好聴取率を上げているJ-WAVE『ハピネス』の看板キャスター・冨永愛もびっくりしただろう。
 首都圏を放送地域とするFM局J-WAVEが、ニッポン放送に吸収合併されるとの情報が走っている。
 J-WAVEの株式をニッポン放送が買い増ししたため、そうした観測が流れているのだ。ニッポン放送はこれまで4.85%保有の2位だったが、これをいっきに12%まで増やし筆頭株主となった。なぜなのか。それはJ-WAVEの経営悪化が原因である。

 '11年3月期決算あたりから悪くなり始め、同期決算の売り上げは49億円(前期比11%減)、経常利益が1億5900万円(同49.6%減)、最終損益が4500万円の赤字(同1億5600万円の黒字)だった。
 その責任をとり、当時の楠田修司会長が取締役相談役に退いている。さらに、'12年3月期中間決算も悪化。売り上げ24億1400万円(前年同期比7%減)、経常損失が2900万円と屋台骨が揺らぎ始めている。
 理由は全国的なラジオ業界不況と、首都圏にライバル局が増え過ぎたためだ。J-WAVEは1987年にFM東京、FM横浜('85年開局・神奈川)に続いて首都圏3局目のFMラジオとして開局。番組のコンセプトは、FM東京と似たようなものだったが、当時は景気もよくCMも入って経営も順調だった。
 しかし、首都圏で聴けるFMはその後急増。NACK5('88年開局・埼玉)、FM富士('88年・山梨)ベイFM('89年・千葉)等が雨後の筍のごとく開局。これにNHKFMが加わり、食い合いになった。

 さらに、リーマンショック以降からCM不況がさらに激しくなり、経営は大きく揺らいだ。
 「ニッポン放送にJ-WAVEから資金面で苦しいので助けて欲しいと申し出があったのです。現在のJ-WAVE社長(次期会長)である小笠原徹氏は、前ニッポン放送常務取締役で、両方の局にパイプがある。その関係から、株の買い増しをニッポン放送に依頼したわけです」(FMラジオ局関係者)

 ニッポン放送が属するフジ・メディア・ホールディングスには潤沢な資金力があるし、FM局を傘下に保有していない。オシャレな局なのでグループ内のディノス、セシールなどの通販ビジネスなどで有効利用できるのも魅力だ。
 首都圏での初のラジオ局同士の合併は、そう遠くない日に実現しそうである。