2013年の第3回WBCの主催者であるWBCIから今月末までに参加表明するように求められている日本野球機構(NPB)と9球団の代表者は、28日に都内で協議し、「参加」も「不参加」も表明せず10月以降も交渉を継続してもらえるようにNPB側の意向を文書で伝えることを決めようです。

なんとも奇妙な話です。
このブログでも何度か取り上げたように、「条件が受け入れられなければ出場辞退」では無かったのでしょうか?
早くも当初も戦略を撤回してしまったNPBに、この交渉における勝利は100%無いと断言しても良いでしょう。

交渉戦略上の根本的なミスは、出場辞退のハラなど到底無い(と思われます)のに、交渉のスタート段階で「NOなら出ない」と大見得を切ってしまったことにあります。
今回のこの戦略は、ビジネス・ネゴシエーション・テクニックとしては“Take it or leave it”というアメリカではビジネス・スクールでも教えている初歩的なものです。

これは、決断しきれぬ交渉相手に対し「ふたつにひとつ」の最終決断をやや強行に迫るもので、通常は交渉過程の最終段階で用いられます。
それをNPBは初っ端においてやってしまいました。
相手の出方もよく分からぬ初期段階でこれをやってしまうことは、その後の交渉選択肢を自ら狭めてしまいますので、勝算がない限り大変リクスが大きいと言えます。
事実NPBは、これにより自らを追い込んでしましました。

政治的な外交交渉では、一部の国際的に孤立している国が初期段階でこの手段を採ることがありますが、それが成り立つのは「あの国は何をやらかすかわからん」というイメージを周囲が持っていることが前提です。
その点NPBは、WBCIやMLBから見ると「従順この上ないおとなしい子」なのですから、この戦術が成功する見込みはそもそも皆無だったと言って良いでしょう。

恐らく、一敗地にまみれたNPBと選手会はある段階で「我々の要求は満たされず、当初の予定通り辞退すべきところだが、日本チームの勇姿を待っているファンのために次回は出場する」と、責任をファンになすりつけて?前言撤回をするのだろうと私は見ています。

これによりWBCIやMLBから「日本の反乱は取りに足らないものだった」と一層見くびられ、今後の力関係が不利になるでしょう。