リヴァプールのクラブ売却が15日、完了した。同クラブは3億ポンド(約390億8000万円)でアメリカ人のジョン・ヘンリー氏が所有する『ニュー・イングランド・スポーツ・ベンチャーズ(NESV)』に売却され、トム・ヒックス氏とジョージ・ジレット氏の時代に幕が下ろされることとなった。クラブ内部や英メディアが認めており、ロイ・ホジソン監督も「ようやくクラブから暗雲が取り除かれた」、「まったくよろしくないニュースでリヴァプールが紙面を賑わせていたひどい日々が終わった」とコメントしている。

ヒックス氏とジレット氏はアメリカ・テキサスの裁判所で売却の差し戻しを求めていたが、すでに13日に両者のクラブ売却反対の試みを認めなかった英高等裁判所は、14日にテキサス裁判所の差し戻し命令を棄却。15日現地時間16時までに訴えを取り下げるよう求めていた。両氏はこれを受け、訴えを退けたものの、今度は高額の損害賠償を起こすとしている。NESV側は「これで我々が新たなオーナーだが、旧オーナーたちは死んだ手でクラブを支配しようとしている。これは絶対に受け入れられない」と話した。

リヴァプールは2億3700万ポンド(約308億7000万円)の債権を持つ『ロイヤル・バンク・オブ・スコットランド』に対し、15日に負債を返済しなければならなかった。だが、オーナー変更が迫ったことで、つまり赤字が帳消しになることで、『ロイヤル・バンク・オブ・スコットランド』が支払命令を続けることはなくなると見られる。もしもリヴァプールがこの返済期限を守れなければ、債権管理下に入って9ポイントの勝ち点はく奪処分を科されるところだった。

ヒックス氏とジレット氏を好まなかったサポーターたちは、両氏の退陣に満足しているだろう。またそれは、チームが降格圏で低迷し、苦しい状況から抜け出そうとしている選手たちも同じことだ。ただいずれにしても、MFスティーヴン・ジェラードは次のように述べ、チームが危機的状況に陥ってなどいないと強調した。

「自分たちが危機にあるとはまったく思っていない。この状況に恐れを抱いてもいないよ。もちろん、今は良い順位ではない。でも、僕らは全員がまとまっており、ちょっとの幸運で改善し、降格圏を脱出できると確信している」

なお、リヴァプールはFWフェルナンド・トーレスが完全に回復し、エヴァートンとのダービーマッチに出場できる見込み。一方、デンマーク対キプロス戦で負傷したDFダニエル・アッガーは欠場が確実となっている。