非常におもしろい試合だった。鍵をかける「カテナチオ」の元祖ともいうべき「ヴェルー(ボルト)」で締める守備が売り物のスイスは、この試合の67分まで無失点に抑えれば、イタリアが86−90年のW杯2大会で作った550分の記録を破ることになる。

しかし、前半に31分にMFベーラミ(ウエストハム)がサイドを駆け上がる際にチリの二人の選手に肘うちを食らわせ、一発退場。10人で戦うはめに。これで、攻撃的なチリがさらに優位に立ったことは明らかだが、スイスは簡単にゴールを割らせない。

後半から、チリは攻撃陣をリフレッシュ。FWスアソ(サラゴサ)に代えMFバルディビア(アル・アイン)、MFビダル(レバークーゼン)に代えFWマルク・ゴンザレス(CSKAモスクワ)の二人を一気に投入し、勝負に出た。チリが攻撃し、スイスが守るのシーンが続くが、決して単調なものでなく、起伏に富んだ面白い内容だ。

スイスは記録の時間をやり過ごし、残り24分を守りきれば、勝機もあるし、記録も作れるということになったが、75分にチリのMFフェルナンデス(スポルティング)に代わって入ったFWパレデス(コロコロ)が右サイドのエンドラインまでボールを持ち込み、クロスを上げる、それをマルク・ゴンザレスがヘッドでたたきつけ、ゴールネットが揺れた。交代で入った二人が試合を決めた。

その後、スイスは攻め、得点チャンスを作るが、点にはならない。チリも時間稼ぎのプレーなどせず、攻撃を仕掛けてビックチャンスも作るが、ゴールには至らなかった。消耗戦とも言うべき戦いは、92分まで続いたが、チリの1点は大きくスイスの前に立ちふさがった。

これで勝ち点を6に伸ばしたチリは決勝トーナメント進出に大きく近づいた。最終戦はチリがスペイン、スイスがホンジュラスと対戦する。

◇チリ 1−0 スイス
[得点] 75分:マルク・ゴンサレス

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