実な春を謳歌している」と評価している。不可解な起用法に苦しむこともあった昨年のヤンキース時代とは異なり、メジャー15年目のレジェンドはマイアミで絶大な信頼を受けている。

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フルカウント編集部●文 text by Full-Count