体はキツネで顔は人間の珍獣、パキスタンの動物園で“飼育”され人気。
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英紙デイリー・メールやパキスタン紙エクスプレス・トリビューンなどによると、「ムムターズ・ベーガム」の正体はもちろん人間。40年ほど前、あるサーカス団の団員たちがカラチ動物園を訪れた際、「人を呼べるものを用意できる」と申し出て、パキスタンで1,000年前から語り継がれている、神話上の動物として知られるムムターズ・ベーガムの展示が始まったという。廟のような飼育舎には、キツネの体に女性の顔が描かれた看板が掲げられているが、その役を担っているのは、女性のように化粧をした男性たちが務めてきたそうだ。
カラチ動物園では、一般的な動物園と同じようにゾウやトラ、チンパンジーといった本物の動物も数多く展示されているが、その中でも長く人気を誇る“看板動物”となっているムムターズ・ベーガム。10代の女性が「たとえ私たちがみな作り物だと分かっていても、面白がったり怖がったりする」と話せば、見に来るたびに「幼い頃の記憶が蘇る」という50代の見物客も、「私たちは彼女のパフォーマンスに魅せられているの」と絶賛で、特に女性と子どもから人気を集めているそうだ。
しかも、40年にわたって動物園に住み続けている“話せる重鎮”だけに、中には檻の中に向かって悩み事を相談する人も。すると、ムムターズ・ベーガムは「占い師」となって将来のアドバイスを助言。娘の結婚を心配する女性、試験の出来に不安を抱く学生から話しかけられては、「ウィットな会話」で心のつかえを取り除いているという。「これは芸術」とまで関係者に言わしめる存在になっているムムターズ・ベーガムは、動物園にとっても見物客にとっても、もはやなくてはならない“動物”となっているようだ。