翌日の渋谷・スクランブル交差点はすっかり元通りの姿に

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サッカー日本代表が、ワールドカップ出場を決めた6月4日夜。多くのサポーターが集まる渋谷駅周辺では、多数のおまわりさんが群衆の誘導を行っていた。そんななか、「話術」で注目を集めていたおまわりさんがいる。

「目の前にいる怖い顔の警察官も、日本代表のW杯進出を喜んでおります。みなさんはチームメイトです。おまわりさんも、こんな良き日に怒りたくはありません。ゆっくりと駅に進んでください」 

「私はみなさんのことを邪魔したいわけじゃありません。本当はおまわりさんたちも嬉しいんです。日本おめでとう! みなさんは12人目の日本代表です。みなさんもフェアプレーの精神で、交通ルールを守って帰りましょう」

こうした巧みな話術には、「おまわりさん! おまわりさん!」というコールが湧いていたほどで、ツイッターや動画サイトなどでも大いに話題になっていた。

マイクパフォーマンスの上手さは、先生やお坊さん、政治家にも向いていそうに見える。一部では「コミケスタッフ経験があるのでは?」なんて憶測も出ていたが、このおまわりさん、いったいどんな人なのか。事前に誘導のアナウンス方法について、指導や研修をしているのだろうか。警視庁広報課に聞いてみたところ、このおまわりさんに対して、さっそく翌日(5日)から、取材が入っているということだった。

「名前は公表しておりませんが、年齢は20代、出身は宮城県の単身者です。趣味は映画鑑賞、スポーツ観戦(野球)、特技は剣道(4段)です。第九機動隊の『広報係』というところに所属しています。大枠の内容は警視庁本部の警備一課と協議して、事前に決めておりますが、今回の具体的な言葉などについては、現場の雰囲気を見て、アドリブで出てきたものだということです」

コミケスタッフ経験や、トークのアルバイト経験があったりして??

「アルバイト経験などは公表しておりませんが、平成20年に警察学校に入り、平成21年に浅草警察署、平成22年に第九機動隊、平成24年から同隊の広報係にいます。広報係はもともと雑踏の中での呼びかけなどを専門でやっている係で、現場の状況に応じて広報を行っています。今回のように、ワールドカップ出場決定のような状況では、若い人をターゲットに、できるだけ受け入れられるような言葉を選んだのだと思います」

高圧的に注意するよりも効果的に見える、心理に訴えかける見事な話術には、感心するばかり。
サポーターの皆さん、盛り上がるのは良いけれど、くれぐれもマナーはお忘れなく。
(田幸和歌子)