昨年9月に発表されたiPhone5は好調。だが、中国や新興国の市場を考えると、今後の格安版発売は十分あり得る話だ

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日本でiPhone5を契約する場合、一番安い16GBのモデルでも端末代金は5万1360円。各キャリアは割引サービスを用意しているけれど、この端末価格に尻込みしてる人も多いのではないだろうか。そんななか、今年に入って見過ごせないニュースが。アップルが格安版の「iPhone mini」を発売するかもしれない、というのだ!

話の発端は、米調査会社の幹部が発売の可能性について触れたことのようだ。1月4日付でロイター通信と米経済誌『フォーブス』(電子版)が報じ、8日には米紙『ウォール・ストリート・ジャーナル』(WSJ)電子版が「年内の発売もあり得る」と追随した。

端末代金を理由にiPhoneを諦めてきた人には朗報。この話は本当なのか? ケータイ評論家の佐野正弘氏はこう語る。

「発売の可能性については五分五分ですね。はっきりしたことはわからない。ただ、十分考えられる話だと思います。というのは、基本的にiPhoneはお金持ちがターゲット。だから、中国をはじめとする新興国でも富裕層に向けた価格になっています。

そんなiPhoneを買えない新興国の中間層に今すごく人気なのが、サムスンをはじめとするメーカーによる100ドル(約8800円)前後のスマホなんですよ。iPhoneの人気は高いですが、販売台数では完全に押されています。新興国の市場をどうするかというのは今後のアップルの課題になるはずで、その意味で100ドルの格安iPhoneを出すことはあり得る。ただ、出るとしても発売時期はまだだいぶ先になるでしょうね」

さらに、佐野氏はアップルがブランドイメージを気にしている可能性があると言う。

「アップルがなぜここまで人気なのかといえば、徹底的にハードや操作性を追求してきたからです。格安版iPhoneの仕様として噂されているのは、プラスチック製のケース、小さな画面、低い画素数のカメラ、LTE非対応などですが、妥協した端末を出してしまうと、これまでのアップルファンが離れていくかもしれない」

確かに、アップルのフィル・シラー副社長は「いたずらに市場シェアを追うつもりはない」として、すでに格安iPhone発売を否定している。だが、ケータイジャーナリストの石川温(つつむ)氏はこう見る。

「今回の騒ぎについてはなんとも言えませんが、新興国市場の大きさを考えると、シラーさんの発言が覆る可能性はあります。

それに、アップルは自社のブランドイメージのよさをうまく突いた製品が多いように思います。例えば数年前、5万円程度のスペックの低いノートPC、「ネットブック」がはやったことがありましたが、アップルはそこには参入しませんでした。彼らは『Mac Book Air』という、8万円台のカッコよくて使いやすい端末を発売した。結局、ネットブックは廃れていきましたが、“Air”は今もシェアを伸ばしている。

格安版を出すとしたら、ほかの100ドルスマホと真っ向からぶつかるようなものにはならないのではないでしょうか。ほかの安い端末よりはよい作りでちょっと高いけど、背伸びすれば届く範囲で販売することは考えられます」

カッコいいデザインで、これまでより安いiPhone……そんな端末が出たら欲しい!

「しかし、型落ちのラインアップが今も安く販売されています。実際に日本でも、iPhone4Sが2年縛りで実質0円で売られていたりしますよね。これなら価格競争力もあるし、新しく格安版を出す必要はない、という見方もできるのです」(石川氏)

う〜ん、結局どっちなのか、気になって仕方ない。こうしてあれこれ考えること自体、アップルに踊らされてる気もするけれど……。