クックパッドに頼ってばかりいる女性は残念だ。もっと自分流で料理を作ってほしい」。週刊朝日の連載コラムで、演出家の河原雅彦さん(44)がこんな内容をつづったところ、ネット上で疑問も相次いで論議になっている。

河原雅彦さんは、演劇の脚本や演出などを手がけており、自ら俳優として出演もしている。元妻は、女優のともさかりえさん(33)だ。

投稿料理は参考にするぐらいでよいと指摘

週刊朝日のコラム「気になちょるモノ」は、別の俳優と交代で書いている。2013年8月19日発売号では、河原さんの番になり、「クックパッド料理の微妙な気分」をタイトルにした。

河原さんはまず、自らが一人暮らしの料理好きで、腕に自信はないものの自己流で作っていることを明かした。そして、最近はクックパッドにはまっている女性が増えているとして、そのことに対する持論を展開した。

クックパッドへの投稿そのものについては、モチベーションが上がるのなら悪いことでないと河原さんは述べた。しかし、そのレシピばかり作っていることについては、こう苦言を呈したのだ。

「なんつうかなー、人様の味覚に合わせたレシピを丸ごと使って喜んでるんじゃなく、もっと料理に対してクリエイティブであって欲しいと切に思う」

河原さんがクックパッドを使ってみたところ、驚くほどおいしい料理はなかったともいい、投稿料理は参考にするぐらいでよいと指摘した。

自分流でいろいろ試すことが、個性あるその人の味につながると河原さんは言う。それなら、失敗しても「どうしたらこうなるの!?」と楽しく会話できるとした。河原さんは、「もし、クックパッド至上主義な女が嫁になって、人様の家庭のレシピばっかり毎日食卓に並んだら本当イヤ!」だとして、食べる人がその人の味を期待し、作る人がそれを思いはかる「普通感覚」が大切だと締めくくっている。

このコラムは、朝日新聞出版のニュースサイトでも22日になって全文掲載され、ネット上でちょっとした話題になった。

「料理本や番組はどうなるの?」

河原雅彦さんのコラムについては、ネット上でも、好意的に解釈する声はある。「思考停止してる人も多いから言いたいことはわからなくもない」「試行錯誤して苦労しないと、料理じゃない、ってことかな」といったものだ。

しかし、その考え方に対して、首をひねる向きは多いようだ。

まず、なぜクックパッドだけを批判するのかという点だ。「『他人のレシピ』っていうけど料理本や番組はどうなるの?」「その価値観で行くならレシピ本を参考に作るのとかも全部駄目じゃん」と疑問が出た。自分流の料理を作るにしても、基礎は必要ではないのかという指摘もあった。

さらに、レシピを元にしても味は同じにならないとの指摘が出た。「試行錯誤しているうちにクックパッドと異なる料理になっていきます」「味付けは自分の味にするし、皆が皆人様の家庭の真似してるなんて思わない」

また、日常的な家庭料理には当てはまらないでは、との声も強かった。「子供を含めた家族の分を毎日作るシチュエーションでは、勝手が違うでしょ」「趣味人しかできない家事なんて日常に支障をきたしちゃいますよ」などだ。論議になったのも、週刊朝日の読者あてに書かれたコラムがネット上に流れたため、主婦らの目にも留まったためだとの見方が出ている。

今回の話題について、週刊朝日の編集部に取材すると、「編集部として、特にコメントはありません。原稿をやり取りしている事務所に聞いてほしい」と担当編集者が答えた。そこで、河原さん所属事務所のハイレグタワーに取材すると、担当者が外出中のためすぐに対応するのは難しいとのことだった。