「高枝切りばさみ」の日本直販が経営破たん、テレビ文化は限界なのか

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テレビショッピングなどの通信販売「日本直販」を運営する総通が、11月9日に大阪地方裁判所に民事再生法の適用を申請した。資本金1千万円に対して、負債総額は約174億円。東証一部上場企業でコールセンター業務を取り扱うトランスコスモス社が支援に乗り出すとのことだが、長年に亘る粉飾決算の疑いも出ており、再建までの道のりは不透明だ。

同社は1961年に創業。当初は通信教育事業を手掛けたが、1972年にレコードやカセットを取り扱う通販事業に参入、1977年にテレビやラジオでの通信販売事業を開始した。その後、庭木の剪定(せんてい)に使う「高枝切りばさみ」や掃除機の先に取り付ける「スーパーはぼき」などのヒット商品を展開し、1995年の年間売上高は約525億円となった。しかし近年はヒット商品に恵まれず、インターネット通信販売に押されたこともあって、売上高は半減していた。

テレビの通信販売がインターネットの通信販売に押されていると言っても、まだまだ市場は大きい。社長自ら出演して商品をアピールする「ジャパネットたかた」などは好調な業績をあげている。またBS放送などでの通販番組は、タレントやさくらの観客を導入したあざとさが指摘されるものの、根強い人気を保っている。

ただし日本直販が得意としていたスポット的なテレビ通販は、全体的な視聴率の低下もあって、以前ほど多くの顧客を集めるには至らなかったようだ。テレビ局にとっても、1日に何度もCMを流していた日本直販が破たんしたのは痛手に違いない。視聴率の低下がスポンサーの撤退につながり、それが制作費の減少となって視聴者に見放され視聴率が低下する。この悪循環を止める方法はあるのだろうか。